「このたび 令和5年12月20日をもって、バス事業の廃止することを決定いたしました」

大阪府内でバスを運行する「金剛自動車」の発表
大阪府内でバスを運行する「金剛自動車」の発表
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大阪府内の4つの市町村で路線バスを運行する「金剛自動車」が、約3カ月後に、現在運行している14路線すべてを廃止すると発表しました。

90年近く続いたバス事業の廃止。
突然の発表に、利用者からは困惑の声があがっています。

バス利用者(70代):
(車の)免許返納したので、難儀しますわ。他の会社でもいいから…ね。

バス利用者(70代):
田舎ですから…足がない。車でも予約して乗らなくてはだめだし。

バス利用者(60代):
どないしたらいいんやろ…。あんまりここ(富田林駅)まで出てこられへんなぁ。

金剛自動車が運行しているバス路線以外、他に公共交通機関がない地域もあり、生活への影響が心配されています。

深刻なドライバー不足…事業継続が不可能に

なぜ、急な廃業が決まったのでしょうか?
金剛自動車によると、廃止の一番の理由は「ドライバー不足」だといいます。

金剛自動車 白江暢孝 代表取締役社長:
ギリギリの中で続けてきたっていうのがありまして。乗務員にもかなり無理させて運行していただいていましたので。本当に申し訳なかったと思っております。

今年2月からバスの本数を減らしたり、他社から運転手を派遣してもらうなど、なんとか運行を続けてきましたが、いよいよ事業継続が不可能になったといいます。

路線バスが走る富田林市の担当者は「代替交通の確保が一番大事」と、12月21日以降の路線の維持にむけては。複数の事業者と関係市町村などが協議を進めているといいますが、こうしたドライバー不足の問題は、バスだけではなく様々な分野で起こっているのです。

ドライバー不足に「外国人労働者の活用」を検討

今、物流業界で最も懸念されている「2024年問題」。

物流業界で最も懸念されている「2024年問題」
物流業界で最も懸念されている「2024年問題」

2024年4月から、残業時間の上限が厳しく規制される影響で、バスやトラックなどのドライバーがさらなる人手不足にさらされるといわれています。

そのため国土交通省は、トラック・バス・タクシーについて、「外国人労働者の活用」の検討に入ったことが分かりました。

これは、業界団体からの要望を受けての動きで、在留資格である「特定技能」の対象に「自動車運送業」を今年度中にも追加する方向で調整しているといいます。

外国人労働者の起用については、利用者からも「言葉が通じるのか不安」と心配の声が上がる一方で、タクシードライバーたちには別の懸念が。

タクシードライバー:
外国人の方がやるっていうのも、全然構わないんですけれども。ただ、日本人と同じように、講習とか研修を受けた方が、間違いないと思うんですけど。

タクシードライバー:
外国人だとやっぱり、難しいんじゃないかな。道路とか建物、僕なんか15年やっていても、全部把握しきれていないので。

一方、タクシー会社の経営者は「賛成」とした上で、実現への難しさをこう話します。

コンドルタクシー 岩田将克 代表取締役社長
コンドルタクシー 岩田将克 代表取締役社長

コンドルタクシー 岩田将克 代表取締役社長:
私は賛成ですけども、ただ、たぶん結構ハードルがまだまだ。いろいろ国としても我々事業者としても整えなきゃいけないことって、あると思うんですよね。

(めざまし8 9月13日放送)