おじいちゃんが孫のために手作りした「魚釣りゲーム」。そのクオリティと“リアルさ”が「半端ない!」と話題になっている。

ダンボールで「魚釣りゲーム」作ってみました。
作るからにはエサを食わせたい!
ちゃんと食わなければ釣れない!
竿はしならせたい!
魚には少し暴れて欲しい!
孫が魚釣りに興味を持ち始めたと聞いてから制作開始、1年がかりとなってしまいました
このようにインスタグラムに投稿したのは、段ボール製品の製造・販売を行う会社に勤めているという、58歳の上川清志(@kamikawa519)さん。
普段から「段ボールを使ったもの作りを楽しんでいる」という上川さんが投稿したのは、孫のために作ったという「魚釣りゲーム」だ。

このゲーム、魚も竿もすべてが段ボール製。
磁石の“エサ”が魚の口に入ると、下あごに仕込まれた磁石によってパクッと口が閉じ、魚が食いつく様子がリアルに再現されている。

釣れる魚はマグロ・フグ・ウツボ・ヒラメ・キンメダイの5種類。ダンボールを何枚も重ね合わせて作られている魚の体は、いくつかのパーツにわかれていて、なめらかに動くようになっているという。

竿も同じように複数のパーツで作られているため、魚が食いつくとその重みでしなり、魚は体を左右にユラユラと揺らし、まるで本当の釣りのように「釣られた魚が抵抗する様子」が体験できるようになっているのだ。

段ボール製の手作りおもちゃとは思えないクオリティの「魚釣りゲーム」。
「クオリティーとリアルさが半端ない」「有り余るアイディアと形にする技術の高さよ」「大人でも十分楽しめそう」といったコメントが続々寄せられ、3万件をこえる「いいね」がつく人気の投稿となっている(7月7日現在)。

動画の中でゲームを楽しんでいるのは上川さんの6歳のお孫さんだそう。さらに3歳と1歳のお孫さんがいるとのことで、インスタグラムには上川さん手作りの“段ボールおもちゃ”で遊ぶ3人の様子がほかにもたくさん投稿されている。

まさに「大人でも楽しめる」クオリティのおもちゃについて、上川さんにお話を聞いてみた。
完成品を見た孫は「釣り竿を離さなかった」
――段ボール作品を作り始めたきっかけは?
もともと段ボールが身近にあったことに加え、孫が物心ついて一緒に遊べるようになったので何か作ろうと…

――どうやって作っているの?
使用している段ボールは会社で出る廃材を利用しています。
廃材と言っても会社で出るものは一旦箱にしたけど使わなくなったもの、入荷したけど傷や汚れがあって使えないなど折り目や印刷が入ってたりはしますが、端切れではなくある程度の大きさで、まとまった量があります。 それらは処分対象で、長くは置いておけません。早めにそれらを何かに作り上げて、その後予定通り処分するといった流れです。
カットする機械は会社にあり、休みを利用してカットしそれを持ち帰り、自宅で糊貼りなどの仕上げをします。

――アイデアはすべてオリジナルのもの?作品はどう思いついている?
魚釣りの魚の構造は自分で考えて作りましたが(もともとあったらすみません)その他コーヒーカップ、ガチャガチャ、アーチェリー、すべり台…もともとの形があるものを段ボールで作っただけなんです。段ボールで作るために強度や仕組みに多少工夫はしますが…ですのでアイデアとか、発想とか誉めていただくと何か申し訳なくて。

――今回の「魚釣りゲーム」は作るのに1年かかったとのことですが…
休みを利用して制作してるので、もともとスピードは遅いのですが、構想に1カ月・試作してみてしなやかに動かず練り直し・さらに試作。磁石で釣るので、魚がエサに食いつかなくても(口の)横に磁石が吸いつけば釣れてしまう、これに納得がいかず練り直し。磁石の大きさ、魚の重さ、口の動きなど何度か試作してようやく一匹完成。これの繰り返しで1年かかりました。

――完成品を見たお孫さんの反応は?
孫はもともとそれほど感情表現が豊かではないので派手な喜び方は見せませんでしたが、その日は釣り竿を離しませんでした。
「壊れるまで孫たちと遊びたい」
――細部にはこだわりがたくさん。特にココにこだわった!という点はどこ?
こだわって譲れなかった点は「つられた魚がしなやかに動く」「エサを食わなければ釣り上げることが出来ない」「釣り上げるときに竿がしなる」です。
竿がしなることについては以前作ったアーチェリーで経験があったのでそれほど苦労はしませんでしたが、他2点については何度か妥協、あるいは諦めかけました。
――作品の中でお孫さんたちに人気だったのはどれ?
孫に人気があったのはアーチェリーと今回の魚釣りです。私が気に入ってるのはシーソーです。シンプルなものが好きなので。

――投稿への反響について…
素直に嬉しいです。この年になると褒められることがないので、インスタにメッセージをいただける方には本当に感謝しています。
上川さんの作品は、大きいものはしばらく楽しんだあと解体・処分してしまうことが多いそう。しかし魚釣りゲームは自宅で保管しているということで、「壊れるまで孫と遊ぼうと思っています」と話していた。
今回の魚釣りゲームの試作を繰り返す中で「壁にぶつかったときには他のものを作ったりしていた」という上川さん。作品たちはすでにどれも驚きの仕上がりだが、これからどんどん成長する孫たちに負けず、そのクオリティにさらに磨きがかかることだろう。