「古市憲寿のエンタメ社会学」今回のゲストは俳優・松下洸平さん(36)。
現在公開中の映画「ミステリと言う勿れ」でキーパーソンの一人を演じています。

幅広い役をこなす演技派の松下さんですが、実は“ペインティングシンガー・ソングライター”という肩書きでデビューしたのだそう。

古市憲寿(以下、古市):
歌は好きだったんですか?

松下洸平(以下、松下):
いやいや、全然。

古市:
そんな人が歌手になりたいって思います?

次々と飛び出す、過去の意外なエピソード! ただの俳優と言う勿れ。 歌に絵画に、松下さんの多彩な顔が見えてきました。

(左:古市憲寿 右:松下洸平)
(左:古市憲寿 右:松下洸平)
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古市:
主演の菅田将暉さんのこと、すごく好きってインタビューとかで言ってますよね?

松下:
もともと菅田さん大好きで、尊敬してた俳優さんのお一人だったんで、映画のお話いただいて、二つ返事でぜひって。

古市:
そんな菅田さんから「松下洸平さんはどんな方?」ってアンケートをもらっていて、めっちゃ長くて…。

松下:
長い?

菅田将暉 
菅田将暉 

菅田将暉さんのコメント:
(松下さんは)明るくて爽やかで、誰とでも仲良くなれる方だと思います。人間って誰しも清らかな心と邪気を持ち合わせていると思うんです。小さい天使と小さい悪魔を両方飼っている感じというか。疲れているときとかネガティブになってしまうときとか誰しも小さな悪魔が出てきてしまう時があると思うんですけど、松下さんにはその悪魔がいないんです。ずっと穏やかで明るい。
あとは本当に人が好きな方なんだろうなと思います。現場で疲れてくると談笑していても頭が回ってないことがあるんです。「へえー」という曖昧な相槌になってしまうんです。でも松下さんはいつだって全力で乗るんです。人と接する体力がとてもある方だなと思います。

松下:
…ありがとうございます。

古市:
ベタ褒めっていうか。天使、天使。

松下:
(笑)すごく良いように言っていただいて、うれしいですね。

学生時代は画家を目指していた松下さん、なぜ芸能界へ?

実は、松下さんは美術系の学校に進学し、画家を目指していたといいます。そこからなぜ芸能界を目指したのでしょうか?

松下:
「天使にラブ・ソングを2」っていう映画があって、それを見たときになんか歌とか歌えたら楽しいかもって思ったのがきっかけでした。

古市:
それまで歌うことは好きだった?

松下:
いやいや、全然。全然っていうのもあれですけど。

古市:
そんな人が歌手になりたいと思います? 

松下:
ね!ほんとに家族全員ひっくり返ってましたよ。

古市:
カラオケとか行って「歌うまいね」って言われたりとか…

松下:
…も特になく。

古市:
なく。じゃあ、なんでそんな自分に自信を持てたんですか?

松下:
ほんとそうなんですよ。

俳優・松下洸平 36歳
俳優・松下洸平 36歳

古市:
それで、21歳の時にデビューですね。「ペインティングシンガー・ソングライター」?

松下:
そうですね…この辺から徐々に僕の人生がこう、うねうねし始める…。

古市:
「ペインティングシンガーソングライター」って、何なんですか?

松下:
なんて言えばいいのかな… 1曲の中に前奏、間奏、アウトロあるじゃないですか。この隙間にライブペインティングをするんですよ。

古市:
なるほど。

松下:
マイクスタンドと、横にキャンバス置いといて、1番歌い終わったらマイク置いて、この辺にペンキとかいろいろ置いてあって、それでバーッて絵描いて、2番始まったらもう一回マイク持って、歌って、みたいな。やったはいいものの、成功とは言えなかったですね。自分の中でも純粋に音楽だけをやりたいっていう気持ちもありながら、インパクトが大事だってこともよくわかってたから、ライブペインティングと音楽っていうのを合わせたパフォーマンスっていうのは、そこにかけてた自分もいます。

古市:
自分が得意なこと2つですもんね。絵を描くのと音楽っていう。

古市:
そこから役者になろうって…これ、どういう経緯だったんですか?

松下:
CDデビューしたものの、なかなかうまくいかずに挫折したんですよ。その時に、ミュージカルのオーディションの話をいただいて、役者になるつもりはなかったんですけど、「あ、お芝居楽しいな」って思って、そこから10年間舞台やり続けて、ミュージカルと普通のお芝居ずっとやっていて。でも、オーディション行っても落ちたり、芝居してても怒られたり、なんか向いてないかもなぁって思ったことは、何回かありました。

古市:
それでも、続けようと思えたんですね。

松下:
やっぱり最終的にはいつも人に助けてもらって、「今度こういう芝居やるから参加してよ」って声をかけてくれる人たちによって、なんとか命をつないでいった形です。

ドラマの役作りの参考にしたのが…「古市憲寿」?

古市:
「合理的にあり得ない」で天海祐希さんと共演されてますけど、天海さんがすごく絶賛してたんですよね。

松下:
本当ですか?

古市:
松下さんのことを。「想像以上に巧みで誠実で芯が通っていて、現場も明るくしてくださる方で、とても頼もしい相棒です」というふうに…

松下:
えーうれしいです。天海さんこそ引っ張ってくれる人なんで。

古市:
めちゃくちゃ引っ張ってくれますよね。

松下:
もう本当に乗ってるだけでいいみたいな、すごくたくさん支えていただきました。

松下:
でも僕、「合理的」で貴山っていう役だったんですけど、古市さんのことをちょっと参考にしたんですよ。

古市:
え!?どういうことですか?
松下:
IQ140っていう設定ですごく頭が良くて、一見何考えているかわかんない感じで、自分の哲学をちゃんと持ってる。「これ誰だろうな」と台本を読みながら思ってた時に朝ワイドショー見てたら古市さんがしゃべっていて「あっ!」って思ったんですよ。

古市:
あの、嫌な感じのこと言ってて?

松下:
嫌な感じじゃなくて…(笑) なんか、たたずまいとか、あと目線?

古市:
あー…目線がちょっと変なんです。

松下:
ちょっと参考にさせていただいた部分もあります。

古市:
なんか先に言っとけばよかったと思うんですけど、「合理的」すごく面白かったです。

松下:
あ、本当ですか?

古市:
今、後から言ったっぽくなっちゃったけど。ほんとおもしろくて。

松下:
うれしいです。古市さんのおかげです。

シンガーソングライターの活動再開!

古市:
最近また、シンガーソングライターとして、歌を?

松下:
またいつか音楽やれればなぁと思ってたんですけど、周りのスタッフさんとかが「もう一回音楽やりなよ」って、声かけてくれて。今度は本当に自分がやりたい音楽と真剣に向き合う覚悟を持ってもう一度始めました。

古市:
歌がすごく良くて、初めからこれでよかったんじゃないかっていう…。

松下:
当時はね。ちょっといろいろ…、こう試行錯誤の時だったんでしょうね。
(めざまし8 9月25日放送「エンタメ社会学」より)