現在沖縄で開催中のバスケットボールの男子ワールドカップ。日本が世界ランクでは格上のベネズエラ相手に、奇跡の大逆転を果たしました。

残り1分55秒からの“大逆転劇”

8月31日、迎えた運命の一戦。相手は世界ランク17位の、ベネズエラ。
日本最初の得点は、NBAプレーヤー、渡邊雄太選手の3Pシュート。さらに豪快なダンクシュートも炸裂。日本を勢いづけます。

第1クオーター、ダンクシュートを決める渡邊雄太選手
第1クオーター、ダンクシュートを決める渡邊雄太選手
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しかし、ベネズエラも確実に得点を重ね第1クオーターは、4点差をつけられます。続く第2クオーター、相手に連続得点を許します。

トム・ホーバスヘッドコーチから「ターンオーバー!ターンオーバー!集中していこう!」とげきが飛ぶと、日本の若き司令塔、河村勇輝選手が躍動します。切れ味鋭いドリブルで、相手ディフェンスをすり抜けてシュート。

第1クオーター、パスを出す河村勇輝選手
第1クオーター、パスを出す河村勇輝選手

さらに、試合を盛り上げたのが3Pシュートの申し子、富永啓生選手。華麗な3Pシュートを決め、会場が大歓声に包まれます。

第2クオーター、攻め上がる富永啓生選手
第2クオーター、攻め上がる富永啓生選手

それでもなかなか点差は詰められず第2クオーター終了時で5点差。
第3クオーターは渡邊選手が3Pシュートを決め奮闘するも、第3クオーターの終了時には、点差は9点に。

迎えた最終クオーター。残り8分で、点差は最大15点まで広がり、追い込まれた日本。しかし、ここから怒涛の反撃が始まります!その立役者となったのが、チーム最年長、33歳の比江島慎選手でした。
4年前のワールドカップで5戦全敗、2年前の東京オリンピックでも3連敗と苦い思いを経験したベテランが、爆発!連続ポイントで2点差に追い詰めると…残り1分55秒で、相手にファウルされながらもリングにねじ込み、逆転に成功!倒れこみながらも、力強くガッツポーズ。

さらに!残り1分を切ったところで、再び比江島選手の3Pシュートが決まりました。
なんと、比江島選手の3Pシュート成功率は、驚異の80%超え!
その後さらに点差を広げると、最終クオーターは、日本が33点の猛攻を見せベネズエラを圧倒。劇的な大逆転勝利となりました。

この勝利で、パリオリンピックへ向け、48年ぶりの自力出場に王手をかけた日本。
勝利の立役者となった、比江島選手は…。

第1クオーター、3Pシュートを決める比江島慎選手
第1クオーター、3Pシュートを決める比江島慎選手

比江島慎選手:
チームを救うためにトムさん(ヘッドコーチ)は、僕をチームに残してくれたと思うので、それに貢献できてうれしいです。
今まで本当に悔しい経験をしてきて、前回のワールドカップを含めて、そういった悔しい経験をしたメンバーがこのチームを引っ張って。雄太にしろ、馬場にしろ、富樫にしろ、そこら辺もしっかり経験してきた選手がしっかり引っ張れて、よかったと思います。
(五輪出場を)自力でつかみ取れるチャンスが目の前にあるので、なんとしてもつかみ取って、ファンの皆さんと喜びを分かち合いたいなって思います。

バスケ女子・髙田真希選手「“日本一丸”というテーマを表してくれている」

東京オリンピックで、バスケットボール女子日本代表のキャプテンを務めた髙田真希選手は、今回の大逆転劇を見てこう話します。

髙田真希選手
髙田真希選手

髙田真希選手:
本当にすごいですね、これがバスケットという40分間。選手が最後まであきらめなかったですし、苦しい時間帯たくさんありましたけど、我慢しながら自分たちのバスケットをして、ディフェンスから、相手のミスから自分たちの流れに持ってきていました。
この厳しい4クオーターに30点以上取るって、本当にすごいことなんです。
体力的にも気持ち的な部分でも選手は疲れていますし、「最後まで諦めない」それが日本らしさですが、もしそこが欠けてしまうとどうしてもああいう展開では負けてしまうので。
やはり「最後まであきらめない気持ち」ですよね。そして、選手たちも口々に言っていますが、ホームでできている、テレビで見てくれる、応援してくださっている皆さんの力があったからこそ、この結果になっていると思うので、日本代表がテーマとしている、「日本一丸」というテーマを表してくれた試合かなと思います。

ーー会場の声援が力になったということでしょうか?
髙田真希選手:

そうですね、本当にホームのアドバンテージは間違いなくあると思います。やはり渡邊選手もドイツ戦を終えた後に、観客に空席が空いているというのをツイートしてからの、この満員になっている力というのは間違いなくありますし、選手たちはそれを実感していると思いますので、それを間違いなくパワーに変えていると思います。

3Pシュートで大逆転の立役者となった比江島慎選手。
実際に、今回のワールドカップにおける、日本代表選手たちの主な3Pシュートの成功率を並べてみると、河村選手は、24本中8本を成功(成功率33.3%)、渡邊選手は26本中8本を成功(成功率30.8%)、富永選手は24本中6本を成功(成功率25%)といずれも高い成功率を誇っているのですが、その中でも比江島選手は12本中8本を成功(成功率66.7%)とチーム最高です。(※8月31日試合終了時点)

髙田真希選手:
特に比江島選手なんかは、驚異的だと思いますし、誰でも3Pが打てるというのが、トム・ホーバスコーチの特徴の戦術の一つでもあって。やはり日本は世界と比べるとフィジカルや身体能力の高さで劣ってしまうので、小さいチームが大きいチームに対してどうやって勝てるかというと、やはり3Pというのが、一つのキーポイントになります。
なぜ3Pをみんなが打てるといいかというと、ゴール下付近にセンターがいてしまうと、相手のディフェンスもゴール下にいることになるんです。なので、なかなか中に切り込んでいけなかったりするんです。

ベネズエラに逆転勝ちし、喜ぶ日本チーム
ベネズエラに逆転勝ちし、喜ぶ日本チーム

髙田真希選手:
全員が3Pを打てるようになってくると、スペースが広くとれるようになって、ゴール下が空くんです。なので、小さい河村選手や比江島選手が中にドライブしていったときに、絶対に誰かがヘルプと行ってカバーしに行くんです。そうすると、ノーマークが生まれやすくなるので、3Pが効果的に打ちやすくなってくると言う戦術になってくるので。
みんながセンターでも、今の時代は3Pが打てないと、逆にこういった試合に出ることというのは、なかなか難しくなってくるので、数字的にもそうですし、みんなが3Pを打てるというのが今の日本のスタイルが世界で活躍できる要因の一つだと思います。

ーー最終戦に挑む日本代表に必要なものは?
髙田真希選手:

リフレッシュもすごく大事ですけども、本当に気持ちだと思います。「絶対に五輪の切符を取りたい」という。いろいろ複雑な仕組みになっていますけど、次勝てば確実に切符が取れるので、それだけを選手は考えていると思いますし、あとは、応援してくださる皆さんの力が確実に必要になってくると思います。
(めざまし8 9月1日放送)