8月3日午後1時過ぎ、東京・中野区にある日本大学アメリカンフットボール部の寮に、警視庁が家宅捜索に入りました。
この記事の画像(20枚)捜査の目的は、大麻取締法違反と覚醒剤取締法違反の容疑です。
捜査関係者によると、7月上旬、大学側がアメフト部の寮の内部から植物片と錠剤を発見。これを警視庁が押収し鑑定を進めていました。
鑑定の結果、植物片は大麻と判明。さらに錠剤から検出されたのは覚醒剤の成分でした。
複数の薬物が見つかったことについて、元厚生労働省麻薬取締部捜査第一課長の廣畑徹氏は、「一つの薬物を使うと、他も試したくなる。密売人は“おまけ”として絶対にほかの薬物をくれる。不思議なことではない」と話します。
“悪質タックル”から5年 再起を図る中なぜ
「めざまし8」は日大アメフト部のOBを取材。
2018年に“悪質タックル”を行ったとして、公式戦への出場資格停止処分を受けた日大アメフト部。その後2019年に解除され再起を図っているさなかに、寮から薬物が発見されたことについて、驚きを口にしました。
日大アメフト部OB:
(寮は)時間になったら点呼が入ったりしますし、それこそ各部屋に寮長がいるので、見周りとか、そういうの徹底していましたし。
あとはやはり練習がハードだったので、そんなこととか、そんなものをするような感覚もなければ、時間もないので。そんなことやる時間があるなら練習しろって話なんですけど。
4年生やレギュラー、地方から来た部員など50人ほどが生活しているという寮。
日大アメフト部OB:
やっぱり5年前にあんな地獄を見ているので。当時、日大がそういったことを起こしてまでも「日大」っていう形で(入部して)。若い学生さんだと思うので、そんな子たちが覚悟を持って日大に行ってるんだったら、そんなことしないと思うんですけど…。
5年前の“タックル問題”を知った上で入部した部員たちが、薬物に手を出すとは信じられないといいます。
さらに、報道を受けて現役の学生たちは…。
日本大学 現役大学生:
これから受験しようとしてる人が一気に減ったりとか、大学の部、イメージというか、ブランドに影響が出ると思います。
日本大学 現役の大学3年生:
前のアメフトタックル時に、なんか就活が不利になったみたいな話を聞いたんで、そっち(就活)に影響しないかどうかちょっと心配です。(大学側には)薬物所持に対しては、ちゃんと生徒に周知させてほしいし、学校側からも厳しい対応してほしいなと。
「簡単に手に入る」若者の大麻使用が増加
今回見つかった、乾燥大麻と覚醒剤の成分を含む錠剤。このような薬物は、若者が簡単に手にすることができるのでしょうか?
元麻薬取締部 捜査第一課長・廣畑徹 氏:
簡単に手に入ります。SNSや友人からとか、簡単に手に入る状況にあります。(若者に)まん延していますね、氷山の一角だと思います。
警視庁によると、近年、10代で初めて大麻を使用するというケースが増加しており、2018年~2022年の過去5年間は増加傾向にあるといいます。2022年の摘発者の約7割が「20代以下」です。
薬物の価格は、大麻は1gあたり約6000円。覚醒剤は大麻の10倍の金額になり、入手も困難だといいます。
元麻薬取締部 捜査第一課長・廣畑徹 氏:
大麻1gで、ジョイントと呼ばれる大麻タバコが、大体2~3本作れるんです。量を買った方がどんどん安くなるので、友達を集めてお金を集めて、どんどん大量に買っていくという傾向があります。
さらに、スポーツライターの小林信也氏は、「寮生活」がまん延するきっかけになった可能性があるといいます。
スポーツライター 小林信也 氏:
例えば大学に入って、自分はもうレギュラーになれないと分かってしまう。それでもその後、卒業までの長い時間を過ごす。やめるわけにもいかないという、非常に目的意識の低い部員が出てしまう。今回そういう人が対象かは分かりませんけど、これがいろんな問題が起きているときの要因のひとつですね。
フジテレビ解説委員 風間晋 氏:
若者自身が、自分を守る、自分の人生を守るという意識を強く持たないといけないと思っていて、それはある意味「闇バイトに関わらない」っていうのと通じるところがあるわけです。
そういう意識というのは、やはり小中高時代に教育を通じて、学校教育であり、家庭教育を通じて育む必要があって、具体的には自分自身で考えて、自分自身で判断してほしいですね。
今回の薬物問題を受けて日本大学は、以下のコメントを発表しました。
「関係者の皆様には一連の報道に心を痛めておられることと存じますが、本学では警察への協力とともに、独自の調査を行うなど事実確認を進め、対応しているところです」
(めざまし8 8月4日放送)