ロシアの民間軍事会社ワグネルのトップ、プリゴジン氏が所有するプライベートジェット機が6月27日、ベラルーシの首都ミンスク郊外の空軍基地に着陸したことが、航空機追跡サイトの情報などから分かった。本人が乗っているどうかは不明だ。ロシア側は、プリゴジン氏がベラルーシに行くとしているが、本人からは発表がない。

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「国を転覆させるためではなかった」

ロシア国内は“プリゴジンの乱”に揺れている。

ロシアで武装反乱を起こし、その後消息不明になっていた民間軍事会社ワグネルのトップ、プリゴジン氏が、日本時間の26日夜、2日ぶりにSNSで音声を公開した。

その中でプリゴジン氏は、「抗議のデモであって、国を転覆させるためではなかった」と述べ、反乱はクーデターではないと強調した。その上で、「陰謀や思いつきでワグネルは来月1日に消滅せざるを得なくなっていた。我々はロシアの血を流さないように引き返した」と、自らが率いる部隊ワグネルの消滅を阻止する狙いがあったことも明かした。

プリゴジン氏の音声公開から約4時間後の日本時間27日朝、プーチン大統領は、反乱を改めて強く非難した。

プーチン大統領は、「反乱の首謀者は祖国と国民を裏切った」とワグネルを非難した一方で、「彼らは流血を選ばず、最後の一線で立ち止まった」と撤退したことに感謝も述べた。そして、「事件の当初から多くの流血を避けるために、私の指示による措置で鎮圧した」と主張し、“強い大統領”を国民にアピールした。

”政権批判したら粛清”

プリゴジン氏をめぐっては、「プーチン大統領が暗殺指令を出した」とロシアの複数の反体制派メディアが報じている。

左:ジャーナリストのポリトコフスカヤ氏 中央:元スパイのリトビネンコ氏 右:野党指導者のネムツォフ氏
左:ジャーナリストのポリトコフスカヤ氏 中央:元スパイのリトビネンコ氏 右:野党指導者のネムツォフ氏

ロシアではこれまで、プーチン政権を批判した人がたびたび粛清されてきた。2006年には女性ジャーナリストが射殺され、ロシアの元スパイが毒殺されたほか、2015年には野党の指導者が銃で撃たれ死亡する事件もあった。

反体制派指導者のナワリヌイ氏
反体制派指導者のナワリヌイ氏

また3年前には、反体制派のナワリヌイ氏が移動中の飛行機で意識不明になり、「毒殺未遂」とも指摘された。

武力による反乱を起こした張本人、プリゴジン氏は粛清の対象となるのか――。世界が注目している。

(「イット!」6月27日放送より)

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