「文化部のインターハイ」とも呼ばれる、全国高校総合文化祭「総文祭」が、7月鹿児島で開催される。初めての鹿児島開催で、準備の中心を担っているのも現役の高校生。開催まで1カ月、奮闘する高校生たちの姿を取材した。

高校生が作り上げる総文祭

22部門で全国から各分野のトップレベルの高校生が集まる「総文祭」。演劇、囲碁、将棋など順位を競う部門や吹奏楽、そして合唱、美術など、日頃の成果を披露する部門がある。

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6月11日、鹿児島市のかごしま県民交流センターの会議室で行われていたのは、総文祭の生徒実行委員会の話し合いだ。

実行委員:
47回目の大会なので今までの46回の大会の紹介をする企画

生徒たちは、会場で展示するパネルを考えていた。これまでの総文祭の軌跡を振り返るデザインにしたいようだ。

実行委員:
大島紬をモチーフにしたデザインを考えている。ただこれだとちょっと見づらいのでは?というので、かごまる(イメージキャラクター)の足跡でたどらせるのもいいねと

実行委員:
足跡の方がかわいいと思うけど、場所をとっちゃう

実行委員:
足跡だと3つがいいかな?下の方が見えないよね

生徒実行委員に参加しているのは、鹿児島県内各地の高校から立候補で集まった101人。総合開会式、広報、国際交流担当など6班に分かれ、月2回会議を開いている。県職員のサポートもあるが「高校生が作り上げる」というのが、この総文祭の大きな特徴だ。

全国からの参加生徒、観覧者数12万人を見込む文化部のインターハイ「総文祭」。開幕が1カ月後に迫ったが、話し合うこと、やらないといけないことは盛りだくさんだ。

マイカメラでVTR映像を撮影

別の部屋をのぞくと、会議の様子をまるでテレビ局の取材クルーのように撮影している生徒の姿が。

鹿児島情報高校3年・小湊定宗さん
鹿児島情報高校3年・小湊定宗さん

鹿児島情報高校3年、小湊定宗(こみなと・てっしゅう)さんだ。

鹿児島情報高校3年・小湊定宗さん:
撮影に使っているのはマイカメラです。最初、ENG(テレビ局が取材に使っている、肩に担いで撮影するカメラ)を買ってハマりだして…。

テレビ局では普通に使っているENGカメラだが、一般の人が購入できるのだろうか?

鹿児島情報高校3年・小湊定宗さん:
オークションで…。持ち運びできるのが欲しいとなって買い替えた

趣味で極めた撮影と編集の腕を買われ、これまでも総文祭にかかわる様々な動画の制作を担当してきたという小湊さん。この日、自慢のカメラで撮影していたのは、総合開会式で流す部門ごとの紹介VTR映像。

新聞部門の紹介用に、イメージキャラクター“かごまる”が、新聞を読んでいる姿を撮影したいという。

新聞のアップからかごまるの顔へ。カメラの動きや映像のサイズを入念に打ち合わせ。編集のことまで考え、カメラのアングルを細かく決め込むその姿は、まさにプロも顔負けである。

総合開会式で流す動画は全部で6種類あるが、構成から撮影・編集まで全て高校生のアイデアだ。

あいさつ回りやおもてなしの準備も

県外から来る人たちへのおもてなしも考えている。

総務(おもてなし)部門の実行委員:
生徒のみなさんからもらったアイデアとお弁当業者に実際に作ってもらったメニューとの確認をしている。全国の皆さんに鹿児島の味のおいしさや魅力が伝わるようなお弁当になったら

国際交流班の実行委員:
4カ国交流(韓国、ベトナム、ニュージーランド、日本)の遊びでビー玉拾いをやるので、看板を描いている。笑顔でコミュニケーションがとれたらいい

開会式直後に行われる、国道10号でのパレードを担当する生徒らが訪ねたのは沿道にある県立博物館。

パレード班の実行委員:
ご迷惑をおかけすると思うんですけどよろしくお願いします

国道沿いの建物を一軒一軒訪ねてあいさつ回り。慣れないながらも、順調に準備が進められている。

鹿児島県代表は約880人

鹿児島代表の合同チーム72校から約880人
鹿児島代表の合同チーム72校から約880人

一方、鹿児島代表として総文祭に出場するのは72校から約880人。吹奏楽では、普段少人数で活動する南薩の12校が合同チームとして演奏する。

鹿児島城西高校3年・有村菜花さん:
100人以上という大人数で演奏できることが楽しみ。鹿児島を代表して演奏させてもらうので聴いてくださる方の胸に届くような演奏ができればと思います

自然科学の部門に挑むのは、鹿児島市の錦江湾高校のサイエンス部。九州南部や離島に多く生息する「ギンボシザトウムシ」の生態に関する研究成果を発表する。最高賞の文部科学大臣賞を目指し、プレゼンテーションの最終調整に入っている。

錦江湾高校3年・瀬戸山凌汰さん:
来ていただいた方に面白いなとか、ザトウムシってすごいなと思ってもらえるような発表に仕上げていくのが、今から、そして全国大会に向けてやるべきことだと思っています

生徒実行委員・三森芽依委員長(甲南高校3年):
全国の高校生がこの「2023かごしま総文」を目標に毎日頑張っていると思うので、そんな高校生の一生の思い出になるような大会にしたいですし、来て下さった方が「鹿児島に来てよかった」と思ってもらえるような大会にしたいです

総文祭まで1カ月。企画・運営係やプレーヤーとして“文化の祭典”を盛り上げようと、高校生たちがそれぞれの立場で今奮闘している。

(鹿児島テレビ)

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