物価高が続くなか、全国平均のレギュラーガソリンの小売価格は13週連続で上昇し、8月14日時点で1リットルあたり181円90銭となった。15年前の最高値(185円10銭)に迫りつつある。

このところの円安の進行がガソリン価格の上昇に拍車をかけているほか、政府による補助金が9月末には終了する予定だ。10月からガソリンや電気ガスの補助金が全てなくなった場合、家計の年間の負担増額は10万円を超えるといった試算もある。

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「続く物価高。止まらないガソリン価格の値上がり」について、智田裕一解説副委員長がお伝えする。

物価高とガソリン価格上昇が止まらず

物価高が続いている。18日発表された7月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、11カ月連続で3%以上の上昇となった。

具体的には、卵が36.2%、アイスクリームが11.5%の上昇となっているほか、食品以外でもトイレットペーパーが14.8%、となるなど、多くの品目で上昇が続いている。

そうしたなか、ガソリン価格も値上がりが続いている。全国平均のレギュラーガソリンの小売価格の推移を見てみると、13週連続で上昇していて、8月14日時点での価格は1リットルあたり181円90銭となった。

統計を取り始めてからの最高値は、2008年8月に付けた185円10銭で、15年前の水準に近づきつつある。

神奈川県海老名SAのガソリンスタンドのレギュラー価格は201円になっている
神奈川県海老名SAのガソリンスタンドのレギュラー価格は201円になっている

お盆で混雑した神奈川県海老名SAのガソリンスタンドも、レギュラー価格は200円超えだ。その他にも200円を超える店頭看板がいくつも見られた。

ガソリンの値上がりには、長く続いている円安や原油高が影響しているのだろうか。

ガソリン価格の上昇に拍車をかけているのが円安だ。現在の円相場は1ドル145円台前半と、146円台までいった17日よりは値を戻したが、円安局面が続いている。

円安が進むと、原油の輸入価格が上がっていき、ガソリンの価格上昇につながる。

この1カ月間のガソリン価格の動きに円相場のグラフを合わせると、円が値下がりして、逆にガソリン価格が押し上げられていることがわかる。

そして、ガソリン値上がりの大きな要因が、政府による補助金の縮小だ。家計負担を和らげるため、政府は補助金を石油元売り会社に支給し、ガソリン小売価格を抑えてきた。

この補助金は、1リットルあたり168円を超えた分についてお金を支給するというものだ。しかし相場がピーク時より落ち着いてきたことから、6月から2週間ごとに10%ずつ縮小してきていて、9月末には補助自体が終了する予定だ。

補助金終了で家計負担は2万円上昇か

物価高が続くなか、政府はガソリンのほか、電気・ガス料金などでも負担を軽くする対策を行ってきた。

経産省によると、標準的な家庭の電気代で月2800円、ガス代では900円分抑えられてきたが、9月には半分になり、月末に期限を迎える。

物価高のなか、家計負担はどれだけ増えるのだろうか。

円相場や原油相場が今の水準で推移した場合、2023年度1年間の家計負担は、平均で前の年度と比べて8万円以上(8万1080円)増える。ただし、これは10月以降も補助金が延長された場合だ。

10月からガソリンや電気ガスの補助金が全てなくなるとすると、さらに2万円ほど(2万227円)増えて、年間の負担増は10万円を超える(10万1307円)計算だ。

政府内でも意見が割れる補助金延長

与党内からは、ガソリン代についてこんな声が上がっている。

自民党・茂木幹事長:
日本は激変緩和措置をとることにより、諸外国と比べると、かなり値段を抑さえられているが、一時と比べると高くなっているもの事実だ。

公明党・山口代表:
(補助金が)9月で切れた以降どうなるかは予断を許さないところ。ここを見極めたうえで、国民生活全体を見ながら、必要であればしっかりと対策を講じていきたい。

ただ、政府内には慎重論もある。ガソリンなどの補助金の予算累計額は6兆円を超えているほか、電気・ガス料金の負担軽減策では3兆円が充てられている。

ある政府関係者は「為替や補助の縮小が要因で起きている今のガソリン高を補填するため、(補助金を)単純に延長して、国民の税金でまかなうかは議論のあるところだ」と話している。

巨額の補助金の投入を巡っては、本来は市場で値段が決まるはずのメカニズムがゆがめられているという側面がある。また、エネルギーの使用を抑えることにつながらず、脱炭素の流れに逆行するとの指摘もある。

政府与党は、経済状況などを見極めたうえで、補助金を延長するかを判断することになるが、議論の行方を注意深くみていく必要がありそうだ。

(「イット!」 8月18日放送より)