子供の10人に1人が「貧血」の恐れがある。月経が始まる思春期の女子になると、さらにその割合は高まるといわれている。実は大人より子供の方が、必要な鉄分摂取量が多いことが背景にあった。

貧血ってどんな状態?

子供の貧血の恐れが高いことを知っているのか。福井県民に聞くとこんな声が聞かれた。

福井県民の声
「子供の貧血…知らない。20代に多いイメージ」
「そんなにいたのかという感じ」
「子供のころ貧血だったのでそうかもとは思う。放置して妊娠したときに治療を始めた」

そもそも貧血とは、どのような状態をいうのか?福井市の福井県立病院小児科・谷口義弘主任医長に話を聞いた。

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谷口義弘医師:
貧血というのは医学的には酸素を体中に運ぶ赤血球(血の成分)が少なくなることをいう。酸素を体中に運ぶことができなくなるので頭痛や集中力の低下、息切れ、階段を上ると動悸(どうき)がするといった症状が出る

このほか、疲れやすい、食欲不振、運動能力や学力低下などもある。放置すると重症化し、心不全を起こす恐れもある。

「牛乳貧血」や「スポーツ貧血」も

なぜ子供は貧血になるのだろうか?

谷口義弘医師:
最も多いのは鉄分が足りなくなる「鉄欠乏性貧血」といわれる。そもそも人間は鉄が少し足りない動物。そして成長期になるとたくさん血をつくらないといけなくなり、鉄が必要となる。その時に鉄を取れないと鉄不足になり貧血になってしまう

厚生労働省によると、1日の鉄の食事摂取推奨量は10歳から17歳の男子で8.5~10mg。月経がある女子は10.5~12mg。男女とも大人と比べて2~3割ほど推奨量が多い。

子供が鉄不足となる理由は、思春期の体の急激な成長以外だけではない。牛乳の過剰な飲みすぎにより鉄の吸収を妨げる「牛乳貧血」や、激しい運動で大量に汗をかき鉄が失われる「スポーツ貧血」もある。

貧血を予防しよう

何より大切となるのは予防だ。谷口医師は食事の大切さをあげた。

谷口義弘医師:
偏らずにしっかり鉄が入った食事をとるのが重要。ビタミンCを一緒にとると吸収がよくなる。赤身肉・魚が非常に吸収率のいい鉄が含まれている。豆類、海藻、魚介類もしっかり食べるといい

鉄分を多く含む野菜は吸収率が悪いので、サプリメントを正しく活用したり、病院で薬を処方してもらったりすることも重要となる。

「子供の鉄欠乏性貧血」はゆっくり進行し、体が慣れてしまうため症状に気づきにくい。重症化して気づくか、たまたま検査して発覚することが多いという。

谷口義弘医師:
まずは病院で貧血はあるのか。貧血だとすれば鉄不足なのか、他の理由はないか、原因を調べてもらいましょう。原因に応じて治療が必要となる

(福井テレビ)

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