仕事の途中で疲労や眠気を感じることは、誰にでもあるだろう。そんなとき、気軽に立ったままリフレッシュできるという「仮眠ボックス」が登場した。

(出典:広葉樹合板)
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それが北海道・旭川の広葉樹合板株式会社が開発した「giraffenap(ジラフナップ)」で、立ったまま仮眠をとることができるという。

20分間の使用で「疲労回復やストレス軽減、記憶力や集中力の回復、創造力の向上などパフォーマンス向上に役立つ」としている。なお「giraffenap」の由来は、英語でキリンを表す「ジラフ」と、短時間の昼寝を意味する「パワーナップ」を組み合わせているという。

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ボックスの中には、腕と頭を乗せる「アームパッド」、尻を乗せる「お尻パッド」、膝下の部分を当てる「すねパッド」、足を置く「足裏パッド」がある。

このうち「アームパッド」と「お尻パッド」は内部のスイッチで高さが調節でき、ここに体重を預けることで、どんなに脱力してもリラックスできる立ち寝姿勢がキープできるという。

(出典:広葉樹合板)
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様々な人が使うことを考えれば衛生面が気になるが、パッド表面は水や油が染み込みにくい生地を使っていて、ひと拭きで汚れが落とせるという。さらにアームレスト用の使い捨て不織布を、オプションで用意しているとのことだ。

(出典:広葉樹合板)
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熟睡しすぎないから仕事の復帰も早い

しかし、立ったまま本当に疲れが取れるのか疑問に思う人もいるのではないだろうか。

同社が北海道大学、台湾の成功大学と共同研究を行ったところ、立ったまま寝ると「睡眠段階2」と呼ばれる、軽い寝息をたてる程度の睡眠状態が30分以上にわたって続いたそうだ。このことから仮眠の効果が実感でき、逆に熟睡しすぎないため、使用後も頭がボーッとすることなく仕事に復帰できるとしている。

(出典:広葉樹合板)
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giraffenapのデザインは2種類。未来的な「スペーシア(SPACIA)」と森の中をイメージした「フォレスト(FOREST)」があり、サイズは小型の公衆電話ボックス程度だという。同社によると、仮眠用のベッドと比べて半分のスペースで設置できるとのことだ。

左からスペーシアとフォレスト(出典:広葉樹合板)
左からスペーシアとフォレスト(出典:広葉樹合板)

どちらも内部にはスマホの充電などに使えるUSB Type-A端子とコンセントが備わっており、照明は7段階に調節可能。ドアには鍵もかかる。

スペーシアは完全個室になるため、吸気口や換気扇と空気清浄機、さらに火災感知器と自動消火装置を搭載。一方のフォレストは火災報知器を備えており、後付けでスプリンクラーの設置も可能。CUSP-GEMという高度な空気清浄機を使って、より清潔な空気環境で過ごせるという。

価格はどちらも300万円前後を想定しているが、市場のニーズやマーケティングにあわせて調整するそうだ。

(出典:広葉樹合板)
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実はこの仮眠カプセルは、今から約1年間にSNSなどで話題になったことを受け、編集部でも取材している。当初の予定通り2023年夏の発売が実現したのだが、現在もネットでは高評価がある一方で、疑問を感じているような声をある。

(参考記事:立ったまま休める「仮眠ボックス」を開発!? 背景には職場での“休憩しにくい問題”…縦型にした狙いを開発企業に聞いた

オフィスやカフェなどの設置を想定

立ったまま寝ることができる仮眠ボックスにはいろいろな声があるようだが、どう捉えているのか?また、この1年の開発では、どんな点に苦労したのか? 広葉樹合板の担当者に聞いてみた。


――giraffenapを作ることになったきっかけを改めて教えて。

2021年に、北洋銀行が主催した知財ビジネスマッチングにおいて、弊社とイトーキ様が個別商談を行いました。その後、イトーキ様が保有する開放特許が広葉樹合板の構想していた新商品・サービスに利用できると考え、意見交換を重ねてライセンスの契約締結に至りました。

2022年7月、そのライセンス契約のニュースを見た北海道大学の石橋教授より、密閉気流システム(高度な空気清浄システム)のご提案がありました。そして睡眠研究分野で台湾の成功大学様をご紹介いただき、弊社との共同研究を開始することになりました。


――よく寝たほうが疲れがとれそうだが、浅い眠りにはどんなメリットがある?

浅い眠りのメリットは、深く眠りすぎないため、ビジネスシーンにおいて素早く仕事に復帰できる点です。深い眠りのデメリットは、仮眠において深い眠りに入ってしまうと、脳の立ち上がりが遅く仕事への復帰が遅れる点です。


――1年前の取材時は「スペーシア」のようなイメージ画像だったが、「フォレスト」はどんな経緯で登場した?

スペーシアとは異なるコンセプトの、和風のデザイン性や、機能性(高度な空気清浄システム)を追求した結果できた商品です。

(出典:広葉樹合板)
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――開発にあたって、最も苦労した点は?

世の中にない商品なのですべてにおいて苦労しましたが、特に安全面において気を使いました。


――giraffenapはどんな場所に設置することを想定している?

オフィス・医療施設・空港・カフェ等です。


――SNSなどで様々な意見がでていることをどう捉えている?

様々なご意見を頂戴していることは拝見しております。それだけ皆さまに関心を持っていただいていることと受け止めております。

(出典:広葉樹合板)
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ちょっと休憩時間があるときなど、短い時間だけ仮眠したいと思うことは、よくあるのはないだろうか?

なお8月22日からは期間限定で、「ネスカフェ 睡眠カフェ in 原宿」でgiraffenapを体験できるという。どれくらいリフレッシュできるか試したい人は訪れてみても良さそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。