松江の人気の観光スポットとして定着している「堀川遊覧船」は、長年「電動化」に取り組んできた。EV(電気自動車)の普及が進み、電動化技術も進化するなか、「電動遊覧船」の実現に向けた実証実験が8月8日から始まった。

ホンダとタッグ…いざ実証実験

城下町・松江の風情を水上から楽しめる「堀川遊覧船」。

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1997年に運航が始まり、コロナ禍前の2019年には年間26万人あまりが利用している。

この日エンジンで動く船外機に代えて取り付けられていたのは、電動の船外機だ。EVも手がける自動車メーカー・ホンダが開発に取り組んでいる。

「脱炭素」を目指す先進地域に選ばれた島根・松江市は、環境に配慮した「エコ」な観光の実現を目指している。堀川遊覧船の電動化にも2001年から取り組んできた。その実現を目指し、今回はホンダとタッグを組み、電動船外機の性能などを確認する実証実験を行うことになった。

マイクなしで声が届くように

実験初日の8月8日は、松江市の上定市長などが試乗し、乗り心地などを確かめた。上定市長は、従来の船外機との違いについて船頭に尋ねた。

船頭:
これまでとは違います。これまでは「はぁ?」とか、必ず聞き返しますが、船の一番前の方の声も聞こえています。

電動化で大きく改善されるのが静粛性だ。船頭はガイドも兼ねていて乗客と会話をすることもあるが、これまではエンジン音にかき消され、声がよく届かなかったという。モーターを使うことで騒音が小さくなり、船頭の声もマイクなしで乗客の耳に届く静かさだった。

環境先進都市を目指して

もちろん、環境面でもメリットは大きい。

バッテリーで動く電動船外機からは二酸化炭素は排出されない。「堀川遊覧船」で使用されている約40隻を全て電動化した場合、年間で約47トンのCO2排出削減につながるということだ。

松江市・上定市長:
静かなだけでなく、二酸化炭素を排出しない電動モーターに、少しずつですけど置き換わっていきます。「堀川遊覧船」の魅力が高まり、松江市が「脱炭素」に向けて乗り出している象徴になる。

実証実験は2隻の船を使って1年以上行われる計画で、バッテリーやモーターの性能の季節変化などを確かめる。そして、10月ごろからは実際に客を乗せて「モニター運航」を実施、遊覧船としての実用性を確認することにしている。

環境先進都市を目指す松江市。環境に配慮した新しい観光の形も模索している。

(TSKさんいん中央テレビ)

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