最近、「気象病」や「天気痛」という言葉をよく目にするようになった。雨など天気が悪い日に頭痛がするという人は、少なくないのではないだろうか?

こうした中、「頭痛」に関する興味深い調査結果が5月29日に公表された。調査を行ったのは、ソフトバンクの子会社「ヘルスケアテクノロジーズ株式会社」。

まずは、全国の20~60代の男女1098人を対象に行った「梅雨時期の不調に関する調査」。
「梅雨の時期の不調として、ご自身にあらわれる症状にはどのようなものがありますか?」と質問したところ、症状の1位は「頭痛」(19.3%)だった。

梅雨の時期の不調として、最も悩んでいるもの(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)
梅雨の時期の不調として、最も悩んでいるもの(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)
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そして、今回は“頭痛持ち”の人に絞った、全国の“頭痛持ち”の20~60代の男女1113人を対象にした「頭痛に関する意識調査」もあわせて行っていた。

「自身の頭痛が起こる頻度に関して、梅雨の時期にはどうなると思いますか」との質問に、59.5%が「普段より増加すると思う」と回答。半数以上が梅雨時期に自身が頭痛に苦しむことが増えると考えていることが分かった。

自身の頭痛が起こる頻度に関して、梅雨の時期にはどうなると思いますか?(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)
自身の頭痛が起こる頻度に関して、梅雨の時期にはどうなると思いますか?(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)

なお頭痛持ちの人に「頭痛の際、薬を飲みますか」と聞いたところ、「市販の薬を飲む」と答えた人が63.8%だった。

また、頭痛持ちの人への「ご自身の頭痛の原因は分かっていますか」という質問には、30.9%が「原因を分かっていない」と回答した。

頭痛の原因は分かっていますか(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)
頭痛の原因は分かっていますか(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)

さらに、「頭痛の症状で、病院に行ったことはありますか」という質問に対し、あると回答した人は55.1%だった。

頭痛の症状で、病院に行ったことはありますか(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)
頭痛の症状で、病院に行ったことはありますか(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)

また、ないと回答した44.9%の人に対して、「病院に行ったことがない理由」を聞いており、1位は「頭痛の症状で病院に行く必要がないと考えているから(31.8%)」、2位は「病院の待ち時間が長いから(28.0%)」、3位は「診察が必要な症状なのか判断に迷うから(27.4%)」という結果になった。

病院に行ったことがない理由(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)
病院に行ったことがない理由(提供:ヘルスケアテクノロジーズ)

今回の調査で、頭痛持ちの3人に1人が「頭痛の原因を分かっていないこと」が明らかになったわけだが、その理由はなぜなのか?また、原因不明の頭痛に悩まされている人は、頭痛とどのように付き合っていけばいいのか?

ヘルスケアテクノロジーズの担当者と、同社ヘルスケアコンサルティング部に所属し、医師でもある加藤卓浩さんに“頭痛の原因が分からない理由”と“対処法”を聞いた。

頭痛の原因が分からない理由

――「頭痛」に関する調査を行った理由は?

ヘルスケアテクノロジーズでは健康医療相談ができるヘルスケアアプリ「HELPO(へルポ)」を運営しております。

未病や体調の悪くなり始めた時にアプリをご活用いただくことで、皆さまの健康を支え、増大する医療費や医師の過重労働の削減といった社会課題にも貢献したいと考えています。

今回、「頭痛」に焦点を当てたのは、まず、多くの方が不調になる梅雨の時期に、どのような症状に悩む方が一番多いのかを明らかにしたかったことです。

また、日本人の4人に1人とも言われるほど、頭痛の患者は多いにもかかわらず、ほかの症状に比べ私どものサービスを頭痛で活用されることが少ないので、頭痛持ちの方がどのように対応しているのか、また、耐えている人が多数なのではないかという点を確かめたく、調査を行いました。


――「梅雨の時期の不調」で最も多かった回答は「頭痛」。この結果は、どのように受け止めている?

