ウイルスを持ったマダニに咬まれることで感染する重症熱性血小板減少症候群「SFTS」。死に至ることもある恐ろしい感染症で、マダニから人はもちろん、動物を介して人へ感染することも…。最近はペットへの感染も急増している。一体、どのような病気なのか取材した。

ウイルスを持つマダニから感染「SFTS」

宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター・岡林環樹教授:
日本でも公式に発表されているのは2013年なので非常に新しい病気

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感染すると発熱や吐き気、意識障害などの症状が出て、最悪の場合は死に至ることもあり、宮崎県内での致死率は約30%。

そして、もう1つの感染経路が動物からだ。

宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター・岡林環樹教授:
弱ったネコに触れた方が亡くなる事例が報告されたり、発症ネコの血液だけではなく、唾液、目やに、うんち、おしっこなどにウイルスやウイルスの遺伝子を排出することが分かってきている。それで感染する可能性があるのではないかと考えている

動物の体液から人への感染も。

宮崎県内では、4月だけでペットのネコ5匹が感染、ネコの致死率は60%にのぼる。

2022年は1年間でペット全体での感染報告が7匹だったことから、2023年はウイルスを持ったマダニが増えているのではないかとみられる。

「SFTS」を引き起こすマダニは、草むらや雑木林に生息している。

宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター・岡林環樹教授:
公園など、野山に行かなくても、思ったより身近なところにマダニがいる

春と秋はマダニの活動が活発になるということで、外に出てみると…

宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター・岡林環樹教授:
あ!いましたね!

秦萌リポーター:
20秒くらいでこんなに簡単に捕れるんですか?これだけ小さいと、服やペットに付いていても気づかないですね

患者数全国最多 野外活動は肌の露出を少なく

身近なところに潜むマダニ。

宮崎県内では、2013年からこれまでに102人の患者が確認されていて、全国最多。直近でも70代と80代の女性2人の感染が報告されていて、農作業とペットが感染源とみられている。

マダニにかまれないために、野外で活動する際には長袖・長ズボンで、つばのついた帽子をかぶり、首にはタオルを巻くなど肌の露出を少なくすることが大切だ。

また、マダニは付着してすぐに吸血するわけではないため、ペットはこまめなブラッシングでマダニの吸血を避けられるということだそう。

もし咬まれてしまったときはすぐに病院へ。

宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター・岡林環樹教授:
つぶすとそこからウイルスが出ることもあるので、きちんと皮膚科に行って対応していただくのが大事。(ペットは)心配であれば宮崎大学が無料で検査をしているので、獣医さんを通して検査依頼をしていただければ

屋外でのレジャーが増える今の季節。人とペットの命を守るために、正しい予防法と処置が大切だ。

SFTS対策には、医師と獣医師の連携が重要ということで、9月1日に宮崎県医師会会館で医師―獣医師連携セミナーを開催する予定。岡林教授は、人獣共通感染症であるSFTS対策を考える場としたいとしている。

(テレビ宮崎)

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