市民が待ち望んだ「ローソン」進出

8月1日、北海道稚内市にローソンが2店舗オープンした。

開店10日前にはアルバイト従業員向けの研修が始まっていた。

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稚内市のコンビニはこれまでセイコーマートだけだった。

ローソンの出店最北端は、オホーツク地方の雄武町。

稚内市民は約150キロ離れていてもローソンに行っていたという。

「『ライブのチケットをとりに小平まで行ってきた』と聞く。知り合いがEXILEのDVDを予約するのに行ったというのを聞いた」(稚内市民)

ローソンでおなじみの「ロッピー」は、マルチメディア端末としてチケットやグッズの購入、各種の支払い代行ができる。

これまで稚内市民はロッピーを利用したい場合は車で片道2時間半をかけなければいけなかったのだ。

そんな待望のローソンに市民は高い関心をもっていたが、出店へのハードルは高かったという。

ローソン北海道カンパニー・坪井佑樹さんによると、今回一番課題になったのは稚内市への配送の問題で、検討を重ねた結果、店舗の『稚内プロトモデル』を構築したという。

稚内への物流拠点は約240キロ離れた旭川市だが、

1年間で風速10メートルを超える日が90日を超える稚内市では冬になると猛吹雪になり交通網が遮断される恐れがある。

厳冬の”物流遮断”に「秘策」構築!

物流の課題を解決するために作られたのが今回初めて作られる「稚内プロトモデル」。

その秘密はバックヤードにあった。

通常よりも約2.7倍の広さのバックヤードには冷蔵庫を設置することで商品を長期に保管でき、物流が止まっても商品を供給できるようにしたという。

さらに、力を入れたのが「まちかど厨房」だ。

一度に30合分が炊けるという炊飯器がなんと3台も。

物流が止まった時でもおにぎりやお弁当を店舗で作れるように設置したという。

フライヤーも通常の2台から3台に増やした。

さらに、企業秘密のため見せられないが、稚内だけで先行的に始まるカツ丼を作るための機械が初導入された。

卵のふわふわ感を誰でも作れるようにするためにこの機械が必要だという。

「機械を使うことで自動で調理工程が進む機械。味のブレは少ないと思う」(ローソン 北海道カンパニー・井筒まな実さん)

カツ丼を作るために実験的に導入された機械だが、今後のまちかど厨房のメニューの充実にも一役買う可能性がある。

今回出店したローソンをみると特徴的なのが駐車場。

41台止められるスペースが確保されている。

また、通常よりも1.4倍の広さをもつ店舗の中にも、ほかのコンビニではあまり見られないスペースがあった。「喫煙室」だ。

「宗谷地方は風が非常に強い。冬場になると吹雪になるため外で喫煙するのはなかなか困難。快適に過ごしてもらうように整備した」(ローソン 北海道カンパニー・坪井佑樹さん)

さらに、冷凍食品などの食料品の販売スペースも広く作られていた。

販売される食料品は、独自で仕入れたものが多くある。

旭川「ぎんねこ」の焼き鳥弁当や老舗のいなり寿司。

他にも地ビールや地方のレトルトカレーなどがあり、その中でも開発担当の坪井さんがおすすめなのが年間100万個も売れている名寄市のソフト大福だという。

オープンまで残り2日、稚内市内の公民館ではアルバイト従業員への接客研修が行われていた。

ローソンの出店がこれまでなかった稚内だが、企業文化を理解してもらうために福岡県から講師に来てもらったという。

さらに、サプライズで、キャラクター「ポンタ」が研修の応援に来ていた。

オープン初日 3000人以上が詰めかける

開店の2時間前からまちかど厨房はフル回転で動き出していた。

人気のからあげクンを大量にストックして開店に備える。

店の外には待ちきれない人たちで100人以上の行列ができていた。

そして午前8時、営業が始まった。

一気に店内は大混雑に!

お客さんのお目当てはやはりからあげクン!

来店した稚内市民からは「おいしい。この味です!最高です!」と満足の声が。

"からあげクン待ち"ができるほどの人気ぶりになっていた。

この日、41台の駐車場は常に満車。

3000人以上が駆けつけオープン初日は大成功に終わった。

稚内市内では8月末にすでに3店舗目が作られることが決まっている。

最北の市民が歓喜するローソンの進出。

舞台裏には、地元の人に寄り添った新しい店づくりの姿があった。

北海道文化放送
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