穏やかな日本海に向かってそびえ立つ、広大な砂の山。日本最大級の海岸砂丘として知られる鳥取砂丘です。

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今、そんな鳥取砂丘にある「異変」が起きているといいます。

“砂漠”のように見えるイメージが強い砂丘ですが、上空から見てみると、まるで砂漠のオアシスかのように、緑の草原が広がっているのが分かります。

鳥取砂丘を襲う“草原化問題”。一体何が起きているのでしょうか?「めざまし8」は現地を取材しました。

国内有数の砂丘に異変…緑が生い茂る?

めざまし8の取材班を案内してくれたのは、鳥取砂丘を見守り続ける「鳥取砂丘レンジャー」の玉野俊雅さん。

鳥取砂丘のメインエリアの広さは、東京ドーム約31個分。年間約100万人もの観光客が砂の織りなす“絶景”を求めて訪れます。

標高は約47m。頂上から日本海が一望できる人気スポットの「馬の背」など、起伏に富んだ美しい光景が広がりますが、その一方で…。

鳥取砂丘レンジャー 玉野俊雅さん:
砂丘のメインエリアの西側になるのですが、ご覧のように緑が大変多いような状況になっています。

メインエリアの西側
メインエリアの西側

「馬の背」の下に広がっていたのは、緑の雑草。ドローンで上空から確認してみると、確かに、砂丘とは思えない緑の草原がかなり広がっていることが分かります。

砂丘とは思えない緑の草原が広がっている
砂丘とは思えない緑の草原が広がっている

これには、観光客からも驚きの声が。

観光客の男性:
グリーンがあると思っていなかったので。もっと砂だけと思っていました。

観光客の女性:
草が生えているのが、イメージと違ったので驚きました。

鳥取県にとって、最大の観光資源である鳥取砂丘。観光業への打撃も懸念されています。

原因は「外来種の種」か 草原化に対抗する“人力”

実は、鳥取砂丘の草原化は長年抱えている問題だといいます。

上空から撮影した写真を見ていくと、1947年はきれいな砂丘が広がっています。

1947年に撮影された鳥取砂丘の写真 きれいな砂丘が広がっている
1947年に撮影された鳥取砂丘の写真 きれいな砂丘が広がっている

しかし1961年、砂の舞い上がりを防ぐため保安林が植えられると、1970年にはそれが成長。1990年には、雑草が生えてきているのが見て取れます。

1990年撮影 砂丘に雑草が生えてきている
1990年撮影 砂丘に雑草が生えてきている

翌年の1991年には、雑草の緑が砂丘全体の42%を占めるまでに。

なぜこれほど急激に雑草が繁殖したのでしょうか?その原因は、保安林についた外来種の種だといわれています。

鳥取砂丘レンジャー 玉野俊雅さん:
砂丘の周りにある保安林の根元に、外来種のタネとかがとまって定着して、それが風などで飛んで来たものであると思います。それが原因で草原化が進んでいると言われています。

鳥取砂丘は国立公園に指定されているため、草原化を防ぐために除草剤をまくなどの行為もできないといいます。

そこで取った対策が、住民など多くのボランティアが「人力」で直接草を抜いていく“除草作戦”でした。

2004年から開始し、多い年は約8000人が参加。最近はコロナの影響で参加人数が減少していましたが、今年は年間3000人を目標に除草ボランティアを募集。草原化の食い止めをはかっています。

鳥取砂丘レンジャーの玉野さんによると、現在、雑草が占める割合は鳥取砂丘全体の約20%。“砂の絶景”を守る戦いは、まだまだ続きます。

鳥取砂丘レンジャー 玉野俊雅さん:
鳥取砂丘というのは砂がメインだと思いますので、砂の景色を見に皆さんいらっしゃってると思います。なので少しでも緑を減らして、砂の景観を楽しんでいただけるように、除草の活動を続けていきたいと思っております。

(「めざまし8」7月21日放送)