鹿児島・志布志市の男性が2023年、料理人として南極で活動している。南極に到着してから約半年。このほど、南極と志布志市の小学校をインターネットで結んで特別授業が行われた。

2度目の挑戦でつかんだ切符

2022年11月、南極観測船「しらせ」が東京国際クルーズターミナルを出航した。気象や生物、地質など幅広い観測を行うため、南極へ向かう。この船に第64次南極地域観測隊の一員として、志布志市の男性が乗っていた。

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和食料理人の中川潤さんだ。観測の拠点となる南極の昭和基地で隊員たちに出す食事の調理を担当する。夢だった南極への切符は2度目の挑戦でつかんだ。

中川潤さん:
南極行きが決まった時はキターーって思った。連絡を受けた時は震える感じでした。せっかく鹿児島から行くので、さつま揚げを作ったり、鶏飯(けいはん)とか、温かい鶏飯もですが南極の氷を使った冷たい鶏飯もあってもいいのかなって思う

写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟
写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

鶏飯とは、奄美の郷土料理のこと。ご飯の上に細く裂いた鶏肉、細切りの薄焼き卵などをのせ、鶏で取ったスープをかけ、お茶漬けのようにして食べる。

3姉妹の父親でもある中川さん。家族も中川さんの挑戦を応援していた。

出発を前に、妻・香菜さんは「とりあえず無事に行って、無事に帰ってきてほしい」と願い、夫を南極に送り出した。

南極の話に興味津々

2023年6月7日。そんな中川さんの、南極での活動の様子を知ることができる機会があった。

昭和基地と志布志市の小学校をインターネットで結んで行われた授業だ。授業には中川さんの長女、結菜ちゃんも参加した。

無事に南極に到着し、2023年2月から本格的に料理人として活動中の中川さん。昭和基地では交代で28人分の食事を作っている。食材が限られる南極での調理について、児童たちに説明した。

中川潤さん:
来る時に1年分の食材を持ってきています。南極にいると季節感がなくなってくるので日本とできるだけ同じような季節感を感じてもらえるような献立を考えるようにしています

児童からの質問には、昭和基地にいる隊員たちが総出で答えてくれた。

――ペンギンとか何でもいるんですか?

観測隊員:
動物ですけど、今は真っ暗な時期なので動物はいません。夏が近づくとペンギンとかアザラシとか鳥とかが来ます

――南極に春とか季節があるんですか?

観測隊員:
はい、南極にも季節はあります

児童たちは、知らないことだらけの南極での話に興味津々だった。

――南極行ってみたいですか?

児童:
はい!ペンギンと遊びたい

――パパどうだった?

中川さんの長女・結菜ちゃん:
忙しそうだった。早く会いたいです

中川さんの妻・香菜さん:
楽しそうでしたね。充実しているようだったので少し安心しました。帰国したら東京ディズニーランドでお迎えするのが楽しみ

鹿児島の料理を南極で

ところで出国前、鹿児島の料理もふるまいたいと話していた中川さん、その願いが無事に実現したようだ。

中川潤さん:
カンパチとか(鹿児島で焼酎のつまみなどとして好まれる)鳥刺しは使いました。結構喜んでくれましたよ、鳥刺しとか特に。鹿児島の甘いしょうゆと一緒にするとみんな喜んでくれましたよ

――帰国したら、何がしたいですか?

中川潤さん:
娘たちをギュッとしたい

帰国は、2024年春の予定。南国鹿児島の料理人はそれまで南極で腕をふるい続ける。

(鹿児島テレビ)

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