2年後に迫った大阪・関西万博。各国のパビリオンなど、全容が日に日に明らかになる中、6月には「万博弁当」が発表された。このお弁当に使われた「サバ」、実は大阪・豊中市の商店街の中にある雑居ビルで“完全陸上養殖”している。

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ミャクミャク様もアピール!

全国の自治体の代表者やミャクミャク様が東京に集まり、万博を盛り上げようと新たなプロジェクトを発表するイベントが開かれた。

まず発表されたのは、この日のために作った踊り、「万博音頭」。

「福島こづゆ、山形芋煮、茨木県ならあんこう鍋…」と、歌詞には全国の自治体の名前が入っている。

そして、全国の特産品を35種類使った「万博弁当」が発表された。「手の平に乗る地域産品の祭典」をテーマに、全国34の自治体がそれぞれの特産品を持ち寄って完成した。兵庫産の黒田庄和牛など関西の食品もふんだんに使用されている。松原市の鴨に、太子町のみかんのソースが添えられた一品はさっぱりした味わいだ。

万博首長連合 澤井宏文会長:
万博を契機に、地域のいいものを再発見・再発掘していただいて、そういった地域の誇れる食材を使って「万博弁当」というものを作って、それぞれの地域の良さを、全国に、海外に向けても発信していきたいと思っています

この「万博弁当」、今後は作る事業者や販売方法などを検討していくということだ。

全国の魅力がぎっしり詰まった「万博弁当」だが、この中で使用されている“サバ”は、関西の意外な場所でとれたものだということだ。

その場所とは「大阪・豊中市」。豊中市は海に面していないが、 ビルの中で、“完全陸上養殖”しているサバだという。

意外な場所だからこそメリット

坂元龍斗フィールドキャスター:
豊中市の「豊南市場」に来ています。“サバ”がいるのは市場ではなく、すぐ横の雑居ビルの中なんです。ここでサバが“完全養殖”されているということです

坂元龍斗フィールドキャスター:
水槽がずらりと並んでいまして、ここにサバがいます。ここに見えるのは生後1年ほどのサバで、もう少し大きくなると出荷できる状態になるということです。別の水槽にはサバの稚魚がいまして、生後2カ月ほどなんですが、陸上の水槽で生まれて、陸上の水槽で育った、海を知らない“完全陸上養殖”のサバとなります

坂元龍斗フィールドキャスター:
この施設を運営しているフィッシュ・バイオテックの右田孝宣社長に話を伺います

フィッシュ・バイオテック 右田孝宣社長:
私たちの会社はサバ寿司から始まって、サバ料理専門店「SABAR」を運営したりしてきました。「自分たちの手で最高の“サバ”を育てよう」ということで、本社がある豊中市、しかも雑居ビル、しかも駅から1分という意外性のある場所でやりたいなということで、この場所を選んでやっています。この設備は「完全閉鎖循環型陸上養殖」と言います。メリットは、場所を選ばないことと、バリアフリーにしていて障がい者の方や高齢者の方でも働くことができます。あと高水温によって海で養殖できなくなる可能性も増えていますが、ここだと温度管理もできます。最大のメリットは寄生虫のアニサキスがいないことがあります。ずっと陸上で育つので、アニサキスが入ってくる経路がありません。だから安心して、生で刺身を食べることができます

坂元龍斗フィールドキャスター:
そんな豊中産のアニサキスフリーのサバをお刺身でいただきます

フィッシュ・バイオテック 右田孝宣社長:
どうぞ。姿造りにしています

坂元龍斗フィールドキャスター:
生臭さがない!

フィッシュ・バイオテック 右田孝宣社長:
そうです。それにコリコリ感があるサバは産地でしか食べられません

ーー「万博弁当」に採用された経緯は?

フィッシュ・バイオテック 右田孝宣社長:
豊中市が勝手にエントリーしてくれて、採択されたと事後報告をもらいました。万博と何らかの関りを持ちたかったので、すごくうれしいです。「勝手に応募してくれてありがとう」みたいな

ーーこのサバが皆さんの食卓で食べられるのはいつごろになりそうですか?

フィッシュ・バイオテック 右田孝宣社長:
まだここは研究施設でして、大量生産ができないんです。一部私たちのサバ料理専門店「SABAR」でたまに販売していますが、皆さんにお届けできるようになるのは、万博までに頑張っていきたいと思っています

“豊中産のサバ”が、皆さんの食卓に並ぶ日は近いかもしれない。

(関西テレビ)

関西テレビ
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