いま鹿児島市街地では次々に新築の分譲マンションが建設されている。果たして需要はどこまで伸びるのか?そしてマンション事業者の戦略とは?最新の鹿児島マンション事情を追った。

鹿児島市でマンション建設が続く理由

鹿児島市街地のあちこちで見かける新築分譲マンションの建設。

新築分譲マンション供給棟数
新築分譲マンション供給棟数
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2014年度から2023年までの10年間で、鹿児島市内では実に80棟の分譲マンションが建てられ、4,874戸が販売された。2024年以降も、少なくとも11棟が建設されるため、鹿児島市内では建設現場を目にする機会が増えている。

鹿児島市を上空から見ると…
鹿児島市を上空から見ると…

鹿児島市の上空から状況を調べてみた。南九州随一の繁華街といわれる天文館、およびその周辺上空。建設中のマンションや建設予定地が複数確認できた。販売中も含めると主なものとして、8棟が天文館とその周辺に建てられている。一方、JR鹿児島中央駅周辺では駅間近の西口や市立病院前など、建設予定地が目立つ印象で5棟が確認できた。

このように毎年供給が続く分譲マンション。なぜここまで鹿児島市街地でマンション建設が続くのだろうか。

かみむら不動産コンサルタントの上村邦典代表
かみむら不動産コンサルタントの上村邦典代表

不動産の専門家、かみむら不動産コンサルタントの上村邦典代表は「従来マンションは若い方々がマーケットの主流だったが、最近は年配の方が一戸建てからマンションの住み替えを考えている。利便性の高い所に鹿児島市内は分譲マンションができている」と分析する。

かつて市街地周辺の高台の団地に一戸建てを構えた世代が、子育てを終えた段階で利便性の高い平地のマンションに移り住むというニーズだ。

離島に住む人がセカンドハウスを持つケースも
離島に住む人がセカンドハウスを持つケースも

また地元の不動産業者が挙げるのは、離島に住む人が病院に行くときや子どもの本土への進学のため、鹿児島市にセカンドハウスを持つケース。こうした需要もあり、上村代表は「短期的には完成月の在庫はあったにしても、1年以上、いつまでたっても売れないマンションというのは、鹿児島ではほとんどない」と指摘する。

ガス衣類乾燥機や床暖房を標準装備

最新のマンションにはどんな設備が整っているのか。JR鹿児島中央駅近くで地元業者が建設を進める19階建てのマンションのモデルルームを訪ねた。

19階建てのマンションのモデルルーム
19階建てのマンションのモデルルーム

17畳のLDK。リビングダイニングに置かれた家具の数々は、実際に自分が購入した時のインテリアのイメージが想像できる。このマンションで全戸標準装備となっていたのが、ガス衣類乾燥機だ。

全戸標準装備のガス衣類乾燥機
全戸標準装備のガス衣類乾燥機

活発な活動の続く桜島では、火山灰の影響は避けて通れない。地元業者ならではの気配りだ。さらにリビングダイニングとキッチンをカバーする床暖房も標準装備。小さな子どもがいる人、エアコンの風が苦手な人に好評だという。

鍵を持っているだけで開け閉めできるシステム
鍵を持っているだけで開け閉めできるシステム

そのほかにも、鍵を持っているだけで、玄関のボタンを押すと自動的に鍵の開け閉めができる最新のシステムが導入されている。両手がふさがっている時も、鍵を探さず開けられるというわけだ。

マンション業界の今後 専門家は…

地元でマンション事業を展開する不動産会社では、鹿児島市内のマンション建設ラッシュについて次のように受け止めている。

竹添不動産 竹添寛代表取締役
竹添不動産 竹添寛代表取締役

竹添不動産 竹添寛代表取締役:
予想以上でしたね、供給量が。チャンスとかピンチとか考えていない。顧客が買いたいなと思う人が7割いる物件だったら、たとえ供給量が多くても造っていきたい

一方、鹿児島中央駅西口にある土地。この超一等地とも呼べる場所や市立病院の前などに、今後3棟の販売を予定する福岡の事業者は鹿児島市のポテンシャルを高く評価する。

JR九州住宅開発部分譲事業課 岩本周平課長
JR九州住宅開発部分譲事業課 岩本周平課長

JR九州住宅開発部分譲事業課 岩本周平課長:
鹿児島は九州でも、有数の分譲マンションのマーケット在阪在京のデベロッパーが進出し消費者の選択肢が広がるマンションを、検討しなかった人が興味をもってくると思う。鹿児島の皆さんに提供できるチャンスは多いと思う

ちなみに、ここ10年の鹿児島市内の坪単価は上昇傾向で、2023年は184万8,000円。要因は建築資材の高騰や人出不足。最近は鹿児島でも、1億円を超える物件も販売され、それがすぐ売れるというケースもあるということで、マンション活況の時代の一端を表している。

今後のマンション業界について
今後のマンション業界について

事業者の思惑が交錯する鹿児島のマンション業界、専門家は今後をどうみているのか。

かみむら不動産コンサルタント 上村邦典代表:
鹿児島市の一極集中になっている。当分の間は家庭層、高齢者層の需要で活発に動く

今、鹿児島で、マンションという住まいの選択肢が着実に広がっている。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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