8月28日、「そごう・西武」の労働組合が会見。経営側に対し、ストライキを8月31日に開始すると予告通知したことを明らかにしました。

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ストライキの対象は「西武池袋本店」。ストライキが実施されれば、主な百貨店では、61年ぶりの事態です。

西武池袋本店の常連客:
百貨店で私たち消費者にとっては本当に楽しい場所というかね。夢があって楽しい場所、家族の思い出もある場所だから、そういうところで、そういう色んな企業同士のいろんないざこざというのが、残念だなと思います。

業績不振が続く、「そごう・西武」をめぐっては、親会社のセブン&アイ・ホールディングスがアメリカの投資ファンドへの売却を計画しています。

そごう・西武労働組合 寺岡泰博中央執行委員長:
9月1日のこのクロージング、もっと言うと、31日には取締役会決議が行われるんではないか、とあくまで我々の推測ですが、その疑念がですね。まあ晴れない。(ストライキの)範囲ですけども、組合員全員ですね。西武池袋本店に勤めている組合員ということです、900名。営業ができるかできないか、ということで言えば、できなくはないと思うんですけども。ただ何の応援もない中で(店舗を)開けるというのはおそらく難しいと思います。

豊島区長「街にとってもプラスの話しでは全くない」

大きな混乱も予想される大規模なストライキ。
実は、「そごう・西武」の売却を巡っては、去年12月、当時の豊島区長も、こんなコメントを。

去年12月 豊島区 高野之夫区長(当時)
去年12月 豊島区 高野之夫区長(当時)

豊島区 高野之夫区長(当時):
ヨドバシカメラの参入は、池袋のさらなる家電量販店の激化につながり、今まで築き上げた文化の街の土壌が、喪失してしまうのではないかと思います。

投資ファンドへの売却後、百貨店内に家電量販店「ヨドバシカメラ」の出店が計画されている事に対して、“文化の街”の土壌が失われるとしていました。

28日、後任の高際みゆき区長に改めて、売却問題とストライキについて話を聞いてみると。

豊島区 高際みゆき区長:
池袋の顔である百貨店が1日か2日か分かりませんが、(ストライキで)閉じるということは本当に大きい影響だと思います。街にとってもプラスの話しでは全くないですし、住民の皆さまにも池袋西武を愛して下さっているお客さまに対しても決していいことではないと思います。

地元・豊島区も巻き込む形となっている今回の問題。

28日、セブン&アイ・ホールディングスは、「雇用維持に関しては、当社も適切な範囲で人員の受け入れを含め、協力する予定です」とコメント。

井阪社長も報道陣の取材に応じ、「大変残念に思っている。『そごう・西武』の再建のために最善の道と信じている。最後まで話し合いを続けていきたい」と述べました。

31日の営業は?すれ違う双方の主張

61年ぶりとなる、百貨店でのストライキの可能性。ストライキが実行された場合、どのような形になるのでしょうか?

経済評論家 鈴木 貴博氏
経済評論家 鈴木 貴博氏

小売業界に詳しい、経済評論家の鈴木 貴博氏によると、以下の可能性が考えられるといいます。

① 全館停止(確率 約50%)
全ての店が営業停止

②一部の店舗のみ営業(確率 約50%)
西武池袋の従業員が担当していない、ブランド店やデパ地下店舗などのテナントのみ営業

③「スト破り」して強制的に営業を続行(確率 約1%)
組合委員以外を集めいて、強制的に営業を継続

現在の双方の主張は以下のものになります。

【労働組合】
事業継続を前提とした株式譲渡とは言いがたく、社長の雇用維持も不透明な計画の中で、来月1日に譲渡を強引に進める構えを崩しておらず、苦渋の決断をした。

【セブン&ホールディングス】
本件譲渡の一日も早い実現こそが、雇用維持及び事業継続に最も資するものであり、当社及び株主の皆様をはじめとする当社のステークホルダーの皆様の最善の利益に合致するものと確信しております。

ストは働く人たちの「権利」

「めざまし8」のコメンテーター陣は、今回のストライキ通知にどのような印象を抱いているのでしょうか?

サヘル・ローズ氏
サヘル・ローズ氏

サヘル・ローズ氏:
私も一時期百貨店で働いていたことがあるんですけども、結構やはり不満があったとしてもなかなかそれを表に出せない。我慢して頑張って働いている印象だったんです。でもヨーロッパではこういうストというのはあって、ストをするというのはとても大事な主張であって。働く人たちにとっては「権利」ですよね。
今回のケースであれば、必要な物は他の所でも残念ながら今の時代って手に入ってしまいます買おうと思えば。ですが、ここ(西武池袋)がファンで応援したい人たちもたくさんいますよね。ストライキを起こすことは決してネガティブなことではなくて、日本社会で働く上で、賃金が上がらないこの日本へに対して、意味があります。

立岩陽一郎氏:
地元の住民の人たちはよくこういうときに、反対するんだけど。一番の特効薬は、行くことなんですよ。だから百貨店を残したいなら百貨店に行って、買い物をすると。これが基礎じゃないと難しいと思うんだけど。

Q.今、全国の百貨店は厳しい状態にあるのでしょうか?
経済評論家 鈴木 貴博氏:

地方の百貨店は今閉店する傾向があるんですけれども、いわゆる都心の旗艦店って成長産業なんですよ。インバウンドと、あと富裕層がアベノミクスで今1.3倍くらい人口が増えていますから、その意味で行けばちゃんとした投資家が買っていくと、百貨店を育てようと言う話になるはずなんです。今回はそうではなくて、基本的には百貨店を解体するような計画が漏れてきてしまったので、大騒動になってしまったんです。そごう・西武の場合は、その結果がこれまで出せていないから、それはちょっと弱みなところで。

左:立岩陽一郎氏 右:風間晋氏
左:立岩陽一郎氏 右:風間晋氏

フジテレビ解説員 風間晋氏:
旗艦店は伸びる余地がある、でも旗艦店を伸ばすためには、そうでないお店を整理しなくてはいけないみたいな。そういう意味でも同じ会社の中でもここは生かしてここは残念ながらということをやらなくてはいけないとう部分もありますよね。

(めざまし8 8月29日放送)