災害発生時に迅速な救助を行うため、鹿児島県警の機動隊と消防の有志による団体が、鹿児島市で合同訓練を行った。警察と消防の訓練自体は珍しくないが、今回は「ロープレスキュー」がテーマになっている。その現場をのぞいてみた。

機動隊と消防の有志が合同訓練

次世代の救助方法と呼ばれている「ロープレスキュー」は、山岳用ロープと専用器具を使い、上下の移動や体の固定ができるため負担が軽く、安全といわれている。

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このロープレスキューに取り組んでいるのが、消防の有志団体「TR SATSUMA」。10年近く前に結成され、2023年3月に鹿児島・さつま町で行われた、ロープレスキューの技術を競う九州大会で優勝した。

機動隊ではロープを使った救助技術に注目し、自分たちもスキルを高めようとTR SATSUMAの訓練を見学。それをきっかけに、初めての合同訓練が実現した。

災害発生時の頼もしい味方に

参加したのは総勢40人余り。この日は約11メートル下にいる人をつり上げるために、担架とロープを駆使して救助する訓練が行われた。

救助者に見立てた人に機動隊員が、「大丈夫ですか!救助隊です!今から降下して救助しますのでもうしばらく頑張ってください!」と上からメガホンで声をかける。

強い日差しが照りつける中、積極的に声を出しあいながら、手順を確認しつつ救助者を担架に乗せ、つり上げた。

それを見ていたTR SATSUMAのメンバーは、機動隊員に「担架を救助者に近づけたほうが、より負担をかけずに救助できますよ」などと具体的なアドバイスを送ったという。

県警本部警備部機動隊・米丸泰史巡査部長は、「消防の救急救命士から要救助者の対応に当たっての助言を受けて非常に勉強になった」と振り返った。

一方、TR SATSUMAの岡本翔リーダーも、機動隊の指揮官が的確な言葉で隊員に指示し、隊員がすぐ行動するのが刺激になったようで「『県警はこうしていた』『こういうところを取り込もう』というのを、どんどん職場にフィードバックしていこうと思っています」と声を弾ませた。

互いに学び、発見し合い、充実したものとなった今回の訓練。今後も合同訓練を繰り返したいということで、災害発生時の頼もしい味方となりそうだ。

(鹿児島テレビ)

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