「つぶあん」より「こしあん」を愛してやまない和菓子愛好家が、長年待ち焦がれたスイーツがついに登場する。「あずきバー」で有名な井村屋が「こしあんバー」を8月28日に発売するのだ。

実は、同社があずきバーを発売したのは1973年で、今年は50周年にあたる。これを記念して、かねてから要望のあったこしあんバーが登場することになった。価格は1本86円(税込)で、全国の量販店やスーパー、井村屋ウェブショップで、数量限定の販売となる。
今回登場するこしあんバーは、なめらかな「生あん」を使っていることが特徴だという。あずきを炊き、そこから皮を取り除いた「生あん」を作るには専用設備が必要で、製造に時間もかかるという。
大手菓子メーカーである同社は「生あん」の段階から一貫製造しており、こしあんバーには皮を極力取り除いた「生あん」を使用。そして、あずきを粉砕したパウダーを配合することで、さらにあずきの風味を引き出したとのことだ。

ところで、あずきバーといえばその“固さ”がたびたび話題になることはご存知だろう。なぜそんなに固いのか、過去に編集部が取材したところ、3つの理由があった。
1、空気の含有量が極めて低い
2、乳固形分が全く入っていない
3、乳化剤や安定剤といった添加物を使っていない
(参考記事:昨年度の「あずきバー」の売上が過去最高…コロナ禍の“巣ごもり需要”が影響? 井村屋に聞いた)
これはあずきバーが、ぜんざいをそのままアイスにするという発想から作られているからだ。シンプルな原料にこだわって素材を詰め込んだ結果、空気の泡が少なくなり固くなったのだという。
ちなみに、あずきバー発売50周年の記念サイトでも「あずきバーを温めるとぜんざいになる」ことを紹介している。

こしあん好きには待望のアイスだが、ここで気になるのがやはり“カチカチ”かどうかだろう。 そして製法は異なるようだが、材料もあずきバーとは違うのだろうか?井村屋の担当者に聞いてみた。
「こしあんバー」販売の要望は毎年
――「こしあんバー」を求める声はどのくらいあったの?
申し訳ございませんが、正確な件数は開示させていただいておりません事をご了承ください。しかしながら、毎年多くのお客様より「こしあんバー」を販売してほしいとのご要望をいただいております。
――「あずきバー」と「こしあんバー」の作り方は、どう違う?
「あずきバー」は、生の小豆を煮詰めて、砂糖や塩などを加えて、それを固めています。
「こしあんバー」は、小豆を煮て、皮を取り除いて、何度も水にさらして、水気を切って「生あん」を作ります。この「生あん」に、「あずきバー」と同じように砂糖や塩などを加えて、煮詰めて、固めています。
――原料は同じなの?
製造上の原料としては「生あん」と「生豆」の違いがあります。
固さは「あずきバー」と同等
――「こしあんバー」も、やっぱり“固い”の?
「こしあんバー」は普通の「あずきバー」と同等の固さになっています。
――こちらも温めるとぜんざいになる?
はい、そうですね。原料はぜんざいと同じで粒がないだけです。

――レギュラー商品になる可能性は?
それはまだ検討していない段階で、未定でございます。
――どのように味わってほしい?
「こしあんバー」を心待ちにしていただいた方には、是非ともアイスではなかなか目にすることのない「こしあん」の味わいをお楽しみください。
また、今回の「こしあんバー」と通常の「あずきバー」を食べ比べていただき、どちらが自分の好みか論争いただければ幸いです。

同社のリリースよると、これまでたびたび和菓子をめぐって「つぶあん派」と「こしあん派」の論争が起きていたという。アイスについても「こしあんバー」が登場したことで、「あずきバー」とどちらが好きか論争が巻き起こるのかもしれない。