石川県金沢市の犀川は、河川敷が広々として人気なのだが、この河川敷に関して住民からある疑問が届いた。なんでも芝生が広がるエリアがある所を境になくなり、藪のようになっているというのだ。
芝生と藪の境界
「よく犀川河川敷を散歩するんですけど、整備されている所とそうでない所があります」。そう話すのは石川県金沢市在住の喜多忠志さん。週に2回、この河川敷を散歩していて、その度に疑問に思っていたそうだ。「緑地の所をよく散歩するんですけど、雪見橋まで来るとここから先は芝生がありません。雑草で覆われています」と指摘する。
この記事の画像(8枚)河川敷に設置されている案内板を見ると、確かに雪見橋から上流の大桑橋付近まで同じ薄い緑色で表示されている。
しかし喜多さんによると雪見橋を境に河川敷の様子が全く変わってしまうというのだ。いったいどういうことなのだろうか。雪見橋の付近を実際に歩いてみた。金沢市立城南中学校の近くにかかる橋が雪見橋だ。橋よりも下流の河川敷はきれいな芝生が広がっているが、上流に行くと木や草が生い茂っている。
公園の区域はきれいな芝生
なぜこのような状態となっているのか。犀川を管理するのは石川県だ。県央土木総合事務所の小成正博さんは「雪見橋から下流は犀川緑地という公園の区域になっておりまして、そこは公園の区域ですので多くの方が快適に利用できるように芝を刈るなどの管理をしております」と説明する。雪見橋から下流の河川敷は公園に指定されているからきれいな芝生が広がっているということだ。石川県によると雪見橋から下流の大豆田大橋までの約4.5kmの区間が犀川緑地公園として指定され、年に5回程度、芝生の管理を行っている。
一方、公園の区域ではない雪見橋より上流は水の流れを阻害しない限り、県は手入れをしていない。
クマの潜伏場所にならないか
疑問を寄せてくれた喜多さんは気がかりなことがあるようだ。「クマが心配ですよね。何かが出てきそうな雰囲気ありますよね」。金沢市によると、過去3年間で犀川付近でのクマの目撃情報は13件に上る。犀川緑地公園として指定されている金沢市大桑町の河川敷でも2022年4月に目撃された。
草や木が生い茂ったままだと、川伝いに山から降りてきたクマが身を潜める恐れがあると、喜多さんは危惧している。「クマが出てからでは遅いでしょう。全てきれいになるのが理想ですけど、せめてぐるぐる広場までの雑草が刈られて、クマがここまで来ないような状況になるのがいいのかなと」。雪見橋から約500m上流にある大桑ぐるぐる広場は家族連れに人気の公園だが、周辺の河川敷は整備されておらず、木や草が生え放題となっている。
喜多さんは雪見橋より上流にも公園の区域を広げて手入れをしてほしいと考えている。県央土木総合事務所の小成さんは「クマの対策については金沢市から目撃情報があれば、必要に応じて部分的な草刈りなどを行っております」と話し、現状維持の方針だ。
(石川テレビ)