頭痛の悪化の一因として、「人体が気圧の低下を感知し→脳の視床下部を通じて交感神経活動が活発化→ノルアドレナリンというホルモンが血中に放出されて痛みを感じやすくなること」が考えられています。

梅雨の時期は、前線の影響で気圧の低下が長期化しやすいため、頭痛に悩む方も増えるというのは納得できる結果だと考えます。ただ、湿度や気温が影響しているという説もあります。

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――そもそも、頭痛の原因が分からないのは、なぜ?

頭痛は大きく分けて、主な症状が頭痛である「一次性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛など)」と、何らかの病気が原因で起こる「二次性頭痛(くも膜下出血・副鼻腔炎・緑内障 など)」があります。

「二次性頭痛」は原因の特定に検査が必要となることが多く、「一次性頭痛」の場合も、痛む頻度や時間、痛み方、痛む場所、合併する症状などから総合的に判断が必要なため、インターネット上の情報などから、ご自身で判断するのは困難なことが多いです。


――原因不明の頭痛に悩まされている人は、どうすればいい?

医療機関に受診していない場合、以前から痛み方に変化がない軽度の痛みのみであれば、通常、急ぐ必要のある頭痛ではありません。

ただし、(治療可能な)二次性頭痛であったり、一次性頭痛でも対処法がはっきりする場合があるため、内科(特に神経内科)や脳神経外科を一度、受診されることをおすすめします。

受診したうえで原因不明と言われた場合には、何らかの一次性頭痛と考えられることが多いため、適切な頻度(痛い時のみ)で鎮痛薬などを利用して、対処して下さい。

適切な付き合い方を知るためには、どのような頭痛かを正確に把握する必要があります。そのためには、いつ、どのような頭痛があったか、薬を使った場合には、それがどのくらい効いたか、といった頭痛の記録(頭痛ダイアリー)をつけるようにするといいです。

なお、通常の内科などで、はっきりしない頭痛であれば、頭痛専門の医師がいる施設を受診するのもおすすめです。「日本頭痛学会」のホームページには、一般の方に対して、専門の医療機関・医師の情報が公開されています。

「気象病」や「天気痛」に悩んでいる人は少なからずいる

――頭痛の症状があるときは、病院に行った方がいい?

同じ一次性頭痛であっても、「緊張型頭痛」では肩や首、後頭部を温める、「片頭痛」では痛い部分を冷やす、というように、頭痛のタイプによって対処法が大きく異なるため、自己判断を避け、専門家への相談をおすすめします。


――頭痛の症状があるときの対処法は?

主な症状が頭痛である「一次性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛)」の場合、「片頭痛」は患部を冷やし、刺激を避ける、「緊張型頭痛」では身体や患部を温め、血行を良くするといった対処方法があります。

また、多くの方が市販薬を活用されておりますが、薬を飲むことは、症状を和らげるための対処法としては有効なものの、飲み過ぎることで神経が過敏になり、逆に頭痛がひどくなる「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の状態になってしまうこともあり、注意が必要です。

もし、月に10回を超えて市販薬を利用している場合には、医療機関(お近くにあれば頭痛専門の医師がいる施設)を受診されることを強くおすすめします。

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――最近よく目にする「気象病」「天気痛」の印象は?

今回の調査で再確認させられましたが、「気象病」や「天気痛」に悩んでいる方は少なからずいて、その中には医療機関の受診に抵抗のある方も多い印象です。

このような方が働けなくなることなどによる、社会的な損失が大きいことも報告されています。一方で、原因などの不明点はまだ多いものの、少しずつ分かることは増えていて、新しい治療も含めて適切な対処法はアップデートされてきています。

このような情報を悩んでいる方に正しくお伝えして、少しでも悩む人、悩む時間を減らせるようにしていきたいと考えています。

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「頭痛」に悩まされている人は、自己判断を避け、まずは内科を受診してみてほしい。内科で、はっきりしない頭痛の場合、頭痛専門の医師がいる施設を受診するのがおすすめとのことだ。

また「日本頭痛学会」のホームページには、専門の医療機関や医師の情報が公開されているとのことなので、まずはチェックしてみてはいかがだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。