7月1日に山開きを迎えた富士山。世界文化遺産に登録されてから10年の節目ということもあってか、2日は、ご来光を拝もうと、多くの登山客でにぎわいました。

盛り上がりを見せる一方で、登山客の急増により山小屋の予約ができない事態に。そのため、一気に山頂まで登る「弾丸登山」が増え、体調不良を訴える人が続出するトラブルも起きていました。

5類以降後初の「ご来光」求め大混雑 歩くのも困難

高さ3776mを誇る日本一高い山、富士山。
2日午前3時頃、日の出予定時刻の1時間前に「めざまし8」の取材班が富士山の9合目を訪れると、「ご来光」を一目拝もうと押し寄せた登山客で大混雑していました。

暗闇の中、登山客たちのヘッドライトが、数百メートル先まで見えます。

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山頂付近はさらに多くの登山客があふれ、歩くのも困難なほど…。

そして、午前4時を過ぎ、辺りが明るくなりなりはじめると、登山道のガイドが登山客を誘導します。

富士山ガイド 石田元志さん:
ごめんなさい。ロープの中入ってよ。おーい、ロープの外ダメだよ。落石するよ。ちょっとそこの人、注意してあげて。ロープの外に人がいるから、中入ってって。ロープの中だよ。Please inside rope。

山頂付近では人が1人通れるほどしかない道幅が狭い場所も。一歩間違えば落石が起きるような状況です。

4時を過ぎ、5時になろうかというところで、雲の切れ目から太陽が顔を出しました。わずか数十秒間ながらも、幻想的で美しい光景に、登山客らは感動を隠せません。

登頂した登山客(67):
ちょうど太陽が出たし、あの瞬間ですね。一瞬だったけど、来てよかったです。

アメリカから来た登山客:
人々がその美しさに魅了される世界の有名な景色の一つだと思います。 山頂に来るとすごく穏やかな気持ちになります。登るかいがありました。

不安視される「弾丸登山」山小屋は予約でいっぱいに

車で訪れることのできる5合目にも多くの観光客が訪れました。賑わいを見せる一方で、昼前には道路が大渋滞に…。

埼玉から来た登山客:
今ちょうど(待って)1時間です。一応、山頂に登ろうかと思っていたんですけど、渋滞なので、とりあえず5合目の駐車場まで行ければ…。

5合目付近の駐車場は一時満車状態となり、マイカーでの入場に制限が設けられました。

そんな中、バスに乗って訪れる観光客の姿も。特に目立っていたのが、外国人登山客です。

アメリカ人登山客:
私たちは、アメリカのサンフランシスコから観光できました。数年間行きたかったけど、コロナ禍を経て最近また(日本が)開いたので。

7合目にある山小屋の食堂にも、外国人登山客の姿が。

スイス人登山者:
今年から東京で働きはじめて、ようやく富士山への旅行を計画できました。

なんと、この日の宿泊客の約7割が外国人登山客。以前は大部屋で寝ていた宿泊客も、コロナ禍以降は寝室に仕切りを設け、宿泊できる人数も半分近くに減らしていることから、山小屋「日の出館」の中村薫さんは、宿泊ができない人による「弾丸登山」を心配しているといいます。

「弾丸登山」は、急激な気温や気圧の変化によって低体温症や高山病にかかる恐れもあるため、注意喚起が行われています。

実際に、めざまし8が取材する中で出会ったカナダ人とブラジル人の夫婦も、弾丸登山で山頂を目指すといいます。

カナダ人とブラジル人の夫婦 山頂を目指すが…
カナダ人とブラジル人の夫婦 山頂を目指すが…

この日は雨が降り続いていたため、8合目の山小屋へいったん避難します。

カナダ人登山客:
下山します。雨も多く、とても寒くて危険です。

悪天候で危険を感じたため、2人は下山することにしました。

半袖に短パン…軽装の外国人登山客ら 看護師「生きて帰ってこられるの」

危険な登山は、弾丸登山だけではありません。取材を続けていると、取材班の目に驚きの光景が飛び込んできました。

夏場でも気温は氷点下となる富士山の山頂で、半袖や短パンの外国人の姿が。強風で雨が降る中、タンクトップ姿で山頂に向かう外国人の登山客もいました。

富士山を登っているとは思えないほどの「軽装」の外国人登山客ら。5合目に開設された救護所の堀田麻由美さんは、不安を口にします。

富士山五合目・救護所 堀田麻由美看護師:
軽装登山でも、登れる人は登れるかもしれないけど、それって果たして安全なのかとか。急にお天気悪くなったら、それであなた生きて帰ってこられるの?みたいなところが、ちょっとあるので。

下山途中に足首を捻挫し救護所に訪れた、イギリス人女性。

堀田さんによると、山登りに慣れてない人などは下山中に体調を崩す人が多いといいます。

富士山五合目・救護所 堀田麻由美看護師:
富士登山って、なかなか皆さん簡単に考えていらっしゃるんですけど、登りは6、7時間。下りも3時間半から4時間ぐらいかかるような、運動強度の高い登山になる。

さらに、「救急車が来ます!」と慌ただしく準備を行う堀田さん。

車に乗り込み山道を駆けあがった先には、救急搬送と書かれた乗り物に乗った外国人男性の姿が。支えられ、ぐったりしています。

搬送されたイギリス人男性の兄:
弟は、歩いているときに呼吸が苦しくなり、歩くのが困難になりました。山小屋まで行く途中で倒れて意識を失いました。

イギリスから訪れたという兄弟は、下山の途中に突然、弟が気を失ったといいます。運ばれている最中に意識は戻ったといいますが…。

意識がもうろうとしているのか、堀田さんの質問に対して首を振るのがやっと。

そして数分後、救急車が到着。イギリス人の男性はその後、救急車で搬送されました。

水際対策が緩和され、外国人登山客が増える中、弾丸登山や軽装で登山へ挑む人への対策など、今年は一層の注意が必要になりそうです。

(「めざまし8」7月3日放送より)