秋田県内の記録的大雨で、広い範囲で被害が出て1人が亡くなった五城目町。町の高齢者施設は床上浸水の被害を受けたものの、速やかに避難させることで入所者全員の命を守った。一方で、避難が長期化した場合の対応という新たな課題が見えてきた。
泥水にのみ込まれたベッドや医療機器
五城目町の介護老人保健施設「湖東老健(ことうろうけん)」は、入所者約80人に加え、30人ほどがデイケアを利用している。

施設は、今回の記録的大雨で氾濫した馬場目川と富津内川が合流する地点の近くに位置し、床上まで浸水。ベッドや家具、冷蔵庫や医療機器などが泥水にのみ込まれ、廃棄せざるを得ない状況となった。

壁を見ると、水位は膝上に迫るほどになったと想像できる。

開始から2時間半で入所者の避難完了
湖東老健・佐藤直人事務長:
雨量が上がってきて危険だなということで町から連絡が入り、(デイケアの)通所はすぐに中止。入所の方は、近くの避難所と町の避難所、関連施設にそれぞれ移動を開始した
施設には、15日午前8時半過ぎに町から避難指示発令の連絡が入り、午前10時から入所者の避難を始めた。約2時間半で避難所や関連施設などに入所者全員を送り届けた。そして3時間後、馬場目川が氾濫した。

迅速に全員を避難させられたのは、いざという時のネットワークが構築されていたからだ。五城目町や潟上市、男鹿市など8市町村の高齢者施設や医療機関は、災害時に連携することを決めている。

湖東老健・佐藤直人事務長:
他の法人と災害時の相互支援なども提携しているが、今回は社会福祉法人「敬仁会」からの支援で、移送の車を出してもらった。そういったところが迅速な避難につながったんじゃないかなと考えている
垣根を越えた支援の輪
一方で、町は各地で断水したため、一部の入所者は避難先を転々とする事態に…。ここでも連携が生かされた。
関連施設だけでは受け入れきれない入所者を、潟上市の病院に移送するなど、垣根を越えた支援の輪が広がった。

避難が長期化した場合の対応は?
事前の準備と地域のネットワークが多くの人の命を救ったものの、災害はこれで終わったわけではない。
湖東老健・佐藤直人事務長:
今後ずっと他の施設に滞在してもらうわけにもいかないので、そういったところですごく頭を悩ませている

避難が長期化した時に、いかに利用者の体と心の健康を守るか…。
新たな課題が浮き彫りになっている。
(秋田テレビ)