人口減少などを背景に問題となっている地方議員の「なり手不足」。大分県佐伯市の佐伯市議会では7月5日、定数を現在よりも3つ減らす議案が可決された。定数を減らすことで1人あたりの報酬を引き上げようという動きを取材した。
深刻な「議員のなり手不足」
佐伯市議会の定例会最終日。議会運営委員会の山野内委員長が議員定数を25人から22人に改め、3減らすという条例の改正案を提案。その後、可決された。

人口減少などを背景に問題となっている議員のなり手不足。
ことし4月の統一地方選挙では大分県内8つの市町村で議員の選挙が行われたが、1つの市は無投票。6つの市町村では立候補者数が定数をわずかに「1」上回るに留まった。
佐伯市議会でも、おととし行われた前回の選挙では定数25に対し立候補者は26人だった。

定数減の一方で、報酬増やす提案
こうした状況の中、佐伯市議会は、なり手不足対策のため特別委員会を設置。定数を減らす一方で、一人あたりの報酬は増やすことが提案された。
市によると佐伯市での議員報酬は現在、手取りが20数万円で昇給はない。報告書では、これを1人1万9000円から6万4000円の間で増やすことを提案している。その財源としては、議員定数の削減による年間2280万円の予算の一部をあてることにしている。
議会改革調査委員会の冨松万平委員長は「今の議員の待遇を考えたら、25年報酬据え置きなので、これをなんとか少しでも改善して、なり手不足の解消を促す」と話した。

議員の定数減や報酬の増額について市民からは「なり手がいないのは心配」「定数減はいいことだが、増額というのは…」といった声が聞かれた。
議員定数の削減は2025年に行われる次の市議選から適用されるが、議員報酬については今後も議論を続けていくということだ。

(テレビ大分)