11月17日は関東などで雨や風が強まり、荒れた天候が予想されている。
急な強い雨や暴風となる可能性もあり、自宅への影響も心配なところだが、部屋にある「24時間換気」の扱いについて考えたことはあるだろうか。
24時間換気は部屋の壁などについていて、吸気口の本体を押し込むなどすることで、オン・オフを切り替えることができる。入居時の説明で、24時間オンにするよう言われた人もいるだろう。
その一方で、過去には台風時の雨風の対策として、部屋と屋外をつなぐ“空気の通り道”をふさぐ行為がみられ、編集部でも取り上げたことがある。
24時間換気も空気の通り道といえるが、大雨や強い雨風のときはオン、オフどちらが望ましいのだろう。避けてほしいこと、注意点はあるのか。ホームインスペクター(住宅診断士)である、株式会社さくら事務所の田村啓さんに聞いた。
オンのままだと雨風でぬれることも
――24時間換気はなぜ、住宅についているの?
きっかけは「シックハウス症候群」(建材などから発生する、化学物質での健康被害)です。2003年に法律が変わり、住宅には24時間換気をつけることが義務化されました。
背景には、住宅の気密性が高まったことがあります。建築技術の進歩で隙間風は起きにくくなったのですが、化学物質が外に出にくくもなったため、気密性を保ちつつ、適切な換気もするために導入されました。
――強い雨風の時は、オン・オフどちらにすべき?
平常時はオンにするのが望ましいのですが、24時間換気は部屋と屋外をつないでいるので、強い雨風のときにオンだと、周囲がぬれたり、雨漏りにつながることがあります。雨にさらされやすい場所では、一時的にオフにすることがあって良いと思います。
――オフにするとデメリットはある?
換気のシステムは、第1種換気(給気、排気どちらも機械で行う)、第2種換気(給気は機械、排気は自然で行う)、第3種換気(給気は自然、排気は機械で行う)の3つに分かれます。そして、一般の住宅ではほとんどが、第3種換気を採用しています。
そのため、24時間換気をオフにするといくつかのデメリットもあります。湿気が溜まりやすくなり、結露やカビが発生しやすくなるほか、二酸化炭素や一酸化炭素がたまりやすくもなるので、注意が必要です。
オフのときに「してはいけないこと」
――24時間換気をオフにしたときの注意点は?
部屋の空気は給気されないと、排気もされにくいです。24時間換気をオフにすると、キッチン、浴室、トイレなどの換気扇を回しても、換気がうまくできないことがあります。例えば、料理の煙やにおいが出づらくなることも考えられます。
また、24時間換気をオフにして他の換気扇を回すと、部屋は気圧が下がった状態になります。マンションでは外開きの玄関扉が開きにくなることもあるので、注意してください。
――オフにする時間はどれくらいがいい?
部屋の広さなどにもよるので、具体的には申し上げられません。ただし、小さめの部屋でしたり、寝室など、人間が何時間も滞在するところは二酸化炭素や湿気もたまりやすくなります。オフにする時間はなるべく、短くしていただければと思います。
――オフのときにしてはいけないことはある?
換気されない状態で、一酸化炭素がたまると中毒になる危険性もあります。ガスコンロや火器を使用することはなるべく避けましょう。強い雨風が通り過ぎたら、オンに戻してください。
フィルターが汚れていると、換気効率が落ちることも
――強い雨風がおさまった後、24時間換気で確認してほしいことは?
周囲の壁や床を確認してほしいですね。24時間換気は部屋の壁と屋外をパイプでつないでいます。そこに隙間があると、雨が壁の内部に落ちてカビが生えたりすることもあります。湿気をすごく感じる、じめじめしている場合は、施工会社や管理会社に相談してもいいかもしれません。
――24時間換気のメンテナンスの方法は?
給気をするところなので、メンテナンスが重要になります。ご自宅の24時間換気を開けると、内部にフィルターがあると思います。ここに粉塵やごみがあると、換気の効率が落ちてしまいます。
メンテナンスの方法は、説明書や品番で調べていただくのが良いですが、一般的には、表面のパネルとフィルターを取り外して中性洗剤などで洗い、乾かしていただければ大丈夫です。フィルターが痛んだ場合は、ホームセンターなどで販売しているので、交換していただければと思います。
24時間換気はそこまで目立つものではないので、存在を忘れている人もいるかもしれない。大雨や強い雨風が近づいたときの判断に役立ててほしい。