今年も台風が発生している。現在は台風13号が日本の南を北上していて、8日から9日にかけて関東、東海に接近する恐れがある。
強風や激しい雨も想定されるが、その一方で暑さも続いている。こうした中で気になるのが、台風の接近時、エアコンは使用していいのか?ということだ。
エアコンは風が出てくるし、室外機は屋外に置いてある。使用がトラブルを招く可能性はあるのだろうか。ダイキン工業株式会社の担当者に聞いた。
使えるが強風や水害に注意が必要
――台風の接近時にエアコンは使ってもいいの?
基本的には、ご使用いただいて問題ございません。ただし、エアコンは室内機、室外機がセットで正しく稼働するものです。強風や大雨で屋外の環境が変わり、室外機が影響を受ける可能性があります。強風では、転倒・落下・破損・移動(位置ずれ)などが、大雨では、水害で一時的に水に浸かってしまうといった、トラブルが発生することが考えられます。

――強風や水害があるとエアコンはどうなる?
室外機の転倒などが起きると、室外機と室内機をつないでいる配管に負荷がかかり、配管に亀裂や穴が生じる場合があります。また、亀裂や穴から冷媒ガスが漏洩してしまうこともあります。冷媒ガスは室内の熱を運んで外へ逃がす役割があるので、冷媒ガスが少なくなると、エアコンの電源は入ったとしても、部屋が冷えにくくなることが考えられます。
浸水すると、電気回路の部品に水が入り、乾いても漏電や発火が起きる可能性があります。泥などの不純物が、モーターの不具合の原因になることもあります。

――落雷や停電の場合は使ってもいいの?
落雷の恐れがある時は、エアコンの運転を停止し、室内機の電源プラグを抜くか、ブレーカーを切ってください。停電の際は運転が停止しますが、そのままでも本体に影響はございません。停電後に運転を再開する場合は、リモコンのボタンから運転してください。
――室内から室外機の転倒や移動、破損に気づくことはできる?
大きな被害でなければ、室内からすぐに気づくことは難しいかもしれません。台風が通過したら室外機の周囲を確認いただき、変わったところがあれば販売店かメーカーに相談するのが良いと思います。
「室外機が移動」「水ぬれ」の場合は?
――室外機が元の場所から、動いていた場合はどうすればいい?
室外機が転倒・落下・破損・移動(位置ずれ)した場合は、自分で起こそうとせず、エアコンの販売店かメーカーにご相談ください。配管の亀裂や穴から、マイナス温度の冷媒ガスが勢いよく噴き出ることもあり、触れると負傷することがあります。動かすことで配管や配線が外れることもあります。エアコンの使用も控えてください。

――室外機が水にぬれていた場合はどうすればいい?
室外機は雨にさらされることを想定して作られていますが、水害などで浸水してしまった場合は注意が必要です。水に浸かってしまった場合は、エアコンの使用を中止し、エアコンの販売店かメーカーへご連絡・ご相談ください。

――台風前の強風対策にできることはある?
室外機は“置き台”の上に固定して設置するのが一般的です。転倒や落下のおそれがある場合は「アンカーボルト(室外機と床面をつなぐボルト)」の使用をお願いしています。ですが、現実的には、賃貸物件のベランダや防水処理がされている屋上など、打ち込めない場所もあります。そういった場合は、コンクリート製の重い置き台の採用をお勧めします。その下にゴムでできた防振パッドを敷くと、強風によるズレの防止にもなりますので効果的です。
――このほか、家庭でできる備えはある?
台風では草木や看板などが飛ぶことも考えられます。室外機の周囲にモノを置かず、整理整頓はしておくと良いでしょう。室外機が破損したり、ファンなどに異物が入りこんだりするのを防ぐことができます。空気の通り道がふさがると、エアコンの運転効率も低下します。
台風の通過後は、空気の通り道を確認
――台風の通過後はどうすればいい?
室外機の吹き出し口、吸い込み口の確認をお願いします。草木などが入り込んでいる場合は、可能な範囲で取り除いてください。カバーやファンの確認もお願いします。破損などをしたまま、エアコンを運転すると正しく作動せず、症状が悪化するおそれもあります。ただし、室外機が転倒・落下・破損・移動(位置ずれ)していた際は触れないでください。
――室外機に不具合があったらどうすればいい?
そのままだと正しく作動しない恐れがありますが、ご家庭での対策は難しいため、お買い上げの販売店やメーカーに点検をご依頼ください。
エアコンは台風でも使えるが、室外機が転倒や落下したり、浸水があったときは、使用を避けたほうが良いようだ。室外機が動くような物音がしなかったか、周囲で水害が起きていないかなどの情報を参考に判断をするといいかもしれない。