タイの首都・バンコクには、いま現地の人に大人気の日本茶カフェがある。このカフェはオーナーのジットチャヤー・サラソムバットさん(通称ナムさん)が静岡のお茶に魅了されたことがきっかけでオープンした。

バンコクで話題の日本茶カフェ

バンコクの街並み
バンコクの街並み
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タイの首都・バンコク。大通りから路地に入った場所にたたずむのが、いま現地で話題の日本茶カフェ・CHAYA Teahouseだ。

日本茶カフェ・CHAYA Teahouse
日本茶カフェ・CHAYA Teahouse

メニューは「抹茶ラテ」や抹茶クリームはさんだ「どら焼き」、茶筅で点てた「薄茶」などなど。使用する茶葉のほとんどが「静岡県産」で、オーナーのジットチャヤー・サラソムバットさん(通称ナムさん)は店を開いた理由について「静岡茶に魅了されたことがきっかけ」と話す。

オーナーは大の親日家

オーナーで親日家の“ナムさん”
オーナーで親日家の“ナムさん”

ナムさんは大の親日家で、店内には萩焼や京焼などの茶器がズラリと並ぶ。これらはすべて日本を訪れるたびに買い集めたもので、ナムさんは「ヒビや釉薬のツヤなど日本らしい美しさが魅力で、完璧である必要はない」と笑顔を見せる。また、店で使用する茶碗は自らデザインを手がけ、タイ北部の職人に作ってもらうほどの熱の入れようだ。

学生時代はアメリカに留学していたというナムさんだが、幼い頃から“日本の食”などに興味があったため何度も来日。そこで出会ったのがお茶だった。

有機栽培の静岡茶に感銘

夢の実現に向けた研修
夢の実現に向けた研修

中でも静岡県菊川市にある茶園・流通サービスが有機栽培で育てたお茶に感銘を受けたといい「とてもおいしく、品質がものすごく高いことに驚いた」と振り返る。この時、ナムさんは「タイの人たちに本物のお茶のおいしさや質の高さを感じてほしい」と店を開くことを心に決め、その後、何度も日本の茶園へと足を運んだ。

そして、ナムさんにとって原点ともいえる流通サービスで研修を受けると、2018年には日本茶の輸入・販売を始め、その翌年、念願だったCHAYA Teahouseをオープンさせた。

流通サービス・服部吉明 社長「すごく根性がある」
流通サービス・服部吉明 社長「すごく根性がある」

流通サービスの服部吉明 社長は研修中のナムさんについて「畑仕事や人が嫌がる仕事も含めてすべてこなしたので、すごく根性がある」と舌を巻く。服部社長によれば、一流と呼ばれるバイヤーこそ「すべての仕事を経験してみたい」と意欲的だといい、経験上「そういう人の方が伸びる」そうだ。

評判が広まり大人気店に

週末は常に満席が続く店内
週末は常に満席が続く店内

オープンから4年。日本を感じられる店の雰囲気と本格的な味わいがタイの人たちの間で評判となり、いまでは週末ともなると常に満席となる盛況ぶり。週に1度は来店するという常連客は「とても爽やかで調和の取れた味がする」と話し、別の客も「タイの抹茶はただ香りがするだけで、普通のカフェで飲める抹茶とは全然違う別次元の味」と満足げな表情を見せる。

日本茶の魅力をさらに広めるために

日本茶の魅力を深く伝えるために講座を開催
日本茶の魅力を深く伝えるために講座を開催

こうした中、ナムさんがいま力を入れているのが日本茶の魅力をより深く伝える活動だ。月に数回、希望者を集めて煎茶の講座を開き、茶葉や製法によって味わいが異なることや、お湯の温度や時間など煎れ方を変えることで口あたりも変化することを伝えている。参加者からは「自分の味覚を広げてくれた」「どのお茶が自分の好みなのかわかった」といった声が聞かれ反応は上々のようだ。また、依頼のあった場所に出向き、抹茶の提供を予定するカフェでは美味しい点て方を指導するなど、日本茶を気軽に、そして身近に感じてもらえるよう精力的な活動を展開しているが「習えば習うほど自分が(日本茶について)全然知らないことに気づくので、まだまだ勉強している最中」と謙そんする。

そんなナムさんの情熱が尽きることはない。「みんながお茶の様々な魅力を知れば、もっとお茶を飲む人が増えるかもしれない」と話し「多くの人にお茶を楽しんでもらうことが私の目標」と目を輝かせる。今後は留学で培った英語力を活かし、タイ在住の外国人向けお茶セミナーの開催やタイ以外の国でもお茶や日本文化の発信に取り組んでいきたい考えだ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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