残り1カ月半となった今シーズンのプロ野球。7月以降20勝12敗と勢いを増す楽天イーグルスは、クライマックスシリーズ進出が狙える4位につけている。好調のチームを支えるのは鈴木大地。プロ12年目、33歳のベテランの現在地に迫った。

この記事の画像(11枚)

上位狙うチームに欠かせないベテラン

8月11日のオリックス戦6回、3点リードの場面で代打で登場した鈴木大地。その2球目、振り抜いたバットから放たれたボールは、ライトスタンドに飛び込んだ

勝負を決定づける2ランホームランだった。まだまだ衰えを感じさせない33歳。上位を狙うチームに欠かせない存在となっている。

今年でプロ入り12年、ゴールデングラブ賞を2度獲得した堅実な守備と、勝負強いバッティングで昨シーズンまで10年連続で120試合以上に出場。7月2日には、通算1500試合出場を達成した。

「チームに必要される選手になりたいという思いはずっと持ってやっていたし、1年目からとにかくがむしゃらに、一生懸命やってきた結果を評価して頂いた。全ての積み重ねかなと思っています」
(鈴木大地選手)

開幕2軍スタート…味わった挫折

FA(フリーエージェント)権を行使し、楽天に移籍して4年目となった今シーズンだったが、ルーキーイヤー以来となる開幕2軍スタートを余儀なくされた。大きな挫折を味わったと鈴木は話す。

「すごくショックだったし、チームが「これから開幕だ!」となったときに、1軍の一員となれなかったことは、とても悔しかったんですが、だったら這い上がっていくしかないと思った」
(鈴木大地選手)

その言葉の通り、鈴木は、ファームで結果を残し、4月中旬には1軍昇格を果たした。しかし、そんな彼を待っていたのは、厳しいレギュラー争いだった。新戦力の加入や若手の台頭もある。1軍に舞い戻ったからといって、スタメンが確約されたワケではないのだ。

それでも鈴木は、「現状に満足するのではなく、野球がもっと上手くなるんじゃないか、まだ体が動くんじゃないか…」自身に起こったこと全てを受け入れたうえで、前向きに練習に取り組んでいる。

どんなときでもがむしゃらに

控えに回った試合でも、チームの先頭に立ち大声を出し、仲間を出迎える。そんなムードメーカーとしてもチームを支えるベテランに対する周りからの信頼は厚い。

「最後まで練習しているし、手を抜かずやっている。自分の状態がいい時も悪い時も、変わらずにチームを鼓舞して先頭に立ってチームを引っ張ろうとしてくれている。本当に頼りにしています」
(渡辺直人コーチ)

「試合終わりですぐさま練習に向かう姿勢を毎日見ている。常に上を目指す姿は見習うべきところが多い先輩です」
(伊藤裕季也選手)

前向きに、がむしゃらにー。どうして自分をそこまで追い込むことができるのか。鈴木本人に聞いてみた。

「正直いい思いよりも、悔しい思い、キツイ思いをしてきたことの方が多くて…。それでも試合は進んで行くし、次の日は試合をしなければならない。『僕もまだまだ負けたくない』という気持ちをぎらつかせてやりたいなと思います」
(鈴木大地選手)

Q残りのシーズンについて意気込みを
「ここからがすごく大事。奇跡を起こせるように。チーム力で頑張りたいと思います」
(鈴木大地選手)

挫折から始まった今シーズン。鈴木の7月は打率は3割を越え、チームの快進撃を支えている。残りのシーズンはおよそ1ヵ月半。3位浮上、クライマックスシーズン進出、そしてその先へ。ひたむきな「野球愛」を貫くベテランがチームの勢いをさらに加速させていけるか注目だ。

(仙台放送)

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。