石川県七尾市にある「のとじま水族館」は日本海側で唯一、ジンベエザメを鑑賞することができる。世界最大の魚類、ジンベエザメの生態について水族館の担当者に聞いた。
世界最大の魚ジンベエザメ
優雅に水槽の中を泳ぐのは世界最大の魚類、ジンベエザメだ。のとじま水族館にある「青の世界」の水槽では約30種類の魚と一緒に、2頭のジンベエザメが飼育されている。現在、ジンベエザエを見られる水族館は日本国内で4館。日本海側ではのとじま水族館だけだ。

のとじま水族館に初めてジンベエザメがやってきたのは2010年。石川県七尾市の沖合に仕掛けた定置網にかかった個体を館内に移送した。水族館では、ジンベエザメが水槽に入らなくなるまで成長すると海に放し、新しいジンベエザメに入れ替えながら飼育している。現在水族館にいるのは8代目の「ハチベエ」と9代目の「ハク」だ。

全長は平均10m超え
今回特別に、普段水槽の中を清掃している木森喜大さんにカメラを持って水中からジンベエザメを撮影してもらった。

木森さんが水中に入ると、ジンベエザメの大きさがよく分かる。全長は4.5~5mもあるのだが、これでもジンベエザメとしては小さい方だ。平均的なジンベエザメの全長は10~12mで、これまでに確認された世界最大のジンベエザメは18.8mだそう。

のとじま水族館がジンベエザメにエサとして与えているのは、ナンキョクオキアミやツノナシオキアミというオキアミの仲間や、シラスなどの小魚だ。ジンベエザメは肉食ではなく、小魚や小さいエビ、それにプランクトンなどを食べる。飼育員が柄杓で合図すると大きな口を開けてエサを食べ始めた。

いまだ謎多き生き物
ジンベエザメの口はとても大きいが、のどの大きさは500円玉ほどしかない。それに肉食でもないのに8000本の歯を持っている。細いのどや多くの歯を持つ理由は明らかになっておらず、いまだ謎の多い生き物なのだ。

木森さんは「ハチベエはエサの時間が近づくと、早いスピードで泳いでくるので比較的活発的な性格ですね。ハクは少し落ち着いていて、エサの時間になってもゆっくり寄ってきます」と2匹の違いを説明する。ハクとハチベエが、のとじま水族館に来て2023年9月で1周年を迎え、水族館ではジンベエザメのクイズラリーやパネル展を企画した。

「お店に並ぶことがない魚なので、このような大きな魚が海にいるんだなという風に、まずジンベエザメを知るきっかけになってくれればいいなと思います」と木森さんは来館を呼びかける。のとじま水族館の顔となったジンベエザメ。その迫力満点の泳ぎを見に行ってみてはいかがだろうか。
(石川テレビ)