島根・松江市の堀川遊覧船は、国宝松江城を囲む堀川を巡り、水上から城下町の風情を楽しめると、多くの観光客でにぎわっている。
この遊覧船を電気で船を動かし、エコな乗り物に生まれ変わらせようと、松江市と大手自動車メーカー「ホンダ」がタッグを組んで、8月から実証実験を始める。
電動推進機で「CO2の排出量実質ゼロ」実現へ
この日、報道陣にお披露目されたのは、大手自動車メーカー「ホンダ」が開発を進めている小型船舶用の「電動推進機」。エンジンに代わって電気で動かす次世代の「船外機」だ。

松江市は「ホンダ」と協力し、8月から実証実験を実施。「電動推進機」の性能や実用性を確かめ、2001年から取り組んでいる堀川遊覧船の「電動化」の実現を目指す。

本田技研工業・鶴薗圭介さん:
ホンダが掲げている「CO2の排出量実質ゼロ」を実現する第一歩になる。自由な運転の喜びを提供するために、今回の実証実験に全力で取り組みます
乗り心地にも変化が
実証実験のスタートを前に公開された実験船に、一足早く試乗した。

村上遥アナウンサー:
現在使われているエンジンを触ってみますと、ぶるぶると震えて音がします

村上遥アナウンサー:
そして、今回、実証実験が始まる「電動推進機」。電源が入っていますが、振動もなく音がしません。また、排気ガスが出ないため匂いもしません

船頭さん:
静かですね、波の音がちゃぷちゃぷと聞こえる。ガソリンのエンジンでは聞こえない。より良い状況で乗ってもらえると思います
バッテリーで動く「電動推進機」は、音や振動がない。乗り心地の向上以外にも、排気ガスが出ないため、環境負荷の改善にもつながりそうだ。
「松江らしい観光の実現」の第一歩

松江市・上定昭仁市長:
松江の一大観光資源である堀川遊覧船が電動化を図れることは非常に大きな、松江市のグッドニュースだと思う。サスティナブルなツーリズムを進めるにあたって、パイロットとなるプロジェクトだと思う

松江市は2023年4月、環境省の「脱炭素先行地域」に選定され、政府が掲げる2050年の目標に先駆けて、2030年までに温室効果ガス排出「実質ゼロ」の実現に向けた取り組みをスタートさせる。実証実験は8月8日からで、終了時期は決まっていない。
松江市は、電気で動く遊覧船で、環境に配慮した松江らしい観光の実現を目指していく。
(TSKさんいん中央テレビ)