女性は、PMSとか生理とか更年期症状などのライフステージによってさまざまな健康課題と向き合う。そんな女性特有の健康課題を考え、女性がさらに「企業」「社会」で活躍するため、今、「フェムケア」が注目されている。
「フェムケア」について知っていますか?
テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
“少子化えひめの行く先”、今回のテーマは「フェムケア」です。母親と女性の課題に詳しい、株式会社エルパティオの川﨑暁子さんとお伝えします。川崎さんの会社でも、このフェムケアの啓発に取り組んでいるそうですが、内木アナウンサーはこの言葉を知ってますか?

テレビ愛媛・内木敦也アナウンサー:
何となく聞いたことある程度で詳しくはわからないんですが、どういうものなんでしょうか?
フェムテック・フェムケアの啓発に取り組む川﨑暁子さん:
フェムケアというのは、PMSとか生理とか更年期症状とか、女性の健康課題にまつわることを解決していこうというものです

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
「“女性特有の健康”に関わることを解決していく取り組み」をフェムケアといい、今、多くの企業が商品開発などに参入している分野です。人出不足などが進む中、女性がさらに「企業」「社会」で活躍するため、女性の健康を考えるフェムケアが今、注目されているんです

テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
女性はライフステージの変化によって、さまざまな健康課題と向き合います。例えば思春期には月経が始まり、成熟期には妊娠や不妊、45歳頃からの更年期では、ホルモンバランスの変化による心身の不調が出やすくなります。私も今、妊娠を経験して、つわりや疲労など体の変化に驚きました。出産後のケアも大切だと感じています。一方で、男性にとってはまだまだ聞き慣れない「フェムケア」。実際にどんな商品が販売されているのでしょうか。
フェムケア商品専門店に広い世代から反響が
2022年7月、川﨑さんは、愛媛で初めて「フェムケア」商品を集めた店を2週間の期間限定でオープンした。ナプキンのいらない吸水ショーツや、肌に優しく冷えにくい布ナプキン、デリケートゾーンをケアする専用オイルなど、女性の「からだ」にとって心地よいものを目指している。

見た目もカラフルな商品は「膣ボール」というもの。これを膣の中で締めたり緩めたりすることで臓器を支える骨盤底筋を鍛え、生理痛の改善や、シニア世代に起こりやすい子宮などが膣から出てしまう病気「子宮脱」の予防などにつながるという。期間中には40個を売り上げた人気商品だったという。

テレビ愛媛・内木敦也アナウンサー:
こういったものを使うことで、実際に悩みが解消されるんですか?
フェムテック・フェムケアの啓発に取り組む川﨑暁子さん:
個人差はもちろんあるんですけど、血流の促進や冷えの改善とか、そういった体感の声がある
テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
実際にお客さんの反応はいかがでしたか?

フェムテック・フェムケアの啓発に取り組む川﨑暁子さん:
なかなか商品を実際に手に取って見ることがないので、「ネットでしか見たことなかったからすごくよかった」という声が多かったのと、世代問わず20代~60代の方まで、みなさん潜在的にものすごく女性特有の健康について課題を持っているんだなとすごく感じました
健康問題の共有で働きやすさ向上へ
さらに、愛媛県内の企業経営者も「フェムケア」の分野に注目している。川﨑さんが講師を務める企業向けのフェムケア研修会が、8月に愛媛・宇和島市で行われた。4月から毎月、「月経のしくみ」や「ホルモンバランスの変化が女性の心と身体に与える影響」など、5つのテーマを学んだ。

フェムテック・フェムケアの啓発に取り組む川﨑暁子さん:
女性ホルモンがガクッと減るのいつごろでしたか?
参加者:
45歳!
フェムテック・フェムケアの啓発に取り組む川﨑暁子さん:
そうそう、45歳くらいから50歳前後ですかね。その間に女性ホルモンがガガガガっと減って、エストロゲンの働きが変わりますよっていう話をさせていただきました
研修会には、20代~60代まで、幅広い世代の女性約20人が参加。会を取材して驚いたのが、参加者のみなさんが生理や更年期の症状などについて、オープンに笑顔で話し合っていること。

