8月5日、6日に開催された「松江水郷祭」。メインイベントの「湖上花火大会」では、2日間で過去最多の2万発の花火が夜空を彩った。物価高が続く中、松江の夏の風物詩にもなっている花火大会を経済的に「持続可能」なイベントにするため、2023年は有料観覧席のエリアが拡大され、市民や観光客からは賛否についてさまざまな声が上がった。

有料観覧席に賛否の声

2023年の「松江水郷祭」で打ち上げられた花火の数は、2日間合わせて過去最多の2万発。

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打ち上げ用の台船も2倍の4隻に増やされ、横並びに4カ所から打ち上げられる大輪の花火が湖上を彩った。打ち上げ場所の宍道湖周辺には、2日間で2万6,000席の有料観覧席が用意され、一気に2022年の10倍近い席数に拡大された。

打ち上げの約1時間前。有料エリアは全般的にゆとりがあり、ゆったりしたスペースが確保される一方…。

近くの無料エリアは観客で隙間なく埋まり、例年通りの混雑ぶりだった。有料席の観客に話を聞くと、好意的な反応が見られた。

有料席の観客:
いい企画じゃないですか、いいと思います

ーー料金設定については?

有料席の観客:
今回は東京などから観光客を呼んだから仕方ない

有料席の観客:
湖の上の花火大会にどうしても行きたくて大阪から来た。大阪の花火大会も金額は一緒ぐらいなので、めっちゃ高いとは思わなかった

一方、無料席の観客からは否定的な意見が多く聞かれた。

無料席の観客:
どこが有料でどこが無料か、ここに来て初めて分かった。事前に具体的な情報が欲しかった

無料席の観客:
最低1人5,500円は高い。せめて松江市民はもっとゆったり見たいと思う

有料観覧席の正確な利用実績は集計中で明らかになっていないが、取材では6割程度が利用されたとみられる。

「持続可能」な花火大会へ

実質的に初めて本格的に設置された有料観覧席について、イベントの主催者は…。

松江商工会議所・金井寿彦常務理事:
まずまずの船出。2年から3年かけて、しっかりした形にしていけばと考えています

主催者として、有料化の最大の目的は「松江水郷祭」の継続的な実施。コロナ禍の影響が落ち着いた中でも、全国的に花火大会の廃止や中止が相次ぐ中、課題となっている資金や人手の不足を解消し「持続可能」なイベントを目指している。

松江商工会議所・金井寿彦常務理事:
警備費をはじめとした諸経費、それから安全・安心を確保できないということでほかの地域では中止になっていると聞いていますので、やはり有料にしなければ、しっかりとしたこと(イベント)ができないと今回分かっている

主催する松江水郷祭推進会議は、席数や価格設定、オプションなどを見直しながら、2024年以降も有料観覧席を継続する方針だ。

経済的に「持続可能」な環境を整え、松江の夏の風物詩「松江水郷祭」を国内有数の花火大会に育てたいと意気込んでいる。

(TSKさんいん中央テレビ)

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