コロナ禍で外国からの観光客は姿を消していた。2023年4月に小松ー台湾便が再開されたこともあり、石川県内にも外国人観光客が急速に戻ってきた。この機会にいわゆるオーバーツーリズムを始め外国人観光客を巡る課題について改めて考えた。
和を求めて金沢にも外国人観光客が戻ってきた
新型コロナウイルスの感染法上の位置付けが5類に移行し、徐々にコロナ禍前の生活が戻りつつある。こうした中、金沢の町も多くの観光客で賑わいを取り戻し始めた。
記者:
兼六園には朝から多くの観光客が訪れています。園内を見てみると外国人の方の姿も多く見られます。
国の特別名勝に指定されている兼六園は、日本人の観光客はもちろんのこと石川県内を訪れる外国人観光客のほとんどが足を運ぶ。
![兼六園](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/7/700mw/img_c7759786acf163ebf9d1ec061e634192374611.jpg)
オーストラリアからの観光客:
きれいな庭があると聞いたので訪れた。武家屋敷も見てみたい。コロナ禍が明けて再び旅行出来て楽しいよ。
アメリカからの観光客:
ここが好きよ、とても美しい。私たちは市場にも行ったの、とても良いところね。
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2022年10月に個人の外国人観光客の受け入れが再開されると2023年に入ってから徐々に数が増え始め、4月は6万2266人が兼六園を訪れた。コロナ禍前2019年4月の6万6244人と比べても大差ない数字だ。
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おすすめの“飲食店リスト”など知恵を絞ったおもてなし
金沢市内で町家の一棟貸しなど民泊事業を行っている「旅音」で話を聞いた。2023年4月には450人以上の外国人観光客が利用し、コロナ禍前の約9割まで回復したそうだ。
旅音 林佳奈さん:
2022年の秋口から少しずつ海外の方が増えてきて、本当に2023年の3月から一気にバーンと増えたような状況です。
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コロナ禍で客が激減する中、インバウンドの再開を見据えておすすめの飲食店リストを英語や中国語で作成し準備を進めてきた。
外国人観光客に対して林さん(英語):
これはグーグルマップのリストです。
外国人観光客:
Nice!
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この日、宿泊したのは台湾から来たカップル。台湾で有名な作家が「金沢は一生に一度は訪れるべき街だ」と言ったことから旅先に決めた。
台湾からの宿泊客:
ここに泊まるのがとても楽しみでした。明日は着物を着てうなぎランチを食べる予定です。
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しかし、外国人観光客の増加を喜ぶ声ばかりではない。
オーバーツーリズムの問題を抑えるためにできること
ひら井 平井慎太郎代表:
日本人と外国人は文化や考え方も違うので困ることはありますね。
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近江町市場にある飲食店では、トイレで紙を流さない外国人がいたことから注意を呼びかける張り紙をした。
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平井代表:
地元客の足が遠のくのが少し残念です。市場が観光化してきたということで地元の人は減ってきていると思います。
観光客が増えすぎることによる観光公害、オーバーツーリズムの問題だ。まちづくりに詳しい金沢大学の川澄厚志准教授は対策の必要性を訴える。
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川澄准教授:
京都市でも、一部のマナーの悪い観光客によって落書きの問題も起きている。文化財への侵害、市民の公共財への侵害が非常に深刻で大きな問題だと思っています。
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観光客によるごみや騒音などはコロナ禍の前にも問題になっていた。コロナ禍で沈静化していたが、再び問題となりつつある。
近江町市場は昔から「金沢市民の台所」「おみちょ」と親しみを込めて呼ばれてきたが今は大勢の観光客が押し寄せている。市場では市民の台所であり続けるためにある取り組みを始めた。毎月第3金曜日を市民感謝デーとして駐車料金を1時間無料にしたほか、サポーター向けの限定イベントなども企画している。観光客向けに体験事業を展開する「こはく」の谷口直子さんに聞いた。
こはく 谷口直子さん:
時間帯によって空いている時間もありますし、市民の足が遠のくことなく観光客と一緒にお買い物して楽しくお声がけもしていただきたいです。
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さらに川澄准教授は観光する側にも責任を持つような意識付けが必要だと話す。
川澄准教授:
地域の歴史や文化、環境をきちんと理解しながら地域を訪れるという「責任ある観光」を旅行者側に求めていくのがいい取り組みの一つかなと思っています。
責任ある観光を求める金沢市は外国人向けに金沢の習慣や文化的な作法を動画で紹介し旅の参考にしてもらっている。
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金沢市観光政策課企画係 齊藤哲朗係長:
時間、季節、場所がある一定のところに集中していることで問題が起きるので、分散化していけば住民や旅行者のストレスも下がって満足度の高い旅行になるのかなと思っています。
有名ではなくとも金沢の魅力を知ることができる場所を紹介し、観光客を分散させようと混雑予測マップも作成した。
齊藤係長:
魅力のある観光地としてずっと持続的にやっていくのであれば市民の生活を大事にしながら観光客を受け入れて行けたらと思っています。
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(石川テレビ)