縁起物として知られる大分県竹田市の「姫だるま」。この姫だるまを使って新たな“お菓子”の特産を作ろうと高校生が奮闘している。実は、この焼き型は北海道に住む姫だるまのファンがつくったもの。大分と北海道をつなぐ存在を目指す新たな“お菓子”を取材した。
「姫だるまおやき」を新たな名物に
ころんとしたフォルムに優しい表情、そして背中の模様。縁起物として知られる大分県竹田市の「姫だるま」。この姫だるまを使って新たな“お菓子”の特産を作ろうと、竹田市内の高校生が奮闘している。
竹田市の稲葉学園高校。市内の片ケ瀬校舎にある実習室で生徒たちが焼いているのは大判焼き。
形のモチーフは竹田市の伝統工芸品「姫だるま」。新たな名物として、この「姫だるまおやき」を売り出そうとしている。

「顔が少しほのぼのしているというか、そういうふわっとしたような雰囲気があるところが魅力」と生徒は話す。
このおやき、姫だるま特有の表情はもちろん、背中の柄など細部までこだわられている。
焼き型提供は北海道の姫だるまファン
実はこの焼き型、北海道に住む沢田千鶴さんがつくったもの。沢田さんはテレビ番組で姫だるまを観てファンになったという。
「すごく柔らかくて優しくて表情もにっこりしていて、やさしさが出ているというか作られている方の愛がこもっているんだろうなというのが見た目から伝わってきたので印象に残っている」(沢田千鶴さん)

コロナ禍でおうちキャンプにはまった沢田さんが、ホットサンドを姫だるまの型でつくりたいと思い業者に依頼し製作した。それをSNSにアップしたところ、稲葉学園高校で食品加工の授業を担当する井上綾乃教諭が見つけ連絡を取り、北海道と竹田の交流が始まった。
井上綾乃教諭は「竹田と言えば町中を歩けば姫だるまがたくさんあるので、とても地域に根付いたものだ」と思い、注目していたという。

2023年3月、沢田さんが竹田市を訪れ焼き型を提供。製作をスタートし、4月の岡城桜まつりで試作品を販売したところ約130個を完売する人気ぶりだった。
生徒からは「試作とかを重ねてみんなで少しずつ改善をしていった。自分が作ったものを買ってもらえるのはすごくうれしい」など喜びの声が聞こえた。
九州と北海道をつなぐ存在に
中身はつぶあんと芋あんの2種類。材料のアズキとサツマイモは、学校の農園でとれたものや大分県豊後大野市の農家から規格外のものを提供してもらうなど工夫している。また生地には、沢田さんの住む北海道のミルクパウダーを使用している。
つくった姫だるまおやきは、市内の郵便局と温泉施設で不定期で販売している。今後、おやきの中身の種類も増やしていきたいと話す。
「若い世代がそういうものを形にして、より地域をアピールできるというものになるといいなと思うし、できたら夢の懸け橋じゃないが九州と北海道をつなぐような存在になってもらいたい」(井上綾乃教諭)

生徒らは、焼き時間や火加減などを決めて同じクオリティのものを出せるようにしたいと話す。竹田のお菓子と言えば「姫だるまおやき」、と言われるほど有名にすることに意欲を燃やしている。
新たな特産品を目指して。11月に行われる竹田市の風物詩「竹楽」でも販売を目指していて知名度アップを図りたい考えだ。
(テレビ大分)