参加者の女性:
「(生理は)秘め事ですよ」って育ってきた。生理が私に来た時、病気で死ぬのかと思うくらい出血があった。その時、母がすごく必死に「めしべ」とか「おしべ」とかの話をしてきて、私は全くわからなくて…。娘たちには、「めしべ」や「おしべ」の話はせずに、生理は普通のことで、当たり前に生理が来たことは幸せなことだということを教えてあげられたらいい
フェムテック・フェムケアの啓発に取り組む川﨑暁子さん:
すごくステキなご関係ですよね
このフェムケア研修には、さまざまな企業の経営者が参加している。参加者の皆さんは、なぜ「フェムケア」研修を取り入れようと思ったのだろうか。
亀井蒲鉾 専務取締役・亀井万織さん:
練り物店をやっています。製造部門は男性がやっているところがあるが、女性も働きやすい職場環境を考えていて、フェムケア研修は、それこそ二つ返事でよろしくお願いしますという感じです

井上真珠店 専務取締役・井上幸子さん:
地域産業であるアコヤ真珠の専門店をしております。従業員が女性ばかりなので、女性の心と体のバランスが整っていないと業務に差し支えてしまう。(会社としても)サポートができていないと、なかなか仕事もスムーズに行かない所があるので、この学びは大切

タイチ 専務取締役・徳弘清子さん:
タイの養殖会社です。体のこととか、私たちの時代はそういうことはタブーだった。女性が外に出て働くってすごいハードなこと。結婚して子どもができても、2人できても働く、働き続けるっていう時代ですから、みんなで女性の健康問題を共有するっていうのは素晴らしい時代になったなと思います
テクノロジーの力で問題解決 経済効果は年間2兆円にも
また、「フェムケア」のほかに「フェムテック」という言葉もある。月経周期の管理アプリなど、女性が抱える問題をテクノロジーの力で解決するもので、国は積極的に後押しを進めている。

というのも、経済産業省が推計する「フェムテック」の利用で期待できる2025年時点の国内の経済効果は、何と年間2兆円にのぼる。これは、生理や不妊治療、更年期症状など、特有の体の課題を抱える女性が離職せず正しく昇進することで得られる給与の総額だ。

45歳~59歳の「更年期」を迎える世代の女性は、ちょうど管理職以上のポストに就く年齢と同じ。しかし、約5割の人が、更年期症状の影響で退職、または退職しようと悩んだことがあるというアンケート結果もある。
愛媛でも人口減少や人手不足が進む中、女性の活躍を実現するため、「フェムケア」や「フェムテック」は、今後の企業経営を左右する重要なテーマだ。
テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
川﨑さん、働く女性のチカラを十分に生かしきれないことが、企業にとっては、これだけ大きな損失なんですね
フェムテック・フェムケアの啓発に取り組む川﨑暁子さん:
そう思います。私の会社の女性スタッフも、やっぱり生理痛だったりPMSとかで休むこともある。私もどうにかできたらなと思ってるんですけども、なかなかこういったことを知る機会がないことがやっぱり問題かなと思っていました。なので、フェムケアを企業の中でどんどん広げていけたらいいなと思っています。
テレビ愛媛・内木敦也アナウンサー:
なかなか知られてなかった部分かもしれないが、今回こうやって知ることですごく勉強になったし、男性社員も知っていると大きく広がっていくのかなと思います

フェムテック・フェムケアの啓発に取り組む川﨑暁子さん:
男性の方にも知っていただく機会として、相互を知るっていう事はすごく大切なことかなと思います
テレビ愛媛・名護谷希慧アナウンサー:
妊娠してから特に、私も自分で自分の体調をコントロールすることもすごく難しくなったので、やっぱり知ってもらえて、そういった環境があると安心して働けるなっていうのはすごく感じます
フェムテック・フェムケアの啓発に取り組む川﨑暁子さん:
男性の方にもセミナーをする機会がこれまでにもあったんですけど、やっぱり女性の体のことを知ってくださっていると、その安心感が本当に心強いなと思います
社会でも企業でも家庭でも「自分を理解し、他者を理解すること」が、働きやすさ、生きやすさにつながっていくのかもしれない。
(テレビ愛媛)