台風をはじめ、荒れた天候が予想されると、自宅への影響も心配になる。そんなとき、部屋にある「24時間換気」の扱いについて考えたことはあるだろうか。
24時間換気は部屋の壁などについていて、吸気口の本体を押し込むなどすることで、オン・オフを切り替えることができる。入居時の説明で、24時間オンにするよう言われた人もいるだろう。
その一方で、過去には台風時の雨風の対策として、部屋と屋外をつなぐ“空気の通り道”をふさぐ行為がみられ、編集部でも取り上げたことがある。
24時間換気も空気の通り道といえるが、大雨や強い雨風のときはオン、オフどちらが望ましいのだろう。避けてほしいこと、注意点はあるのか。ホームインスペクター(住宅診断士)である、株式会社さくら事務所の田村啓さんに聞いた。
オンのままだと雨風でぬれることも
――24時間換気はなぜ、住宅についているの?
きっかけは「シックハウス症候群」(建材などから発生する、化学物質での健康被害)です。2003年に法律が変わり、住宅には24時間換気をつけることが義務化されました。
背景には、住宅の気密性が高まったことがあります。建築技術の進歩で隙間風は起きにくくなったのですが、化学物質が外に出にくくもなったため、気密性を保ちつつ、適切な換気もするために導入されました。
――強い雨風の時は、オン・オフどちらにすべき?
平常時はオンにするのが望ましいのですが、24時間換気は部屋と屋外をつないでいるので、強い雨風のときにオンだと、周囲がぬれたり、雨漏りにつながることがあります。雨にさらされやすい場所では、一時的にオフにすることがあって良いと思います。
――オフにするとデメリットはある?
換気のシステムは、第1種換気(給気、排気どちらも機械で行う)、第2種換気(給気は機械、排気は自然で行う)、第3種換気(給気は自然、排気は機械で行う)の3つに分かれます。そして、一般の住宅ではほとんどが、第3種換気を採用しています。
そのため、24時間換気をオフにするといくつかのデメリットもあります。湿気が溜まりやすくなり、結露やカビが発生しやすくなるほか、二酸化炭素や一酸化炭素がたまりやすくもなるので、注意が必要です。