9月14日、東京は32.7℃を記録し、真夏日「82日目」の最多記録を更新しました。
この記事の画像(21枚)終わらない、“異常猛暑”。その影響を大きく受けているのが、“秋の味覚の王様”と言われる「マツタケ」です。
例年、9月になると秋の香りをもたらしてくれるマツタケ。しかし、東京・上野のアメ横商店街で探してみても、中国産のものはあっても国産のマツタケの姿がありません。
アメ横の青果店によると、今年は 猛暑などの影響で収穫量が激減し、例年より価格が2割から3割高騰しているため、国産にはなかなか手を出せないというのです。
ここ最近の販売価格は、3本で3万5000円。
東京・銀座にある和食店「舞桜」でも、毎年この時期は「一本焼き」など国産マツタケを使ったコース料理が人気ですが、今年は国産のマツタケを仕入れることが難しいといいます。
「舞桜」青木勉 総料理長:
もちろん仕入れたいんですけど…。今のこの時期では、国産のマツタケを仕入れることは難しいですね。(現在)普段は中国産の松茸を使っております。
山にマツタケが1本もない?毒キノコすら…
国産のマツタケは一体どこにあるのか?「めざまし8」の取材班が国産マツタケを求めて向かったのは、日本有数のマツタケ生産量を誇る長野県。
例年は9月上旬から収穫でき、多いときには1日で1.5㎏ほど採れることもあるというマツタケ。卸値は通常100g、5000円~6000円になるといいます。
マツタケ農家歴40年のベテラン・森下誠さん(79)に案内してもらえれば、国産のマツタケも見つかるはず。そう思いマツタケの生える山を一緒に登っていきますが…。
マツタケ農家 森下誠さん:
まだ無理だね。毒キノコなんかも、全然出てきてないから。
森下さんによると、マツタケが生える前には、まず毒キノコが現れるといいますが、山を歩いても毒キノコすら見つかりません。
そんな中、森下さんからスタッフに衝撃の事実が告げられます。実は、今年まだマツタケが1本も採れていないというのです。
マツタケ農家 森下誠さん:
とにかくキノコの気がない、その辺は(例年)ボコボコ出るんだけど。
その原因は猛暑だけではないそうで…。
マツタケ農家 森下誠さん:
(土壌が)湿ってないもんね。雨降らないから、ぬれてないでしょ。2~3回降ったけど量がね、降らないんですよ。
森下さんによると、マツタケは8月の雨で菌が繁殖し、9月の雨で成長するといいます。
しかし 今年は、8月・9月にまとまった雨が降らなかったことで、マツタケが生育していないというのです。
結局、この日もマツタケを見つけられず、下山することになりました。
マツタケ農家 森下誠さん:
こういう年がだんだん多くなってきたね。(気象が)明らかに変わっているね。
ブータン産のマツタケに期待が高まる
秋に採れない“秋の味覚”。
そんな中、にわかに注目を集めているマツタケがありました。それは、「幸せの国」として知られるブータン産のマツタケです。
注目のワケとは?
「ブータン松茸SHOP」 植山宏哉さん:
国産に引けを取らない味と香りというふうに言われているんですけども、国産に比べるとですね、現状の価格で言うと10分の1ぐらいの価格になっております。
ブータン産のマツタケは、国産のマツタケと見た目が似ており、「味」や「香り」も近いと評価されているといいます。
また、ブータンはヒマラヤ山脈の麓にあり、マツタケも標高の高い場所で採れることから虫が付きにくく、高品質。その一方で、価格は例年の国産マツタケに比べて約3分の1、国産が高騰している今年の価格と比べると、10分の1ほど。
実際に、数年前に国産からブータン産のマツタケに切り替えたというお店では、その価格からか、国産を販売していた頃よりも手に取る人が増えたといいます。
「サン・スマイル」 本道由樹子 店長:
ブータン産を置くようになってから、手に取っていただく回数がとても増えて、若いお母さんたちも子供に食べさせてみたいと手に取っていただいています。
さらには、7年連続で「ミシュランガイド東京」の一つ星を獲得した、銀座の日本料理店「おにく 花柳」でも、ブータン産のマツタケを重宝しているといいます。
「おにく 花柳」 片柳遙 店主:
ほぼほぼ(国産と)遜色ないと思っていますし、実際召し上がっていただくと「うわ~おいしいね」って言ってくださるお客さまが非常に多いですね。非常に心強いマツタケだと僕は思っています。
果たして、ブータン産のマツタケは、秋の味覚の救世主となるのでしょうか。
(めざまし8 9月15日放送)