河野太郎デジタル相は4日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、マイナンバーカードと一体化した健康保険証(「マイナ保険証」)に、誤って別人の情報が紐付けられるトラブルが相次いでいることに関し、将来的にAI(人工知能)を使って再発防止に取り組む可能性に言及した。「将来的にはAIの技術を使って(突合すべき)住所の表記揺れを判断することがあり得るかもしれない」と述べた。

一方、河野氏は、マイナンバーと国からの給付金を受け取る口座との紐付けをめぐり、本人ではない家族名義の口座が複数、登録されている実態があることを明らかにした。親が子どもの手続きをする際、自身名義の口座を登録するケースなどが見られるという。

河野氏は、給付対象者と口座の名義が異なっている場合、給付金が受け取れない恐れがあるとして、本人名義の口座に登録し直すよう呼びかけた。幼い子どもについても「お子さん名義の口座をつくり、公金受取口座にしてもらうのがいい」と話した。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
(マイナンバーに紐付く)公金受取口座について、本人名義であるべきところ、家族名義になっているケースが多数あるとの指摘がある。給付金が本人ではなく、別の家族に振り込まれることになるのか。

河野太郎デジタル相:
自治体は本人の名前と口座の名義を照合して給付金を振り込む。子どもや夫婦など一人の口座に何人かを紐づけているケースがどうもありそうだと。名義が違うと自治体から(給付金が)振り込まれないことになる。マイナポータルから普通の手順で(公金受取口座を)登録すると、そういうことは起きない。かなり特殊な手順で手続きしないと、口座には子どもや夫婦であっても、本人以外を紐づけることはできないが、特殊な手順でやろうと思ったらできてしまう。給付が行われる時に口座名義と本人の名前が違うと振り込まれない。せっかくの公金受取口座のメリットを生かすことができなくなる。家族内で口座をまとめた人は、本人名義の口座につけ直してもらったほうがいい。 

松山キャスター:
親が子どもの口座を自分の口座にしておくケースが多いのだと思うが、本人名義以外の口座には振り込みされないのであれば、子どもも全員口座を持たなければならないということか。 

河野大臣:
いま日本では、子ども向けの手当は世帯に出している。児童手当も父親や母親の名義の口座に振り込まれるシステムとなっているが、様々な議論がある。世帯でやるのがいいのか、個人でやるのがいいのかの議論がある。やはり個人に給付すべきだということになれば、子どもにも一人ずつ口座を持ってもらったほうがやりやすくなる。できれば子ども名義の口座をつくり、それを子どもの公金受取口座にしてもらうのがいい。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
新型コロナウイルスの時の特別給付金で大問題、大激論になった。子どもの給付金が親の口座に振り込まれると、DV(ドメスティックバイオレンス)で父親、母親が離れていて、DVの父親の口座に金が振り込まれるなどの問題があった。それで個人で管理していこうということになった。本来、個人管理でというのがマイナンバーシステムの柱だから、個人の口座を紐付けなければいけない。マイナポータルで特殊なやり方をすると、家族口座が紐づけられるのか。 

河野大臣:
マイナポータルで普通に登録手順に従っていけば公金受取口座は本人名義のものになるのだが、イレギュラーの操作をすると、子どものマイナポータルから親の口座に紐付けができてしまう。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
認識がないままそうなっている人もいるということか。 

河野大臣:
いや、認識がなくそうはならない。かなり意図的なものだ。本人名義の口座を紐付けるようにとプロセスの中で出るのだが、子どもの分は親の私が管理しようとか、子どもにまだ口座がないから私の口座にしようということで、多分そうした人がいるのだと思う。 

木下康太郎キャスター(フジテレビアナウンサー):    
マイナ保険証に別人の情報が紐付けられる誤登録のトラブルが相次いでいる。別人の名前、住所、受診歴や薬などの医療情報が閲覧できる状態にあったという。

松山キャスター:
これらのケースの多くは健康保険組合などでの作業上のミスで、デジタル庁など中央官庁の目がなかなか届かないところで起きているようだ。再発を防ぐ方策は。

河野大臣:
(健保組合などに対し)6月1日から(加入者から)マイナンバーを確実に(提出して)もらい登録することで厚労省のルール改正をしてもらった。どうしてもマイナンバーがない場合は、住所を含む5つの情報を全部見て、違う項目があれば、本人に確認をすることを徹底してもらう。今後、誤登録はこれで防げると思っている。

松山キャスター:
マイナンバーの制度設計に携わった水町雅子弁護士は「人が介在する以上、ミスは起こる。手作業・目視確認を減らしデジタル化すべきだ」と指摘している。AIなどを活用して人が介在せずとも、(誤登録などの)エラーを防ぐ方策は取れないのか。

河野大臣:
AIを活用するまでもなく、ふりがなが振られれば、名前の照合はできる。名前、生年月日、マイナンバー、これらがきちんと照合されれば誤登録はなくなる。ただ、問題は住所が「港区赤坂一丁目2の3」と書く人もいれば、「港区赤坂1-2-3」と書く人もいる。「1-2-3」を半角で入れる人もいれば、全角で入れる人もいるし、ハイフンを「の」と入れる人もいる。将来的にはAIの技術を使って表記揺れを判断することがあり得るかもしれない。

松山キャスター:
住民基本台帳とマイナンバーとで住所表記を一元化できないのか。

河野大臣:
いまデジタル庁でベース・レジストリ(公的基礎情報データベース)というのを作っている。住所表記はこれに合わせるルールを作ると同時に、多少表記揺れがあっても紐付けできることを目指している。また、新規の入力をするときには、こういうルールでなるべくやってほしいと。自分で年賀状の住所録を作るときに「あれ、この人の住所、入っていたはずなのに」みたいなことがある。このベース・レジストリできちんとやっていければ、住所の表記揺れも突合できるようになる。

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