小樽商大 VS 北大 の応援合戦
高下駄と羽織袴に身を包んだ“バンカラ集団”。小樽商科大学応援団だ。
100年を超える伝統行事、北大応援団との応援合戦「対面式」に挑んだ。
コロナ禍を超えてマチを元気に。
地元出身の団長の声が響いた。

令和の世に似つかわしくないバンカラ集団、小樽商科大学第109代応援団だ。
団員は4人。6月中旬、大学に元気な声が響き渡っていた。

小樽商大応援団・小笠原廉さん(2年生)たちが行っていたのは、対面式の練習だ。
対面式とは、小樽商大応援団とライバルの北大応援団が行う応援合戦のこと。

明治時代から100年以上続いてきた伝統行事。
ハイライトは、団長がユーモアを交えながら相手をののしる「檄文」を読み上げる場だ。
コロナ禍の中止を経て、3年ぶりに復活。

小樽市と札幌市で交互に行われ、2023年は小樽商大のホーム・小樽市が決戦の舞台となる。
片方20キロの下駄を履き、小樽商大応援団の団長を務めるのは2年生の小笠原廉さん。

小樽市生まれで商大に進学した、生粋の小樽っ子。
対面式当日に練り歩くルートと、所要時間を確認する。

応援団は、幼いころからのあこがれだった。
「小学校の運動会に商大応援団がゲストで来てくれて、すごくかっこいいという記憶があった」(小笠原さん)
こちらが当時の運動会の様子。

全身を使って表現する応援団長の姿に魅せられ、小笠原さんは10年越しの夢を叶えた。
小笠原さんを取材中、小樽市民からこんな声が掛かった。
「109代?頑張ってください。お天気になるようお祈りしてます。パンあげるわ」

イベントで地元を盛り上げてくれる応援団は、市民にとっても身近な存在だ。
「商大応援団は学内よりも学外に人気があるんですよね」と語る団長の小笠原さん。

夜は行きつけの店で反省会をしていたが、
対面式に向け、順調に見える応援団も、実は深刻な問題を抱えていた。
「まず人数が足りない」(商大応援団・千葉竜馬さん(3年生))

「人が足りていたのは、コロナ前のこと」(同・森田亘佐さん(3年生))

対面式には最低でも10人は必要だという。
2022年は知り合いに声をかけ続け、なんとか乗り切ることができた。
団員が減少した理由は、コロナ禍での活動制限だ。

その間、学内で応援団の存在は薄くなり、2023年は新入生の入団もなかった。
団長の小笠原さんは、「商大すげえって思ってもらえるように、またしたい。昔はきっとそうだったと思うので」と語る。
一方、札幌市のライバル北大応援団

北大応援団対面式団長・外ノ池 真志さん(2年生)によると、7人で活動している。
新入生2人が入団したものの、こちらも人が足りない。しかし、寮にOBが多いため、対面式の人員は目途がついているという。

北大応援団は、基本的に学生寮の寮生で構成され、応援団OBや助っ人の寮生など総勢30人以上で小樽に乗り込む予定だ。
対面式2日前、本番を想定した総練習。

助っ人の1年生6人が加わった。
迎えた対面式当日。
小樽商大応援団には、卒業した応援団OBが駆けつけた。

また、島根県からは81歳の“レジェンドOB”が駆けつけた。

現役、助っ人の1年生、そしてOBを加え20人以上に膨れ上がった商大応援団。

舞台は小樽市中心部の商店街、サンモール一番街。
遅れて登場した北大応援団。いざ対面式開始だ!

まずは北大から商大へ、花束の贈呈。
小笠原さんは、花束を掴むやいなや投げ捨てた。
続いては商大から北大へ。

こちらは花束に食らいつき、投げ捨てた。
実はこれ、対面式では恒例の伝統パフォーマンスだ。
檄文読みは北大から。

北大応援団対面式団長・外ノ池真志さん(2年生):
商大の猿ども。わざわざ山から下りてきて、ご苦労だった。応援団を名乗っておきながらお前らがやっていたのは、コスプレ、遠足、合コンもどき!
そして、商大団長・小笠原さんの檄文読み。

小樽商大応援団団長・小笠原廉さん:
よく来たな北大の白豚どもよ。なんと北大初の女性団員が入ったようだ。昼ドラの展開にならないか心配だ!
コロナ禍を超えて続いてく伝統。
「小笠原廉ーー!」
駆けつけた市民からは、惜しみない拍手と声援が送られた。

「長く続けてきたものを、これからも続けてもらいたい」(小樽市民)
「めちゃくちゃ迫力あって、かっこよかった」(小樽商大生)
大学には、コロナ禍前と同じ元気な声が響き渡っていた。
商大応援団団長の小笠原廉さんは、「すごく気持ちよく、楽しかった。商大生や小樽をもっと応援していけるよう、今後もいろんな活動をしていきたい」と語った。