3人が犠牲となった佐賀・唐津市浜玉町の土砂崩れは、市が避難指示を出してから約10分後に発生。いつどのように避難を呼びかけるべきか、暗い時間帯の対応など自治体の判断の難しさが課題となっている。

土砂崩れの瞬間 住民は…

視聴者が撮影した土砂崩れの瞬間を捉えた映像。撮影時刻は10日午前6時12分。早朝の出来事だった。

土砂崩れの瞬間を捉えた午前6時12分の映像
土砂崩れの瞬間を捉えた午前6時12分の映像
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大量の土砂が、木をなぎ倒しながら住宅に流れ込んでいく。
別の場所から土砂崩れを見た住民は…。

土砂崩れを見た人(88):
すごかった。これだけ雨が降っていて、土煙がばーっと上に舞い上がりながら(土砂が)下に流れて…すごかった

土砂崩れを見た人(80):
びっくりして言葉が出ない。私たちは山に囲まれているから(大雨の時)いつも山を見る。怖いから(2階の)ベランダに避難するようにしている

土砂崩れの発生から約4時間後
土砂崩れの発生から約4時間後

土砂崩れの発生から約4時間後の上空からの映像。消防や警察が、行方不明者を屋根の上から捜索しているのがわかる。この土砂崩れで、男女3人が死亡した。

2時間続けて“猛烈な雨”

土砂崩れが起きた今坂地区では、午前5時までの1時間に88mm、午前6時までの1時間に81mmと、2時間続けて猛烈な雨が降った。

ウェザーニューズ・甲斐隆宏気象予報士:
(現場周辺は)地盤などが比較的雨に強くない状況が考えられる。短時間で降ったこともあり、一気に土砂災害につながった

雨雲の動きを見ても、10日の午前4時ごろから現場周辺に「紫」で示す雨雲がかかり続けている。

“暗い時間帯”の難しい判断

唐津市には午前0時40分、警戒レベル4に相当する土砂災害警戒情報が発表されたが、当時、市の災害情報連絡室は、同じレベル4の避難指示をいつ出すのか難しい選択を迫られていた。

唐津市 危機管理防災課・坂口順之課長:
暗い時間での移動は危険ではないか?と。土砂災害の危険性が高まっていたが、もちろん同時間帯に河川の氾濫も考えられていた。その中で避難指示を出すことは、避難する人の身の安全を確保できるものではないと判断した

市が避難指示を出したのは、あたりが少し明るくなった午前6時。結果的には、その約10分後に土砂崩れが発生した。
いつ、どの地域に避難を呼びかけるのか。自治体の判断の難しさが浮き彫りとなった。

唐津市 危機管理防災課・坂口順之課長:
判断の難しさと課題は、これで完成というものはない。より精度を上げた判断はずっと求めるもの

“危険の有無”平常時に確認を

ウェザーニューズ・甲斐隆宏気象予報士:
まずは平常時に、家の周りや学校の周りに危険がないかを常日頃から確認しておくことが大事。大雨の時も自治体から出る情報を待つのではなく、自ら先に行動するように心がけておく。場合によっては垂直避難、自宅の2階など安全な場所で過ごすことを積極的に行ってほしい

(サガテレビ)

サガテレビ
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