2025年に開かれる大阪・関西万博。5月には「大阪パビリオン」の外観イメージが公開されたが、今回はパビリオンの前にある大きな球体に注目。球体の上部ではレタスなどの野菜を栽培し、球体の下には魚が泳ぐ水槽があり、農業の最新技術だという。この農法をすでに取り入れている農園を取材した。

 水が少ない地域でも野菜を育てられる

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関西テレビ・坂元龍斗アナウンサー:
滋賀・高島市にある「ビワコアクアポニックス」という施設にいます。「水産養殖」を意味するアクアカルチャーと「水耕栽培」を意味するハイドロポニックスを意味する造語になっています

水槽で魚などを養殖すると「ふん」が排出されるため水が汚れるが、その汚れた水をポンプで吸い上げて、フィルターで微生物に分解させることで、養分が豊富な水に変えている。その水を野菜に与えると、養分が吸収されてきれいな水になり、再び水槽に戻す仕組みになっている。

元々は水の少ない地域であるアメリカで開発された技術で、水が少ない地域でも野菜を育てられるようにと考えられたということだ。

万博のイメージ図に沿って考えると、球体の上下の部分で水を回すことになる。この場所ではオニテナガエビが水槽で育てられていて、ふんなどで汚れた水がフィルターを通して養分豊富な水になる。

見渡す限り白色のビニールハウスの中ではミニトマトを育てていて、養分が含まれた水が白いパイプを通って、パイプの中に張り巡らされたトマトの根から吸収していた。

トマトの根を通って養分が吸収され、きれいになった水はパイプの中を流れて、エビを育てていた水槽に戻っていく仕組みだ。この施設で育てられたミニトマトを試食させていただくと、とてもフルーティーでおいしかった。

最先端技術ならではの課題も

アクアポニックスは、水を循環させるのでかなりの節水になり、肥料はすべて魚の排出物でまかなうため、無農薬の有機栽培となっている。また、汚水を排出しないので環境にも優しく、まさにSDGs(持続可能な開発目標)の達成につながる最新技術だ。

ビワコアクアポニックス・本郷顕一代表取締役:
何より土作りがいりません。良い土を作ろうとすると3年から長くて5年ほど必要ですが、アクアポニックスは設備を整えたら農業に参入することができます

メリットが多い一方で、最先端技術ならではの課題もあると言う。

ビワコアクアポニックス・本郷顕一代表取締役:
規模にもよりますが、パイプシステムやポンプなど設備投資の費用やランニングコストがかかります。また、この収入だけで生活するのは難しいため、本業で消防設備の会社を営みながら、農業をしています。火災から人を守るだけでなく、食からも人を守りたいと思ったことがきっかけです

誰もが農業に参入できる仕組みづくりを

施設では、ミニトマトを摘み取る体験や、隣にあるカフェではトマトを使ったピザ焼き体験ができるということだ。

ビワコアクアポニックス・本郷顕一代表取締役:
経営が順調にいけば、車いすなどでも作業しやすいため、障害者の方を採用したり、誰もが農業に参入しやすい仕組みづくりを考えたりして行きたいと思います

(関西テレビ・「newsランナー」2023年6月20日放送)

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