新型コロナの5類移行などで、岡山県内の海水浴場にもにぎわいが戻っている。多くの人が訪れる玉野市の渋川海水浴場で、海の安全を守るライフセーバーに密着した。
4年前の夏の光景が戻ってきた海水浴場
例年5万人以上が訪れる日本の渚100選の一つ、岡山・玉野市の渋川海水浴場。

海開き以降、多くの海水浴客が訪れていて、4年前の夏の光景が戻ってきた。にぎわいをさらに活気づけようと、滑り台やアスレチックが体験できるウォーターパーク。サッカーやバレーのビーチスポーツに、バーベキューなどの様々なアクティビティが登場している。

4年ぶりにシャワー室の利用を再開し、更衣室の使用制限も解かれ、渋川海水浴場はこの夏、県下最大級の一大テーマパークとなっている。

バーベキューを楽しむ人:
コロナ前ぶり。3、4年ぶり。またみんなで楽しめるようになってよかった
「水の中はすぐに死に直結する」
全国で相次いで発生している水辺の事故。岡山県内でも7月20日、新見市の高梁川で川に飛び込んで遊んでいた大学生が死亡する事故があった。県内では2023年、14件の水難事故が発生し、9人が死亡していて、件数、死者数ともに前の年を大幅に上回っている。

そんな中、海を満喫する海水浴客に「潮の流れが右から左へ速くなっているので、監視タワーよりこちらで遊んでください。(浮き具は)風の影響を受けるので、流されても追いかけないでください」と声をかけるのは、岡山ライフセービングクラブに所属する藤原正行さん(47)。
渋川海水浴場で10年以上安全を守り続けているが、2023年は特に警戒を強めていた。

岡山ライフセービングクラブ・藤原正行さん:
水の中はすぐに死に直結するので、浮力帯を準備して、決められたルールで遊ぶのが一番いい

コロナ禍では制限が多く、やっと訪れた開放的な夏。しかし藤原さんは海や川など自然での遊びでは、少しの心緩みが事故を起こしかねないと警鐘をならす。

岡山ライフセービングクラブ・藤原正行さん:
陸上だったらケガで終わり、死に至るまではなかなか少ないと思う。(水の中は)死と直面している自然相手なので、その可能性は常にはらんでいる

特に注意するのが、水上バイクの動き。遊泳エリアに近づき、海水浴客と接触すると大きな事故になりかねない。この日も…。

無線でスタッフに話す藤原正行さん:
もし可能だったら進路に入って止めてしまって、ゆっくり目を見て海面ルールについて話して結構です
スタッフ:
はい了解です

岡山ライフセービングクラブ・藤原正行さん:
とにかく未然に防ぐこと。危険因子を摘んでいくのがライフセーバーの第一歩。風が強かったら海だけでなく(浜の)パラソルなど、ビーチの中で起こるさまざまな危険をしっかりと未然に摘んでいって、大きい事故を起こさない

期間中は毎日、浜で風の強さや向き、潮の流れを見ながら海水浴客に注意をうながす。この日は風速5メートルの風が吹いていた。

テントが飛ばされた海水浴客:
やばい、やばい。どうしたらいい?これを外した方がいい?
藤原正行さん:
こっちも外しますよ。気を付けてくださいね
今後は後進の育成にも力を…
藤原さんは47歳を迎え、経験でカバーしてきたが、活動には体力が最も必要とされるため、今、後進の育成に力を入れている。

岡山ライフセービングクラブ・藤原正行さん:
学生部を作った理由は代謝をあげること。年上の人間は体力は下がるが、経験で教えることができる。実際にレスキューに行くのは若手の学生ら、スキルのある人に行ってもらって、僕らはバックアップする立場。それで回していくのが、あるべき姿

学生スタッフ・崎谷歩夢さん:
海開き前にライフセービングの資格を取って始めた

学生スタッフ・宮中元輝さん:
水泳の技術を人命救助にいかせるのではと思って始めた。緊張感を持って、いつ溺者が出ても救助できる心持ちと準備を毎日している

この日は浮き輪に乗った子どもが遊泳禁止エリアに流され、スタッフが救助する場面はあったが、大きな事故はなかった。
事故を未然に防ぎ、いざという時は全力で救助にあたる。ライフセーバーの活動は8月20日まで。4年ぶりの夏を守る藤原さんの活動は続く。
(岡山放送)