8月に愛媛・松山市で行われた「花」をテーマにしたマルシェ。イベントを手掛けたのは、20代のアーティストだ。今までにない「アート」で“映える”イベント作り。若者たちのこの夏の挑戦を追った。
準備に2カ月 “映える”マルシェ
8月19日、松山市の城山公園で行われたマルシェ「一輪花」。子供も大人もたくさんの笑顔があふれた。このイベントの開催には、若者たちの熱い思いが込められている。

開催の準備は6月中旬から始まった。本番まで2週間を切ったこの日は、イベントの目玉となる巨大なフォトブースを制作。二面あるフォトブースうち、片面はアーティストが描く絵画、もう片面は一面花をちりばめる。

アーティスト大室竜飛さん(23):
お花の雰囲気に合うような、幸せな感じが詰まった絵になればいいかなと

マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
お客さんが、わーって喜ぶような華やかなフォトブースを目指してます。普段はキャンドルアーティストとして活動しています

中谷さんは、松山市水泥町のキャンドルショップ「atelierkaka」でキャンドルの制作・販売を行っている。

マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
いろんなイベントに出てみて、今までにない新しいマルシェを作りたいなと思って
元々はドライフラワーなどを扱う仕事をしていたという中谷さん。今回のマルシェ「一輪花」のテーマは「花」。

マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
思った以上にかわいくてよかったです。お客さんの笑顔あふれる、出店者さんもですけど、楽しい一日になるといいなと思ってます
約5000本の花がお出迎え
朝8時、会場設営が始まった。
マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
一睡もしてないです。徹夜で…でも全然大丈夫です、元気です

夜通し作業のかいあってパネルも無事完成。最後の手直しをして、会場の中心に縦2.7メートル・横3メートルのフォトブースが出来上がり。
中谷さんがアレンジメントしたダリアやチューリップ、アジサイなど約5,000本のお花でいっぱいに。

その反対側は混ざりあう色で、お客さん同士の出会いを表現したアートに仕上がった。
季節の花をプレゼント 10分で配布終了
マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
新しいマルシェと考えたときに、お客さんが一輪の花を持っている姿を想像したらワクワクしたので

マルシェのタイトル「一輪花」の文字通り、来場者に季節の花をプレゼントする準備も整った。
イベント開始まで約1時間、慌ただしく走る中谷さんの姿が。
マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
あ、逆やった、これ逆やった、すみません、ありがとうございます
ーーずっと走ってますね?
マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
どうしよう、どうしよう終わらんかもしれん間に合うかな
午前11時、なんとか時間通り「一輪花」昼の部がスタートした。
マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
こんにちはーありがとうございます。きょうはガーベラを用意しております

昼の部用に用意したお花70本はイベント開始からわずか10分で配り終わり、出だしから大盛況だ。会場には雑貨やアクセサリー衣類などの販売ブースや、キッチンカー合わせて60店舗がそろった。
ーーきょうは何を作っているんですか?
来場した子ども:
時計作ってます。あまり見たことがない木の色を置きたかったので、こういう赤茶色みたいなのを置きました
“楽しめることを追求” 販売側も楽しむ

こだわりのフォトブースも大人気で、家族連れらが写真撮影を楽しんだ。
来場者:
イベントを教えてもらって、かわいいお花がいっぱい見れるということで来てみました

来場者:
すごいすてきなブースがたくさんあって、普段見れない、こんなたくさんのシャボン玉が見れて風が気持ちよくてとても良かったです
来場者:
インスタでマルシェをすることを知って、お花が好きなので来ました
来場者:
まずお花をもらったことがとてもうれしくて、あとアクセサリーもすごい好きなんですけど、アクセサリーもたくさん販売しててどれも手作りでとってもかわいかったです

来場者:
インスタグラムで知って来ました。すごい出店店舗が多くて、おしゃれにしてるなと思います
出店者も中谷さんの熱意に賛同して一緒にマルシェを作り上げている。

アイシングクッキー Ally:
シャボン玉だったり、みんなが楽しめることを追求されているなと思ってて、それに一緒にお手伝いできたらなって気持ちで

石鹸ワークショップ iyo:
久しぶりにというか、コロナが明けて人がにぎわっているのを見て、販売している私もすごく楽しいです
昼夜で異なる景色 「いい作品ができた」
そして、イベントは夜の部へ。メインは中谷さんの本業キャンドルナイトだ。

日が暮れて、水に浮かべられたキャンドル500個に火が灯されると、暖かい光で、フォトブースが浮かび上がり、訪れた人たちは昼とは異なる幻想的な景色を楽しんでいた。
運営メンバー・藤岡昴彦さん(26):
朝からバタバタと。とりあえず安全第一でいけて良かったなと思ってます

アーティスト・大室竜飛さん(23):
写真撮ってくださっているお客さまとかを見ると、「ああ、良かった」というか、一輪花というマルシェを彩る一つのいい作品ができたのではないかなと思いました

マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
経験がないものへの挑戦だったので、右も左もわからずで私ひとりでは到底できなかったことで、みんなの力を借りて開催出来たという本当にありがたい気持ちでいっぱいです
ーー楽しまれている方いらっしゃいますが、それを見るとどんな思い?
マルシェ「一輪花」主催・中谷香菜さん(28):
もう、うれしいです

まもなくイベント終了の時、中谷さんがインスタグラムのライブ配信を始めた。1つひとつのブースを回って感謝を伝え、イベントは大成功で幕を下ろした。

初めてのイベント運営でつかんだ確かな手応え。キャンドルアーティストが手がける新しいマルシェ「一輪花」は次回、どんなマルシェで驚かせてくれるのか。
いずれは「一輪花」を全国各地で開催したいという思いで、現在はクリスマスの時期にイベントに向けて動き始めている。
(テレビ愛媛)