自民党の石破茂元幹事長(党水産総合調査会長、元農水相)は3日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)に出演し、福島第1原発処理水の海洋放出に伴い、中国が日本産水産物の全面輸入停止措置を取ったことについて、世界貿易機関(WTO)に提訴すべきだとの考えを示した。

石破氏は「国際社会が『中国の言ってることはおかしいよね』ということが広まらなければいけない。中国の主張に科学的な根拠はどこにあるのか。日本だけを特別に差別、区別、恣意的にやっていないか。そのことをきちんとWTOで立証していく(べきだ)」と述べた。

番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は「勝ち負けではなく、ルールに基づいて政治をやらなければいけないことを問題提起するためにもWTOへの提訴は必要不可欠だ」と強調。「(中国の主張には)科学的根拠がない、中国もルールに従えと言っていくのが東アジアに必要なルールに基づく秩序だ」と語った。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
アメリカのエマニュエル駐日大使が福島を訪問した翌日(9月1日)にインタビューを行った。この中で大使は、日本の処理水の海洋放出に対する中国が取っている措置、特に全面的な水産物の禁輸措置は完全に政治的な動機に基づくものだとの見解を示した。その背景には、中国が日本の防衛力強化や、日米韓3国の、いわゆるキャンプデービッドでの合意に対しても政治的圧力をかけているのではないかとの見方をしていた。

石破茂氏(自民党水産総合調査会長、元幹事長、元農水相):
それは大使の言うとおりだろう。中国は百も万も承知でやっている。これによって中国共産党に対する中国国民の支持が高まればいいわけで、余所に敵を作るのは中国の常套手段だ。科学的に正しいか正しくないかという話よりも、とにかく悪いのは日本だ、アメリカだというやり方の一環だ。アメリカが日本を支持するのは有難いこと、結構なことだが、そうするとまた、「日米が結託して」とくる。WTOの上級委員会はいまアメリカの反対で止まっているが、暫定委員会がつくられた。これには中国も入っている。その暫定委員会で「中国の言っている事に科学的な根拠はあるのか」、「日本だけを特定に差別していないか」ということをきちんと議論することが大切だ。国際社会が「中国の言ってることはおかしいよね」ということが広まらなければいけない。もちろんWTOでの解決には時間がかかる。その間はきちんと(水産関連業などへの)補償もしていかなければいけないし、消費拡大もしていかなければいけないのだけれども、やはり出る所へきちんと出て、日米だけでやっているわけではないということを明らかにすることも大事だ。

松山キャスター:
高市経済安保相らは、今回の中国の措置についてWTOへ提訴するべきではないかとの考えを示している。自民党内でも提訴するべきだという考えと、過去に韓国の禁輸措置に対する提訴で上級委員会で事実上日本敗訴になったこともあり、提訴に慎重な声もある。

石破氏:
それは韓国の時の反省をどう生かしていくかということであり、あそこで負けたから今度もやめとこうというのは論理として通らない。では、どこを直していくべきなのか、主張のどこを補強していくべきかということだが、要は中国の主張に科学的な根拠はどこにあるのかということ。日本だけを特別に差別、区別、恣意的にやっていないかということであり、そのことをきちんとWTOで立証していく。私はこの点については高市大臣の言うことに賛成する。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
自民党内で負ける可能性があるかも分からないということで、WTOへの提訴を懸念する声が出ていると聞く。しかし、法の支配やルールに基づく秩序というのは勝ち負けは関係ない。仮に、仮に日本が提訴して負けた場合には、それはやはりルールに基づいて日本が負けたということだから、従わなければいけない。勝ち負けではなく、しっかりルールに基づいて政治をやっていかなければいけないということを問題提起するためにも、僕はWTOへの提訴は必要不可欠だと思う。(中国の主張に)科学的根拠がない、中国もルールに従え、これを言っていくのが東アジアに必要なルールに基づく秩序だ。
            
石破氏:
私はそうあるべきだと思う。これについて、自民党で今週議論していく。WTOのルールをきちんと日本は守っていく、そして公の場でやる。日米韓だけでやっているわけではないということをさらに鮮明にしていくべきだ。

日曜報道THE PRIME
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今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論!「当事者の考え」が分かる!数々のコトバが「議論」を生み出す!特に「医療」「経済」「外交・安全保障」を番組「主要3テーマ」に据え、当事者との「議論」を通じて、日本の今を変えていく。
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