カルビーが新たな働き方を導入
新型コロナウイルスの影響で働き方の見直しが進んでいる。
こうした中、カルビーは6月25日、新たな働き方「Calbee New Workstyle」を7月1日から導入すると発表した。
オフィスで働く社員については在宅勤務など“テレワークを原則”とし、単身赴任をしている社員についてはテレワークで働いても業務に支障がないと会社が認めた場合は、“単身赴任を解除”する。
対象は、本社や営業拠点のオフィスで働く社員約800人で、これは全従業員の約2割にあたる。
ウェブ会議や契約書の電子押印などを活用し、出社率を3割前後に抑えるのだという。
テレワークを原則とし、単身赴任の解除も可能に
新たな働き方の導入の背景にあるのは、“テレワークによるメリットの顕在化”と“社内の意識の変化”。
カルビーでは、2017年からオフィスで働く社員のテレワークを認める「モバイルワーク制度」を導入していて、新型コロナウイルスの感染拡大後の3月下旬からもこの制度を続けていた。
その結果、「社員の通勤時間の削減」、「新しいコミュニケーションスタイルの浸透(=各種WEB会議システムの活用)」、「ITによる業務効率化(=契約書の電子捺印や名刺の電子管理化等)」などのメリットが顕在化。
さらに、今年5月にオフィスで働く社員を対象に実施したアンケートでは、回答者の6割以上から、「感染拡大前の働き方を変えたい」との声が上がるなど、社内の意識にも変化があった。
こうしたことを背景に、新たな働き方の導入に至った。
それに伴い、7月1日以降は、通勤定期券代の支給をやめ、代わりに出社日数に応じて交通費を支給。「モバイルワーク手当」も新設し、自宅などでのテレワーク環境を整備する費用を一部補助するという。
また、テレワークでも業務に支障がないと会社が判断した場合には単身赴任を解除し、家族と同居できるようにすることも決まった。
導入の背景の一つで、社内アンケートで浮かび上がった“意識の変化”。これはどのような変化なのか?
カルビーの広報担当者に話を聞いた。
アンケートで浮かび上がった“意識の変化”
――社内アンケートで浮かび上がった“意識の変化”、具体的には?
社内アンケートで『モバイルワーク制度で実感していたメリット』を尋ねたところ、「通勤時間がないこと」が76%と最も多く、2番目に多かったのが「会議室が無くてもミーティングが可能」で34.8%、3番目が「集中力の向上」で28.6%でした。
また、『モバイルワークの想定外の良かったこと・発見』を尋ねたところ、「遠慮しながら退社する必要がない」、「会社に同じ時間に毎日行く必要性を感じなくなった」、「これまでの仕事のムダに気付いた」、「過剰すぎる業務の側面を感じた」、「行かなくてもいい出張がある」といった回答がありました。
また、「子どもに働く様子を見せられる」、「仕事を朝早くできることで家族との時間が増えた」、「生活リズムが改善、睡眠時間が増えた」といった声も寄せられていました。
――新たな働き方の対象にならないのは何人?それはどのような職種?
全従業員約3700名(2020年3月31日現在)のうち、約2900名が対象外です。
職種は工場勤務者などです。
“単身赴任を解除”の具体例
――「単身赴任の解除」に関して。単身赴任者から単身赴任の解除を要望する声があった?
要望があったというわけではありません。
テレワークで働いても業務に支障がないと、所属する部署が認めた場合に、単身赴任を解除することになりました。
――単身赴任の解除が認められた社員が在籍していた赴任先には他の社員が赴任する?
それはケースバイケースです。
単身赴任先の部署に所属しながら、家族のもとに帰り、家族と暮らす自宅でテレワークをするケースもあります。
日本の企業では、会社の都合による転勤や、それに伴う単身赴任など、家庭の犠牲が前提にあることが当たり前だった。それが新型コロナウイルスをきっかけに見直されつつある。
今回のカルビーの決断をきっかけにこうした動きはさらに加速するのかもしれない。
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