繁殖期のため、夏に活発化するスズメバチ。気付いた時には自宅に大きな巣を作られていたということも…。夏から秋にかけて依頼が増えるというハチの駆除を行う「ハチハンター」に密着した。
1日に何十件もの“ハチの巣駆除”依頼
訪ねたのは、福岡・大牟田市にあるハチの駆除に当たる専門業者「蜂屋のサカイ」。九州を中心に17カ所に営業所を構え、多い年は年間5,000件に上る駆除数を手がける。
蜂屋のサカイ・坂井徳次会長：
1階の軒下に見えてますか？分かりました
朝8時半からかかって来るハチの巣の駆除依頼の電話。この時期は電話が鳴りやまない。
蜂屋のサカイ・坂井徳次会長：
昨日は52件依頼が入って、あとは直接スタッフに入っている分もあるので、多分80件くらい来てるんじゃないかと思います。今から1カ月くらいがピークのど真ん中
この日、最初に駆除に向かったのは福岡・久留米市の一軒家。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
（見えている）ハチの巣自体は、この上ですね。小さいですね。“分家”ですね、だからまあ、“本家”というか、元々の巣があって、手狭になったりするとハチは引っ越すんですけど
軒下に巣を作っているのは、攻撃的で凶暴なキイロスズメバチ。屋根裏などに巣を作る習性があるが、そこが手狭になると、外に新たな巣、いわゆる分家を作るという。
「どっかに、このへん近辺に本家の巣があるかなと思いますけど」と、ハチハンターの坂井祐介社長が大元である本家の巣を探していると…。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
ここかもしれないですね、この上。この辺にハチが集まって来てませんかね
本家の巣は屋根裏。小型カメラでのぞくと隙間からわずかに巣が見える。異変に気付いたキイロスズメバチがカメラに向かって攻撃してくる。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
200～300匹は全然いると思います。もっといるんじゃないかな
本家と分家の巣の位置を確認したところで、まず軒下にあった小さな分家の巣の駆除を始める。そして、いよいよ本家の巣へ着手。本家のハチを駆除しないと周辺に分家を作り続けてしまうのだ。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
あ～、だいぶ、出てきています
坂井社長がハチの出入り口になっている隙間から殺虫剤を噴射する。屋根裏には入ることができないため、外側から中に巣くっているハチを徹底的に駆除した。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
一応、ハチの駆除はほとんど終わってます。中にいた分はですね。だから中からぼんぼん出てくることはないんですけど
最後に、外から巣に戻ってきたハチを駆除するための毒薬をしみ込ませた布を屋根裏の入り口に仕掛けて完了だ。
依頼者：
まさか大元に大きな巣があったなんてびっくりしたんですけど、洗濯物とかを母が干したりするので、ハチに刺されないか心配だったので良かったです
被害が出る前に“早めの駆除”を
続いて向かった現場も久留米市の住宅。
「ここにあるでしょ？」と依頼者が指さした軒下には一目瞭然。バレーボールほどの大きさの巣が作られていた。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
キイロスズメバチですね。はしごを付けてモタモタしていると、すぐ襲いかかって来るんですよね
駆除の準備をしていたその時、危惧していたことが…。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
あー、刺されたな、早速刺された
頭部を守る防護用の網に付いていたハチに気付かず、指を刺されてしまったのだ。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
もうね、怒ってるんですよね。だいぶ危ないなぁ。400～500匹はいる。それ以上いるかもですね
警戒しながら、臨戦態勢に入っているハチの駆除へ。巣に向かって殺虫剤を一気に噴射。ハチが弱ったところで、巣をのこぎりで切り落とす。駆除した巣は6段にもなっていた。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
このキイロスズメバチは、近づいたら刺されるとか、襲われるっていう種類なんで。これは早めに駆除したほうがいいですね、こういうのは。いつか被害が出ます。多分、誰か刺されるし、人によっては実際、命を亡くしてる方もいるからですね
この大きさに依頼者も驚きを隠せない。
依頼者：
この大きさになるまでひと月ですよ。僕は先月、実家であるここに帰ってきましたけど、その時、気が付きませんでしたもん
“まさかの場所”にも気を付けて
またハチは、思いもよらない場所にも巣を作る。
蜂屋のサカイ・坂井祐介社長：
倉庫の中の扉があるところ、引き戸のところに作っている
この住宅の倉庫の棚の中に巣を作っていたのはヒメスズメバチ。体は大きいものの、攻撃性は低く、めったに人を襲うことはないという。しかし依頼者からすると…。
依頼者：
私1人だから怖いですたい、とにかく。も～、恐ろしい、も～、恐ろしい～
依頼者の安心のため、直ちに駆除する。
依頼者：
良かった～、助かる～。もうこれで、ちょっとほっとする～。怖かったからね。ほんと～、よかった、よかった。ありがとうございました
身近なところに入り込み巣を作ることがあるスズメバチ。ハチの活動がさらに活発化するこれからの季節、十分な注意が必要だ。
（テレビ西日本）
