車を運転する人なら、コインパーキングの発券機に運転席から手が届かなかったことが1度はあるのではないだろうか?そんな時は車を停め、ドアを開けて一度出たりしたことだろう。
この状況を簡単に解決してくれそうな便利グッズが6月1日に発売された。
その名は、駐車券発券機専用トング「トレッタング」。長さ20cm×4cm、重さ43gのポリカーボネート製で、先端にはゴムが付けられ、駐車券をしっかりグリップするという。
仕組みがシンプルな分かりやすい商品だが、リリースには今という時代を的確に捉えた開発理由が書かれている。
最近では、SUVやミニバンといったドライバーのアイポイントが高いクルマが増加傾向にある一方で、駐車券発券機の多くは、これまで主流となっていたセダンに合わせた低い位置に設置されており、駐車券を受け取る際にストレスを感じることが少なくありませんでした。
駐車券発券機専用トング「トレッタング」は、こうした、地味に見えて大きな負担になりうる点に注目した問題を解決すべく製作されました。
普通のトングは薄いカードを引き抜くのが難しい
「トレッタング」は2750円(税込)で、今年4月から先行発売を行ったところ、1カ月で約1000件の注文となるヒット商品になったという。
近頃は安価なトングやマジックハンドも出回っているが、これらとどのような違いがあるのだろうか?ヒットの反響をどう捉えているのか? 販売元であるインターネットショップ「AS MUST」の担当者に聞いてみた。
――商品開発の経緯を教えて。
こちらの商品を開発している「有限会社プリント・アート」の島崎社長は、クルマ用のサイドテーブルや取り外しが容易なダストボックスなど、クルマに乗る際のちょっとした不便を解消する便利グッズを自作していました。
「トレッタング」は島崎社長の友人や知人に見せたところ、多くの人が興味を持ったようです。特に小柄な方は、車から降りるのは当たり前だったのに凄く便利と喜ばれ、また、身体が不自由で車を運転している方も喜んでくださったそうです。
それをうけて「もしかしたらほかにも不便を感じていた方がたくさんいるのかもしれない」と商品化に至ったと聞いています。
――ざっくり言うと、素手より何センチぐらい先に届く?
トレッタングのサイズは「200mm×40mm」となっているため、約15cm先のものがつかめます。クルマの全幅は、わずかに大きくなるだけでも運転のしやすさが変わるため、15cmというのは数字以上に大きな意味があると思います。
――「トレッタング」は、普通のトングやマジックハンドと比べ何が優れている?
駐車券発券機専用トング「トレッタング」は、普通のトングやマジックハンドとは異なり、先端にゴムを取り付けています。
当初は滑り止めのゴムを両方に貼ったのですが、柔らかいゴム同士ではグリップの力が分散してグリップ力が無くなり、カードを抜くときスリップしてしまいました。そこで、片方は固い台に吸盤ゴムを貼ることにしました。柔らかいスリップ止めのゴムと固い吸盤ゴムの組み合わせにより、隙間が埋まりグリップ力が強固になっています。
普通のトングにゴムを接着させただけでは、グリップ力が弱く、駐車券のような薄いカードを引き抜くことは難しいため、その点で優れているのではないかと思います。
コツをつかめばお札を入れることも可能
――精算でお札を機械に入れることもできる?
トレッタングはあくまでも駐車券の出し入れに特化した商品であるため、お札を入れるのは少しコツが必要です。私の場合、2〜3回試したらそのあとは問題なくお札を入れることができました。
――先行販売で約1000個の注文があったのは想定内?
販売当初はここまでの反響をいただけるとは思っていなかったのが正直なところです。
あらためて、多くのドライバーが駐車券を取ることに苦労していたということを知ることができたので、今後もより多くの方が快適にクルマを利用できるように、クルマにおけるさまざまな便利グッズを展開していけたらと考えています。
購入者「とても助かっています」
――具体的にどんな評判を聞いている?
実際にトレッタングをご購入されたお客様からは、「幅寄せが苦手だったのでとても助かっています」「五十肩で腕を上げるのが辛かったのですが、かなり楽になりました」といったように肯定的なご意見を多くいただいています。
その一方で「小銭も取れたらいいのに」や「価格が少し高い」といった声もいただいています。商品の性質上、小銭を取ることは難しいのですが、「『駐車券を取る』という動作が楽になるだけでもありがたい」というご意見もありました。価格については、今後の課題として検討していけたらと考えています。
――2750円という価格は、どこに一番コストがかかっている?
トレッタングは、高温に耐え、衝撃にも強い「ポリカーボネート」を使用しているため、低価格なプラスチックや塩ビなどと比較すると、どうしても高価になってしまいます。
さらに、このような形状にするために、ひとつひとつ手作業の熱加工を施しており、高温で曲げるため時間がかかってしまいます。また、前述した通り、ゴムも柔らかいスリップ止めゴムと固い吸盤ゴムの組み合わせで製作しており、ひとつひとつ手作りしています。
こうした素材へのこだわりや、「メイド・イン・ジャパン」で丁寧に製作していることが価格のおもな理由です。
インターネット上には「100円ショップのトングでも良いのでは」というコメントも見られましたが、質感や性能に対してこだわり抜いた商品となっているため、類似商品は簡単には作ることができないのではないかと思います。
――これからの夏、車内で直射日光にさらされても大丈夫?
トレッタングは、熱に強いポリカーボネートの板を使用し製作しています。プラスチックや塩ビの場合、車内温度が40〜50度で変形してしまいますが、ポリカーボネートであれば少なくとも90度程度までは耐えられるので、ほぼ問題ないかと思います。
ちなみにインターネットショップ「AS MUST」では「トレッタング」の他に、こんなアイデアグッズを販売している。
「ありがとうランプ」
厳密には正しい使い方ではない、いわゆる「サンキューハザード」とは違い、文字でドライバーの感謝の気持ちが視覚的に伝えることができる。車のリアウィンドウに吸盤で装着し、シガーソケットに差し込むだけで使用可能。「ありがとう」「Thank you」の2種類。2万2000円(税込)。
「ポンプインエアーマット」
ポンプ内蔵で持ち運びやすく保管に便利なエアーマット。防災、旅行、出張など車中泊でも活躍することが想定され、価格は3960円(税込)。
夏の行楽シーズンに車でお出かけの際は、このようなアイデアグッズを試してみてもいいかもしれない。