2019年、惜しまれながら解散した北海道・根室市の"ご当地プロレス"、「新根室プロレス」が3年半ぶりに完全復活を遂げた。その舞台裏を取材した。

「新根室プロレス」 復活の舞台裏

「巨大なパンダがいま入場です」というアナウンスが会場に響き渡る。根室市のアマチュアプロレス団体「新根室プロレス」が、3年半ぶりに活動を再開したのだ。

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一番の人気者「アンドレザ・ジャイアントパンダ」。このレスラーを発掘したのが、新根室プロレス会長のサムソン宮本さん。新根室プロレスを全国に広めた立役者だ。

しかし、ブームが訪れたその時、彼の体には異変が…

新根室プロレス・サムソン宮本会長:
病名は平滑筋肉腫

「平滑筋肉腫」はがんの一種で、5年生存率は約30%と言われている。サムソンさんは、2019年いっぱいでの解散を発表した。

最後の舞台となった東京大会。

新根室プロレス・サムソン宮本会長:
いつかこの病気に勝って、ここに帰ってきます。必ずこの病気に勝って、必ず戻ってきます。それまで待っていてください

解散後、サムソンさんは入団してから日が浅い最年少のTOMOYA選手が気がかりだった。

新根室プロレス・TOMOYA選手:
まだ続けたい気持ちもあるが、先輩にずっと“おんぶにだっこ”というわけにもいかない

新根室プロレス・サムソン宮本会長:
新根室プロレスと違う新しい団体、それはすごくいいと思う。もちろん、自分のやりたいように。もう名前は考えている?

2カ月後、サムソンさんは亡くなった。

解散後に行われたサムソンさんの追悼試合では、試合の後、TOMOYA選手にサムソンさんがビデオで語りかけた。

新根室プロレス・サムソン宮本会長:
TOMOYA、よく頑張ったな。全部、見ていたぞ。お前が小さい頃、初めて見たのが新根室プロレス。それから新根室プロレスを好きになって、俺はうれしかった。TOMOYA、新根室プロレスはお前にまかせたぞ

新根室プロレス・TOMOYA選手:
サムソン会長の熱い遺志、“新根室魂”は俺が引き継ぎます

解散から3年…"新エース"が誕生

そして2023年6月、新根室プロレスが再結成され、完全復活を遂げた。

その初戦を飾るのは、TOMOYA選手だ。子どもの頃からのあこがれの的、サムソンさんに託された新根室プロレスが、3年半の時を経てよみがえった。

実況で会場を沸かせるMCマーシーさんは。

新根室プロレス・MCマーシーさん:
われわれのスタイルの中で、エースとして自分なりに一生懸命やろうとしているので、支えながらやっていければと思っている。久々にこんな感じで、お客さんと絡んでいければいいかな

サムソンさんの弟、オッサンタイガー選手も。

新根室プロレス オッサンタイガー 選手:
やはりこれですよね、われわれが求めていたものは。やりたかったのはこれ。多分お客さんもそうだと思う。みんなでワイワイ楽しみながらやるのが僕たちのプロレス。TOMOYA選手は頼もしかった。気合が入っているのがすごく伝わってきたので、亡きサムソン会長も喜んでいると思う

新根室プロレス・TOMOYA選手:
久々にこのリングで試合をした。本当に感慨深く、デビュー戦の頃を思い出した。復活一戦目ということで結構緊張はしていたが、リングに上がり、お客さんの笑顔も見られて「やっぱりプロレスっていいな」と思った。これからも頑張って、自分が先輩たちも引っ張っていけたら

ファン:
いいですね。久しぶりに見ると、いろいろきますね。グッときますね

ファン:
みんな楽しかった

ファン:
10年以上ぶりくらいで言葉にならない。魂が震えて言葉にならない。明日からどんなに嫌なことがあっても生きていける

新根室プロレスの新しいエースの誕生。

新根室プロレス・TOMOYA選手:
無理しない、ケガしない、明日も仕事! 

(北海道文化放送)

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