トイレットペーパーのなどを販売する大王製紙が、ペット用品業界に参入する。

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大手製紙メーカーの大王製紙は、北里大学の獣医学部と共同研究し、商品開発を行ったペット用品ブランド「エリエールPet キミおもい」を発表した。

犬用のオムツや、尿のpHによって色が変わり、健康管理ができる猫砂など31商品(犬用17・猫用14)を、2023年9月22日から販売する。

ベビー用や大人用のおむつの商品開発で培った技術などを活用したという。

大王製紙ペットケア事業本部・坪田明晃 本部長:
強みがあるところを見た時に、当社にとってペット用品という市場が、その一つになるのではないかということで、本格参入を決めた。

大王製紙は、ペット用品市場が3年後には1200億円を超える規模まで拡大すると予想している。

猫砂企業の買収で廃棄物再利用を実現

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
大王製紙によるペット市場への参入、渡辺さんは、どうご覧になりますか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
本業の紙ビジネスは、人口の減少などで、事業規模はシュリンクしていくと思われる。
また、主力製品のティッシュやトイレットペーパーは差別化が難しいため、利益を削る価格勝負の消耗戦になりやすい。
そこで、コア事業の製紙ビジネスの強みを生かせる既存事業に近い“用途拡大戦略”として、有望なペット市場への参入になったのではないか

堤 礼実 キャスター:
渡辺さんのおウチにも、ワンちゃんがいらっしゃいますし、うちにも犬が2匹いますが、ペットというよりも家族の一員ですよね

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
まさに「家族」として暮らしていますよね。犬や猫などにかけるお金は増加傾向にある。例えば、この5年で犬にかけるお金は46%増加し、ひと月当たり1万3904円となっている。
大王製紙はペット市場への参入により、国内売上高100億円の目標を掲げているが、ビジネスとしての成長と同時に、サステイナブルな取り組みも加速させようとしている

堤 礼実 キャスター:
具体的に、どんな取り組みを進めているんでしょうか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
2022年、大王製紙は、猫の排泄時に使われる紙製の猫砂市場の約4割の供給を担っている企業を買収している。
これによって、大王製紙はティッシュペーパーやおむつなどの製造過程で発生する廃棄物を、猫砂の原料として再利用する“マテリアルリサイクル”を確立した。
収益を強化しながらサステイナブルを加速させることが可能になった。

飼い主増やすための商品開発が急務

堤 礼実 キャスター:
これから、さらなる成長を図るためのポイントは?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
ペット市場自体は伸びているが、これは既存の飼い主による支出の増加によるもので、ペットの飼い主の数自体は減少に転じている。
この状況を打ち破るには、ペットを飼うハードルを下げる、強力な新商品の開発が求められる。それには、顧客から求められる「 Must 」、実際にできることの「Can」が求められるが…。
例えばペットの排泄について、匂いや菌の発生をこれまで以上に抑える紙製品の誕生などが待たれている。
ペットにやさしく、一緒に暮らす家族も嬉しい。新たな商品の誕生を期待したい

堤 礼実 キャスター:
私自身、うちの子たちも家族の一員であり、人間と同じように幸せに、そして快適に暮らしてほしいと思っています。
ペットにも人間にも、そして、環境にも優しい商品が増えていくことを期待したいです。(「Live News α」9月7日放送分より) 

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