誰もが、バナナといえば“黄色”を思い浮かべることだろう。そんな固定観念を覆す、“緑色”のバナナをドール(Dole)が発売する。

この「Doleグリーンバナナ」は熟成加工していない未熟状態のバナナ。生で食べることはできず、電子レンジで加熱することでジャガイモや栗のような味と食感になるという。様々な料理やスイーツに使うことができ、産地のフィリピンでは日常的に料理に使われているとのことだ。

Doleグリーンバナナ(提供:ドール)
Doleグリーンバナナ(提供:ドール)
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実はこのグリーンバナナは、これまで廃棄されていた規格外バナナ。私たちが普段食べているドールの黄色いバナナは、未熟状態のまま収穫され、日本に運ばれてから熟成加工されて黄色くなったもの。一方で、小さな傷があったり大きさが少し小さかったりして規格外となったバナナは、日本に運ぶ前に廃棄せざるを得なかったという。

もちろん規格外といっても味に問題があるわけではなかった。そこでドールはこの未熟状態のバナナを料理に使える“新食感食材”として、日本で販売することとした。この魅力を広げることで、食品ロスの削減も目指しているという。

8月下旬~9月上旬を目途に発売し、都内の小売店などで購入できるという。価格は同社の黄色いバナナと変わらないとのことだ。

下ごしらえは電子レンジで加熱

なお、食べ方の下ごしらえは、バナナの両端をカットし、水にさらして(くぐらせて)ラップを巻き、1本あたり電子レンジ(600ワット)で2~3分加熱する。皮が裂けてきたら食べごろだそう。

食べ方の手順(提供:ドール)
食べ方の手順(提供:ドール)

では、日本ではなじみの薄い未熟状態のバナナのおすすめの料理はなんだろうか?また、このグリーンバナナを通じて消費者に伝えたいことは? ドールに聞いた。


――どんな料理に合うの?

甘みがなく、クセがないのでいろいろな料理に合います。ホームページでもレシピをご紹介しているのが、バナナフライ、味噌汁、カレーです。加熱時間も短く、皮むきも簡単にできるので、ジャガイモと置き換えると調理時間の短縮にもなります。

“青バナナの腸活味噌汁”(提供:ドール)
“青バナナの腸活味噌汁”(提供:ドール)

――では、肉じゃがやポテサラに使ったらどう?

非常においしいです。ほかにも、クリームシチューやグラタン、チーズ焼き、ポタージュ、オムレツなど30品ぐらい試作してみたのですが、どれも本当においしかったです。シンプルにサラダにするのもおすすめですよ。

“青バナナのカレー”(提供:ドール)
“青バナナのカレー”(提供:ドール)

――レンジで加熱するのではなく、煮たり焼いたりしてもいい?

おすすめできません。生のグリーンバナナを煮たり焼いたりすると、ラテックスという成分によって鍋や食器が変色してしまいます。日本の方は汚れに気を使うので、この問題があったためにこれまで日本でグリーンバナナを販売できなかったのです。

そこで、ラテックスの付着を抑えつつ、手軽においしく食べられる方法はないかといろいろ試した結果、バナナの両端をカットし、水にさらしてラップを巻いてレンジで加熱する方法にたどりつきました。この方法を開発できたので、今回、発売に至ることができました。

食品ロスの削減につながることも知って

――ちなみに、グリーンバナナを放置していたら黄色くなって甘くなるの?

個体によって黄色くなることはありますが、市販の黄色いバナナのようにおいしくなるわけではありません。市販の黄色いバナナは、追熟加工(熟成加工)されています。追熟加工では、バナナを温度管理された「室(むろ)」に置き、熟成を促すためのガス掛けなどの工程を経るので、普通のご家庭に置いておいても同じようにはならないのです。冷蔵庫で保存し、緑色のうちにできるだけ早めにお召し上がりください。


――最後に、グリーンバナナを通して消費者に伝えたいことは?

フルーツは栄養豊富で素晴らしい食品ですが、若者世代の喫食量は減っています。そんな中、珍しい“Doleグリーンバナナ”を試すことで、改めてフルーツの魅力に触れてほしいと思います。そして、“Doleグリーンバナナ”を食べることが食品ロスの削減につながることも知ってほしいですね。

見た目はバナナだけど味はジャガイモ

おすすめの食べ方はわかった。では実際、どのような料理が出来上がるのだろうか。発売前のDoleグリーンバナナを送ってもらい、編集部でバナナ料理にチャレンジしてみた。

まずは、バナナの両端をカットすると、独特なフレッシュな香りが広がった。次に、水にくぐらせてラップをして電子レンジで加熱すると、素手で触れないほどに熱々に。粗熱を取ってから皮をむくと、手で簡単にむくことができた。

加熱したDoleグリーンバナナ(編集部撮影)
加熱したDoleグリーンバナナ(編集部撮影)

中身は普通のバナナと変わらない見た目だが、味見をしてみると、確かにジャガイモのような味がした。

2種のバナナ定食を作ってみた

下ごしらえを済ませ、2種の定食を作ってみることに…。

“肉バナ”定食(編集部撮影)
“肉バナ”定食(編集部撮影)

まずは、肉じゃがのジャガイモをバナナに置き換えた“肉バナ”定食。付け合わせは、バナナの味噌汁、ポテトサラダ風のバナナサラダ、バナナチーズ春巻きだ。

“肉バナ”と味噌汁は見た目がちょっと不思議な感じがしたが、味がよく染みておいしかった。Doleグリーンバナナは煮崩れしにくく、しっかり味を染み込ませることができた。バナナサラダはジャガイモよりも時短ででき、しっかりめの歯ごたえ。そして、サラダの余りで作ったバナナチーズ春巻きは、チーズとバナナの相性が抜群。お酒のおつまみにもおすすめしたい。

バナナスパイスカレー定食(編集部撮影)
バナナスパイスカレー定食(編集部撮影)

もう一種は、バナナスパイスカレー定食。バナナフライとバナナの冷製スープ(バナソワーズ?)添えだ。

カレーは、スパイスの風味とほくほくでやさしいバナナの相性が良かった。バナナフライは、この中では手軽かつ最もグリーンバナナの風味を楽しめる一品かもしれない。今回はチリソースでいただいたが、シンプルに塩コショウでも、ガーリックマヨなどの変化球でもおいしいかもしれない。冷製スープは思ったより粘りが出て、粘度の調整が難しかった。ぜひプロのレシピで作ってみたい。

なお2種の定食を作ってみて気になった点もある。冷めると食感が変わるので、温かいうちに食べたほうがよいと感じたのだ。温めなおせば問題ない料理もあるが、そんな点を解消するレシピがあれば嬉しい。

ちなみに今回の料理の中では、春巻き、フライ、カレーが気に入ったので、また作ってみようと思う。

公式HPでは箱入りでも予約販売中(提供:ドール)
公式HPでは箱入りでも予約販売中(提供:ドール)

火を使わずに下ごしらえができるDoleグリーンバナナ。料理のレパートリーを増やすのに試してみるのも良さそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。