住民の憩いの場となっている神社の敷地に持ち上がったマンションの建設計画…住民からは戸惑いの声が上がっている。

都会のオアシスにマンション建設計画

6月1日、取材班が向かったのは、東京・品川区の小高い丘に立つ、小山八幡神社。

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緑豊かな境内の奥に見えてきたのは、東京の街並みが一望でき、“しながわ百景”に選ばれた美しい眺め。

しかし今、この緑あふれる神社に、マンションを建設する計画が浮上しているのだ。

神社の境内から、ご神体を祭る社殿などを移動させ、テニスコートおよそ6面分の敷地を確保。
そこに、高さ10メートルの3階建てマンションを建てるという。

近隣住民からは「八幡神社が広いからとても使いやすくて、(野球の練習で)毎日使っている。なくさないでほしい」「すごくびっくりして、非常に残念な気持ち」といった声が聞かれた。

鎌倉時代に創建されたという小山八幡神社。

樹齢およそ200年を誇る区の指定天然記念物・シイの木など、豊かな木々が生い茂り、都会のオアシスとなっている。

もし神社にマンションが建てば、緑あふれる憩いのスペースは、ほぼ消えてしまうことにならざるを得ない。

もし神社にマンションが建てば…
もし神社にマンションが建てば…
緑あふれる憩いのスペースは、ほぼ消えてしまうことにならざるを得ない
緑あふれる憩いのスペースは、ほぼ消えてしまうことにならざるを得ない

近隣住民「想像したくないです」「夢であってほしいと本当に思う」

神社を後世に残すため…「本当に苦渋の決断だった」

なぜ、住民の交流の場でもある神社にマンションを建てるのか?

小山八幡神社・宮司「数年前に台風の強風と雨で屋根の一部が落ちてしまって...」

マンションを建てる土地を貸し出すことで、築85年と老朽化した社殿などの改修費用、約2億3000万円をまかなうのだという。

宮司にとって、マンションの建設は神社を後世に残すための苦しい決断だったと話す。

小山八幡神社・宮司「本当は、現状を維持して再建するというのが一番。皆さんの知恵を集めて考えたが、本当に苦渋の決断だった」

一方で、住民たちが戸惑ったのは、最近までマンションの計画を聞かされなかったことだという。

すでに境内には、整備工事を行うのを知らせる看板が設置されているが、そこには「マンション建設」という文字はない。

住民たちに計画が知らされたのは5月9日。

その後、二度にわたる神社側の説明会では、住民側から「ほかに方法はないのか」や、「寄付の募集は一度もなかった」といった意見が噴出した。

近隣住民「なんと言ってもこの景色です。ここから六本木ヒルズ・東京タワーも見えて、この景色はなくさないでほしい。切に願っています」

計画では、2023年度中にマンションの建設工事が開始され、3年後に完成予定だという。

(「イット!」6月1日)